株は下がる
- 1973年以降の日銀の利上げ24回で、利上げが決まった日の日経平均は12勝12敗・平均+0.17%。ふつうの日と変わりません。今回の6回は5勝1敗でした。
- 1週間後・1か月後・3か月後・半年後も、ふつうの期間と区別がつきません。1年後だけ平均−4.2%ですが、バブル期の5回を除くと帯の中に戻ります。
- 利上げが続いた時代のあとに大きな下げが来たのは、5回のうち3回。ただし日経平均の天井は、最後の利上げより前に来ていたことが3回あり、「利上げが終わったら売る」は実行できません。
- 利上げで上がるはずの銀行株も、決定日にはほとんど動いていません。上がるのは発表の2〜3か月前です。
2024年7月31日に日銀が利上げを決め、その3営業日後の8月5日に日経平均は12%下げました。あの記憶があるので、私は「利上げ=株が下がる」という印象を持っていました。ただ、あれは利上げのせいだったのか。1973年からの利上げ24回をぜんぶ並べて、利上げの日・1週間後・1か月後・1年後に日経平均がどう動いたかを数えました。利上げの日に下がった回数は、上がった回数と同じでした。
- 利上げが決まった日、日経平均は下がったのか(24回・今回の6回は前場と後場に分けて)
- 持つ期間を1年まで延ばすと、どこかで「下がる」と言えるのか
- 利上げが何回も続いたあとに、何が来たのか。天井は利上げから読めるのか
- 利上げで上がるはずの銀行株は、決定日にどう動いたのか
検証した24回の利上げ
日銀が政策金利を引き上げた日を、日銀の公表資料から拾いました。1973年から2026年9月までで24回。5つの時代に分かれます。
| 公表日 | 政策金利 前→後 | 決定日 | 1週間後 | 1か月後 | 3か月後 | 1年後 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1973年(公定歩合) | ||||||
| 1973/3/31 | 4.25→5.00% | −1.0% | −4.0% | −12.7% | −11.4% | −14.9% |
| 1973/5/29 | 5.00→5.50% | 0.0% | −2.7% | +1.3% | +4.3% | +2.7% |
| 1973/6/30 | 5.50→6.00% | +0.3% | +1.7% | +9.6% | −6.0% | −2.2% |
| 1973/8/28 | 6.00→7.00% | +0.1% | +0.2% | −7.4% | −9.5% | −17.4% |
| 1973/12/21 | 7.00→9.00% | −0.2% | +3.0% | +7.7% | +5.4% | −6.5% |
| 1979〜80年(公定歩合) | ||||||
| 公表日 | 政策金利 前→後 | 決定日 | 1週間後 | 1か月後 | 3か月後 | 1年後 |
| 1979/4/16 | 3.50→4.25% | −0.1% | −0.2% | +3.2% | +1.0% | +11.3% |
| 1979/7/23 | 4.25→5.25% | 0.0% | +1.4% | +4.4% | +5.4% | +10.6% |
| 1979/11/1 | 5.25→6.25% | −0.4% | −1.2% | −0.1% | +5.0% | +10.9% |
| 1980/2/18 | 6.25→7.25% | −1.0% | −0.7% | −3.4% | −1.2% | +4.8% |
| 1980/3/18 | 7.25→9.00% | +0.2% | −0.5% | +3.7% | +3.8% | +9.7% |
| 1989〜90年(公定歩合) | ||||||
| 公表日 | 政策金利 前→後 | 決定日 | 1週間後 | 1か月後 | 3か月後 | 1年後 |
| 1989/5/30 | 2.50→3.25% | −0.2% | −2.1% | −1.6% | +2.9% | −3.7% |
| 1989/10/11 | 3.25→3.75% | −0.4% | −1.1% | +0.6% | +6.6% | −34.7% |
| 1989/12/25 | 3.75→4.25% | +1.7% | +1.8% | −3.1% | −16.3% | −37.3% |
| 1990/3/20 | 4.25→5.25% | −1.5% | +1.8% | −9.0% | +4.1% | −15.7% |
| 1990/8/30 | 5.25→6.00% | +3.1% | −3.3% | −12.5% | −5.1% | −10.0% |
| 2000〜07年(無担保コール) | ||||||
| 公表日 | 政策金利 前→後 | 決定日 | 1週間後 | 1か月後 | 3か月後 | 1年後 |
| 2000/8/11 | 0.00→0.25% | +0.9% | +1.2% | +2.0% | −4.0% | −26.4% |
| 2006/7/14 | 0.00→0.25% | −1.7% | −1.8% | +3.1% | +9.1% | +20.0% |
| 2007/2/21 | 0.25→0.50% | −0.1% | +1.0% | −4.3% | −2.1% | −22.4% |
| 2024〜26年(今回)(無担保コール) | ||||||
| 公表日 | 政策金利 前→後 | 決定日 | 1週間後 | 1か月後 | 3か月後 | 1年後 |
| 2024/3/19 | −0.10→0.10% | +0.7% | +1.7% | −3.2% | −2.3% | −4.9% |
| 2024/7/31 | 0.10→0.25% | +1.5% | −10.0% | −0.4% | +0.2% | +6.6% |
| 2025/1/24 | 0.25→0.50% | −0.1% | −1.1% | −3.0% | −14.4% | +31.8% |
| 2025/12/19 | 0.50→0.75% | +1.0% | +2.9% | +7.7% | +5.1% | — |
| 2026/6/16 | 0.75→1.00% | +0.1% | +4.4% | −3.0% | −6.0% | — |
| 2026/9/18 | 1.00→1.25% | +1.4% | +2.1% | — | — | — |
※すべて「公表日の前の営業日の終値」からの騰落率。決定日=公表日の終値、1週間後=5営業日後、1か月後=20営業日後、3か月後=60営業日後、1年後=250営業日後。「—」はまだその日が来ていないもの。1998年より前の政策金利は公定歩合、以降は無担保コール翌日物で、2024年3月は−0.1%→0〜0.1%(マイナス金利の解除)です
この記事の数字は、ぜんぶ公表日の前の日の終値を基準にしています。「利上げが決まる前の晩に日経平均を持っていたら、そのあとどうなったか」という読み方です。公表が土曜だった2回(1973年3月31日・6月30日)と、手元のデータに終値が無い1989年12月25日は、次の営業日を決定日として数えました。
検証① 利上げが決まった日、日経平均は下がったか
まず、利上げが決まった日そのものです。棒の高さは、前の日の終値から公表日の終値までの動き。赤が下げ、緑が上げです。
24回のうち上げが12回、下げが12回。平均は+0.17%で、1973年以降のふつうの1日の平均(+0.03%)と変わりません。いちばん下げた日でも−1.7%(2006年7月)で、2024年8月5日のような下げは、利上げの日には一度も起きていません。今回の6回に限ると、決定日は5勝1敗です。
日銀の決定は昼休み(12時台〜13時ごろ)に公表されるので、「前場は様子見で、発表を見て後場に売られる」形なら、終値だけでは見落とします。今回の6回を、前場(前日比)と後場(前引けから大引け)に分けたのが表2です。
| 公表日 | 前場 前日比 | 後場 前引け→大引け | 大引け 前日比 |
|---|---|---|---|
| 2024/3/19 | −0.4% | +1.0% | +0.66% |
| 2024/7/31 | 前場は下げて始まり一時500円超安 | 発表後にプラス転換、一時600円超高 | +1.49% |
| 2025/1/24 | +0.6% | −0.7% | −0.07% |
| 2025/12/19 | +1.2% | +0.1% | +1.03% |
| 2026/6/16 | −0.1% | +0.2% | +0.13% |
| 2026/9/18 | +0.8% | +0.6% | +1.38% |
※2025年以降の4回はYahoo!ファイナンスの1時間足から、2024年の2回は株探・OANDAの当日記事から。前引けの時刻は11時30分
発表後の後場だけで下げたのは2025年1月の1回で、残りは上げか横ばい。2024年7月31日は、前場に500円超下げたあと、13時前の発表を受けて買いが入り、600円超高まで上げています。「発表を見て売られる」形は、今回の6回には出ていません。1998年より前の公定歩合は夕方や休場日に公表されることが多かったので、古い回は「翌営業日の終値」も見ましたが、こちらも13勝11敗・平均+0.03%で同じです。
検証② 持つ期間を延ばすと、下がるのか
「その日は下がらなくても、じわじわ効く」という見方もあります。決定日から1年後まで、7つの窓で測りました。棒の後ろの薄い帯は「まぐれでもこのくらいは出る範囲」で、同じ長さのふつうの期間の平均(金色の破線)を中心に描いてあります。棒が帯をはみ出していれば「偶然では出にくい」と読んでください。
決定日から半年後まで、6つの窓はぜんぶ帯の中です。1か月後は10勝13敗・平均−0.88%で、ふつうの1か月(+0.54%)より弱いのですが、まぐれでもこのくらいの差は出ます。帯の外に出るのは1年後だけ(9勝12敗・平均−4.2%)。ふつうの1年が+7.1%なので、11ポイントほど悪い。ここだけ見ると「利上げすると1年後に下がる」に見えます。
検証③ 1年後の下げは、バブル期の5回だった
その1年後を、利上げの時代ごとに割ってみます。左が1か月後、右が1年後。帯はそれぞれの時代の回数(5回・5回・5回・3回・今回は3回)で描いているので、回数が少ない時代ほど帯が広くなります。
1年後に帯の外へ出ているのは1989〜90年だけです。5回とも下げて平均−20.3%。1989年12月25日の利上げの4日後、12月29日が日経平均の史上最高値(当時)の38,915円でした。バブル期の5回を除くと、1年後は16回の平均+0.9%・9勝7敗で、帯の中に戻ります。1979〜80年は5回とも1年後に上げています。「利上げすると1年後に下がる」のではなく、「バブル崩壊の前に利上げがあった」というのが、図2の1年後の正体です。
1年後の下げは、バブル期の5回が作っていた。
検証④ 利上げが続いたあとに、何が来たか
1回ごとではなく、利上げの時代を1つのかたまりで見ます。最初の利上げの前日を100として、その半年前から、最後の利上げの2年後までの日経平均を6本重ねました。●が最後の利上げ、○がその区間の天井です。
| 利上げの時代 | 最初→最後の 利上げ | その間の 日経平均 | 日経平均の天井 最後の利上げとの前後 | 最後の利上げから 2年の最大の下げ |
|---|---|---|---|---|
| 1973年 5回 | 1973/3/31 →1973/12/21 | −20.6% | 1973/1/24 天井が先 | −29.8% 安値 1974/10 |
| 1979〜80年 5回 | 1979/4/16 →1980/3/18 | +7.6% | 1981/8/17 利上げが先 | −12.2% 安値 1980/3/ |
| 1989〜90年 5回 | 1989/5/30 →1990/8/30 | −24.9% | 1989/12/29 天井が先 | −47.3% 安値 1992/8/ |
| 2000年 1回 | 2000/8/11 →2000/8/11 | +0.9% | 2000/4/12 天井が先 | −45.2% 安値 2002/2/ |
| 2006〜07年 2回 | 2006/7/14 →2007/2/21 | +18.6% | 2007/7/9 利上げが先 | −61.4% 安値 2009/3/ |
| 2024〜26年(今回) 6回 | 2024/3/19 →2026/9/18 | +63.6% | 2026/6/25 天井が先 | −2.3% まだ12営業日 |
※「最後の利上げから2年の最大の下げ」は、最後の利上げの日以降の高値から、その後2年以内の安値までの下げ幅。1973年は利上げの途中の高値から測ると−35.9%ですが、最後の利上げの日から先だけで測ると3割に届きません
最後の利上げから2年のうちに3割以上下げたのは、5回のうち3回(1989〜90年・2000年・2006〜07年)。引き金は、バブル崩壊・ITバブル崩壊・リーマンショックで、それぞれ別の出来事です。これだけ見ると「利上げが終わると大きな下げが来る」に見えます。
ただし表の「天井」の列を見てください。1973年・1989〜90年・2000年の3回は、日経平均の天井が最後の利上げより前に来ています。1989年の天井は12月29日で、日銀はそのあと1990年3月と8月に2回利上げしました。2000年の天井は4月12日で、ゼロ金利の解除は8月です。日銀は物価と景気を見て決めるので、株の天井には遅れて動く。「利上げが終わったから下がった」ではなく、「下がり始めたあとも、日銀はしばらく利上げを続けた」が過去の形です。
もうひとつの物差しも置いておきます。1973年以降、どの日から数えても「その後2年のうちに高値から3割以上下げる」は31%の日で起きています。1990〜2009年に限ると59%。上の3回はこの20年の中にあるので、利上げが終わったからなのか、この20年はいつでもそうだったのか、5回では区別がつきません。
今回は、利上げ6回の間に日経平均が+64%。過去5回でいちばん上がった2006〜07年でも+19%なので、利上げの時代にこれだけ上がった例はありません。だからといって先がどうなるかは、この記事の物差しでは言えません。
検証⑤ 今回の利上げの日と、据え置きの日
「会合の日はそもそも荒れる(上がる)のでは」という見方の答え合わせです。2024年1月から2026年9月までの決定会合22回を、利上げした6回と据え置いた16回に分けました。
決定日は、利上げした日のほうが強い(5勝1敗・平均+0.77%。据え置きは9勝7敗)。1か月後は逆で、利上げの会合は1勝4敗、据え置きの会合は13勝3敗です。向きは通説寄りですが、利上げは6回しかないので棒は帯の中。この2年半は据え置きの翌月がよく上がった相場だった、というところまでが言えることです。
買い向かうと、どこまで沈むか
「利上げの日に下がらない」を売買の根拠にするなら、外れたときにどこまで沈むかも見ておく必要があります。利上げの前日の終値から、3か月のあいだの安値までの下げ幅を、24回ぶん並べました。
10%以上沈んだのは24回中7回。今回の6回では3回で、2024年7月(−18.3%)・2025年1月(−22.1%)・2026年6月(−11.4%)です。2025年1月の下げは4月の関税ショック、2024年7月は8月5日の急落で、どちらも利上げとは別の材料が重なりました。ふつうの日から数えても10%以上沈むことは23%あるので、利上げの日が特別に危ないわけではありません。利上げの日に売る理由はなくても、そのあと3か月で1割沈むことは4回に1回ほどある、という前提で持つことになります。
利上げで上がるはずの銀行株も、決定日には動いていない
日経平均ではなく、利上げで素直に上がるはずの銀行株はどうだったか。私が普段の集計に使っている細かい分類(142グループ)で、今回の6回を見ました。数字はTOPIXとの差で、プラスなら市場全体より強かったという意味です。
| 公表日 | 前60日 | 前5日 | 決定日 | 後5日 | 後20日 |
|---|---|---|---|---|---|
| メガバンク(3社) | |||||
| 2024/3/19 | +9.1% | −3.7% | −1.39% | +1.8% | +1.7% |
| 2024/7/31 | +10.3% | −2.7% | +3.00% | −7.3% | −8.5% |
| 2025/1/24 | +16.8% | −2.2% | −0.03% | +3.1% | +4.9% |
| 2025/12/19 | +4.2% | +0.5% | +0.38% | +0.2% | +6.2% |
| 2026/6/16 | +13.6% | 0.0% | −0.60% | +1.1% | +8.7% |
| 2026/9/18 | −7.3% | −1.3% | −0.69% | +2.3% | — |
| 地方銀行 | |||||
| 2024/3/19 | +2.8% | −2.4% | −1.39% | +2.6% | +2.6% |
| 2024/7/31 | +4.1% | −0.8% | +3.53% | −6.3% | −8.1% |
| 2025/1/24 | +9.1% | −2.1% | −0.06% | +4.3% | +5.7% |
| 2025/12/19 | +10.7% | +2.4% | +1.18% | −1.8% | +4.6% |
| 2026/6/16 | +9.1% | +1.0% | −0.84% | +0.1% | +7.4% |
| 2026/9/18 | +9.8% | +0.4% | +0.63% | +3.5% | — |
※各期間のTOPIXとの差の合計。時価総額で加重。前60日=公表日の前の60営業日、後20日=公表日の翌日から20営業日。2026年9月18日の後20日は10月9日までの15営業日
メガバンクは、6回のうち5回で発表の2〜3か月前からTOPIXを10%前後も上回っていて、直前の1週間は4回でわずかにマイナス、決定日は2勝4敗でほぼ動かず、そのあと1か月はまた上(4回)。利上げで上がる株ですら、利上げを決めた日には動いていません。織り込まれるのは会合の日ではなく、その2〜3か月前の報道と金利の上昇の間です。142グループぜんぶで見ても、決定日に帯の外へ出たのは10グループで、142グループを測れば偶然でも7グループほどは外に出るので、「利上げの日に動く業種」は見つかりませんでした。金利が動く日にどの業種が動くかは、材料別の金利回と#09 金利上昇で銀行株で測っています。
なぜ、利上げの日に下がらないのか
理由は3つあると考えています。ひとつは、利上げが会合の日に起きる出来事ではないこと。今回の6回はどれも、事前の報道と金利の上昇で数か月かけて値段に入っていて、会合の日に残っているのは「予想どおりだった」という確認だけでした。銀行株が2〜3か月前から上がり、当日は動かないのがその形です。逆に、事前の報道がなかった2022年12月20日の長期金利の上限引き上げ(利上げではないので24回には入れていません)では、日経平均はその日に−2.5%でした。知らされていた決定は値段に入っていて、知らされていなかった決定は動く、ということだと思います。ふたつめは、利上げが「景気がいい」の裏返しであること。日銀は物価と景気を見て上げるので、利上げのある時期は株にとっても悪くない時期が多い。3つめは、下げの引き金が別にあること。1990年も2000年も2008年も、日経平均を大きく下げたのは利上げそのものではなく、バブル崩壊やリーマンショックでした。利上げは景気の山の近くに出る目印で、山を作った原因ではない、というのが私の整理です。
材料別の金利回では、2026年に限ると「金利が上がった日に日経平均が下がる」年になっていることを書きました。それと今回の「利上げの日に上がった」は矛盾しません。金利が日々上がる局面で株が売られることと、利上げが決まった日に株が動かないことは、別の話です。
- ×利上げの日・その週に下がる——24回で12勝12敗・平均+0.17%。今回の6回は決定日5勝1敗で、発表後の後場も下げていない
- ×1か月〜半年で下がる——ふつうの期間と区別がつかない(6つの窓すべて帯の中)
- △1年後に下がる——平均−4.2%で帯の外。ただしバブル期の5回を除くと帯の中
- △利上げが終わると大きな下げが来る——5回のうち3回。ただし天井は最後の利上げより前に来ていたことが3回あり、「最後の利上げ」はあとからしか分からない
★2にした理由を書きます。通説を「利上げが決まったら売られる」の意味に取るなら、24回で勝ち負けが半々、今回は5勝1敗で、★1に近い。「利上げが続く時代の先には下げが来る」の意味に取るなら、過去5回のうち3回でそうなっていて、★3〜4に見える。ただ後者は、天井が利上げより先に来ていたり、どの日から数えても2年で3割下げが3割の確率で起きていたりで、利上げを合図に使える形ではありません。読者が使える意味で採点すると、★2です。
この結果、実践にどう活かす?
利上げの日に下がらないのは、観測報道などで市場がすでに織り込んでいるからだと思っています。よほどのマイナスサプライズは、いまの日銀ではまず起きません。ただ、買い持ちの側から見るとズレの向きは対称ではなく、「利上げは確実」と見られていて据え置きなら上に外れやすく、「利上げはない」と見られていて利上げなら下に外れます。だから私は、「利上げはない」と見られている会合のほうを少し警戒します。決定そのものより、前後の総裁の発言のほうが効くことも多いので、会合の日だけ身構えても意味がない、というのが私の感覚です。
まとめ
- 利上げが決まった日の日経平均は、24回で12勝12敗・平均+0.17%。今回の6回は5勝1敗で、発表後の後場も下げていません。
- 1週間後から半年後まで、ふつうの期間と区別がつきません。1年後の−4.2%は、バブル期の5回が作った数字です。
- 利上げが続いた時代のあとに大きな下げが来たのは5回中3回。ただし天井は最後の利上げより前に来ていたことが3回あり、利上げを合図には使えません。
- 銀行株も決定日には動かず、上がるのは発表の2〜3か月前。利上げは会合の日に起きる出来事ではなく、数か月かけて値段に入っていきます。
- データ出典:日経平均はStooq(1949年5月〜2026年6月5日)とYahoo!ファイナンス(2026年6月以降)。重なる158営業日で終値が一致することを確認して継ぎ足しました。利上げの公表日は、日本銀行「金融政策に関する決定事項等(1995年以前)」の掲載日(公定歩合引上げに関する政策委員会議長談・「公定歩合の引上げについて」)、「基準割引率および基準貸付利率(従来「公定歩合」として公表されていたもの)の推移」、各回の金融政策決定会合の公表資料。集計はすべて私が行っています。
- 「まぐれでもこのくらいは出る範囲」は、1973年以降の全営業日で同じ長さの騰落率を測ったときのばらつき(標準偏差)を、回数の平方根で割って2倍した幅です。おおまかに、本当は差がなくても20回に1回くらいはこの幅の外に出てしまう、という目安として使っています。
- 1973年以前の公定歩合の変更は、日本銀行のサイトの推移表に掲載がないため対象にしていません。1998年より前の政策金利は公定歩合、以降は無担保コール翌日物で、物差しが違います。2024年3月19日は「−0.1%→0〜0.1%」のマイナス金利解除、2000年8月11日は「ゼロ金利解除」で、どちらも利上げとして数えました。
- 公表が土曜だった2回(1973年3月31日・6月30日)は、次の営業日を決定日として数えています。1989年12月25日(月曜)はStooqのデータに終値が無いため、翌26日の終値で数えました(この回だけ2営業日ぶんの動きです)。1998年より前の公定歩合は夕方や休場日の公表が多く、「決定日の終値」に発表後の動きが入っていない回があります。そのため翌営業日の終値も測り、本文に併記しました。
- 表2の前場・後場は、2025年1月以降の4回がYahoo!ファイナンスの1時間足(11時台の足の終値を前引け、12時台の足の始値を後場寄りとしたもの)、2024年3月19日はOANDA証券のマーケットニュース(前引け39,596円・大引け40,003.60円)、2024年7月31日は株探ニュース(前場に一時500円超安、13時前の発表後にプラス転換し一時600円超高)によります。
- 「最後の利上げから2年の最大の下げ」は、最後の利上げの日以降の高値から、その後500営業日以内の安値までの下落率です。1973年は、利上げの途中(1973年3月)の高値から測ると−35.9%ですが、最後の利上げ(12月)の日から先だけで測ると−29.8%で、3割に届きません。本文の「3回」はこの厳しいほうの数え方です。
- 銀行株の数字は、私が普段の集計に使っている分類表(プライム中心・142グループ)によるもので、東証の業種分類とは一致しません。メガバンクは三菱UFJ・三井住友・みずほの3社、地方銀行は分類表の地銀グループです。各期間のTOPIXとの差を日ごとに足し合わせた値で、時価総額で加重しています。
- 2022年12月20日は、日本銀行が長期金利の変動幅の上限を0.25%から0.5%に引き上げた日(政策金利は据え置き)で、日経平均の終値は前日比−2.46%でした。事前の報道がなく、市場の予想になかった決定として本文で引き合いに出しています。
- 2026年9月18日の利上げは、1か月後以降の数字がまだありません(2026年10月9日時点)。図6の3か月の沈みも15営業日ぶんです。
本記事は過去データの分析であり、将来の値動きを保証するものではありません。特定の銘柄や売買を推奨するものでもありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。数値の集計は私が行っていますが、誤りが含まれる可能性があります。














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