カプコン+19.84%急騰|1Qで通期の半分を稼いだ決算とゲーム株一斉高
2026年7月29日、カプコン(9697)が前日比+19.84%(+700円)の4,229円まで急騰し、高値引けとなりました。きっかけは前日28日の引け後に発表された第1四半期決算です。売買代金は722億円と前日から10倍近くに膨らみ、東証プライムの値上がり率2位に入りました。
そしてこの日は、カプコンだけの話では終わりませんでした。コナミグループ+12.74%、スクウェア・エニックス+8.24%、コーエーテクモ+7.78%と、ゲーム・コンテンツ株が面で急伸したんですよね。一方で市場の反対側では、キオクシア-13.85%・東京エレクトロン-10.59%と半導体売りの2日目が進行中でした。
今日は「1四半期で通期計画の半分を稼いだ決算」の中身と、退避資金の流れ、急騰後の過熱チェックの3点で整理していきます。
① カプコンの1Q営業利益は410億円(前年同期比+66.9%)。据え置かれた通期計画830億円の49.4%を、最初の1四半期で稼ぎました。例年の進捗は3割前後です。
② 5日前のディスコは「良い決算でも期待に届かず」-12%安。今回はその逆で、期待を大きく超えた決算が2割高で報われた形です。
③ ただし急騰後のカプコンは過熱スコア+5(RSI85.77・25日乖離+28.6%)。買われた理由は本物でも、値段はすでに熱い——ここは分けて見ておきたいところです。
何が起きたか|値上がり上位をゲーム株が独占した
まず7月29日の値動きです。カプコンは寄り付きから買いが先行し、終値4,229円はザラ場高値と同値の高値引け。値上がり率ランキングでは円谷フィールズHDに次ぐ2位で、3位にはコナミグループ+12.74%(こちらも22,705円の高値引け)が入りました。さらにスクウェア・エニックス7位、コーエーテクモ8位、東映14位と、値上がり上位20のうち7銘柄を情報・通信業が占め、その多くがゲーム・コンテンツ関連です。
加えて売買の厚みも伴っていました。カプコンの売買代金722億円は前日比+854%で、この日の売買代金急増ランキング5位。約定回数も46,477回と、値がさの半導体株に匹敵する売買が集まりました。一部の資金が細く買い上げたのではなく、広い参加者が入れ替わりながら買った形です。
決算の中身|1四半期で通期計画の49%を稼いだ
では、その決算です。7月28日の引け後に出た2027年3月期・第1四半期(4-6月)の実績は、次のとおりでした。
| 項目 | 今期1Q実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 704億円 | +54.7% |
| 営業利益 | 410億円 | +66.9% |
| 経常利益 | 414億円 | +81.1% |
| 純利益(親会社帰属) | 291億円 | +69.2% |
| 営業利益率 | 58.3% | +4.2pt改善(前年54.1%) |
| ソフト販売本数 | 2,381万本 | +68.1%(リピート作2,126万本は四半期として過去最高) |
けん引したのは主力のデジタルコンテンツ事業(売上546億円・+83.0%)です。4月発売の完全新規IP『プラグマタ』が全世界250万本を突破し、『バイオハザード レクイエム』も累計800万本へ販売を伸ばしました。新作が客を呼び、利益率の高い過去作が積み上がる——カプコンの勝ちパターンがそのまま出た四半期です。
そして株価が2割動いた理由は、実績の絶対値よりもここだと思います。通期の営業利益計画830億円に対して、1Qだけで410億円。進捗率49.4%です。それでも会社は通期計画を据え置きました。
ゲーム会社の業績は発売スケジュール次第で振れるため、進捗率だけでは語れない面もあります。それでも前年同期の約33%と比べれば、今回の49.4%は明らかに高い水準です。ですので市場は、据え置かれた計画の先にある上方修正の余地を織り込みにいった——+19.84%という上げ幅は、そう読むのが自然な気がします。
ここで思い出したいのが、5日前のディスコです。あちらは売上+27.1%・出荷額過去最高の決算でも、見通しが市場予想に約9%届かなかっただけで-12%売られました。今回のカプコンはその裏返しで、「良い決算では足りない」この決算シーズンにおいて、期待を大きく超えた数字にはきちんと2割の報酬が出ることを示した形です。決算またぎの値動きが上下どちらにも荒い、という意味では同じコインの裏表なんですよね。
国内市場の反応|半導体売り2日目の「受け皿」と重なった
ここからは当日の市場内部データです。この日は日経平均が-1.49%と続落する一方、TOPIXは+0.26%のプラス。キオクシア1社で売買代金3兆5,849億円という半導体の需給整理が2日目に入り、そこから逃げた資金が退避先を探す地合いでした。ゲーム株の一斉高は、カプコンの決算に、この「半導体と業績サイクルの重ならない置き場所」を探す資金が重なって増幅された、というのが私の見立てです。
業種別に見ると、ゲーム大手が多く属する情報・通信業は+0.85%(相対騰落+0.59pt。業種の騰落率からTOPIXの+0.26%を引いた差分です)、任天堂やバンダイナムコの属するその他製品は+2.20%(相対+1.94pt)でした。対する電気機器は-2.46%(相対-2.72pt)です(相対騰落の読み方は対TOPIX相対騰落・累積ptの解説で詳しく扱っています)。なお、コナミやスクウェア・エニックスについては、私が確認できた範囲ではこの日の新たな決算開示は見当たりません。カプコンを引き金にしたセクターへの連想買いと、半導体を含まない業績構造が退避先として選ばれた面が大きいように見えます。
主なゲーム・コンテンツ株の当日の動きを、過熱スコアと並べておきます。
| 銘柄(コード) | 騰落率 | RSI | 25日乖離 | 過熱スコア |
|---|---|---|---|---|
| カプコン(9697) | +19.84% | 85.77 | +28.6% | +5 ⚠過熱 |
| コナミグループ(9766) | +12.74% | 81.15 | +22.7% | +5 ⚠過熱 |
| スクウェア・エニックスHD(9684) | +8.24% | 75.14 | +15.6% | +3 △やや強 |
| コーエーテクモHD(3635) | +7.78% | 53.87 | +6.1% | +2 △やや強 |
| 東映(9605) | +6.84% | 75.83 | +10.5% | 0 →中立 |
| バンダイナムコHD(7832) | +4.98% | 82.49 | +17.1% | +5 ⚠過熱 |
| 任天堂(7974) | +4.27% | 73.28 | +12.6% | +3 △やや強 |
表から見えるのは、一斉高の中の温度差です。急騰したカプコン・コナミ、そして静かに買われ続けてきたバンダイナムコが過熱スコア+5に並ぶ一方、コーエーテクモや東映はまだ中立圏にいます。同じ「ゲーム株買い」でも、入り口の値段はずいぶん違うということですね。
翌日以降のシナリオ
ここからは私の見立てです。断定はできませんが、強気・弱気の両面を整理しておきます。
◎ 強気に見るなら
進捗率49.4%に対して計画は据え置きですから、上方修正の期待はまだ「宿題」として残っています。10月には実写映画『ストリートファイター』の全世界公開、2027年には『モンスターハンターワイルズ』の超大型拡張も控え、IPの材料は続きます。そのうえ半導体の需給整理が続く間は、業績サイクルの重ならないゲーム株へ退避資金が向かいやすい地合いです。
△ 弱気に見るなら
過熱スコア+5・RSI85.77・25日乖離+28.6%は、短期的にはいつ反動安が来てもおかしくない水準です。また今日の買いの一部は半導体からの退避資金ですから、米SOXの反発などで半導体が切り返せば、逆回転で剥がれる分も出てきます。ゲーム株は「ヒット期待で買われ、実売で試される」テーマでもあり、次の試金石は各社の実売データと8月の決算群です。
ディスコの「613億円の壁」とカプコンの「進捗率49.4%」を並べると、市場が買っているのは実績の良し悪しではなく期待とのギャップの向きだと分かります。今回はそのギャップが大きくプラスに出て、半導体売り2日目という需給の追い風まで重なりました。
一方で、過熱スコア+5からの飛び付き買いが報われにくいことは、このスコアを日々見ている立場としては強調しておきたい点です。個人的には、ゲームセクター全体の資金フローが続くかどうかを日次で追いながら、過熱組の反動と、コーエーテクモのようなまだ中立圏の銘柄の動きを分けて観察していきたいと思っています。セクターの見取り図はアニメ・ゲーム株の見極め方に整理しています。
当日のマーケット全体の動きは日次レポートで、過去の急騰急落の解説はマーケットなう一覧で取り上げています。










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