2026年9月17日の東京市場は、米国の利上げを受けて始まりました。日本時間の午前3時、FRB(連邦準備制度理事会)が0.25%の利上げを決めています。利上げは2023年7月以来、3年2か月ぶりです。
日経平均の始値は6万4,643円58銭。前日の終値から720円58銭高く、半導体の買いで始まりました。ところがその半導体が失速し、大引けは213円25銭高の6万4,136円25銭です。
それでも中身は強い一日でした。東証プライムの値上がりは1,289銘柄、値下がりは235銘柄。33業種は28業種が上げ、東証グロース市場250指数は2.34%高です。ハイテクを除けば、幅広い銘柄に買いが入りました。
① 日経平均は720円高で始まり、213円高で終了。アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で約183円を押し下げましたが、値上がりは1,289銘柄、33業種は28業種が上昇と、ハイテク以外は幅広く買われました。
② 米国株は、ウォーシュ議長の会見が始まった日本時間3時40分ごろから売られ、NYダウは1.21%安。ただし引けにかけて戻し、ナスダック総合は0.01%安、SOX指数は0.63%高でした。
③ 「米国が利上げなら銀行と自動車」にはなっていません。銀行業は0.28%高で33業種の27番目です。過去10年の利上げ19回を数えても、翌営業日に銀行業が日経平均より強かったのは9回でした。
何が起きたか|3年2か月ぶりの米利上げと、会見のあとに売られた米国株
利上げそのものは予想どおりで、市場が反応したのは議長の会見でした。
FRBは16日までの会合で、政策金利を0.25%引き上げることを全会一致で決めました。年内の見通しは「あと1回の利上げ」です。
結果の発表は日本時間の午前3時で、ウォーシュ議長の会見がそれに続きました。米国株は日本時間の3時40分ごろから売りが強まり、NYダウは631ドル21セント安(1.21%安)で終わっています。ただし引けにかけては戻していて、ナスダック総合は0.01%安、半導体のSOX指数は0.63%高でした。
ドル円は発表の前後で154円86銭から155円60銭へ円安に動き、17時時点では155円62銭。前の営業日から52銭の円安です。米10年国債の利回りは4.989%でした。
数字で見る|720円高で始まり、半導体の失速で213円高まで削られました
指数の上げ幅は縮みましたが、下げたのは一部の値がさ株でした。
日経平均は寄り付きが高値で、前引けは43円高の6万3,966円。15時ちょうどに98円安の6万3,824円56銭まで押したあと、引けにかけて切り返しました。高値と安値の幅は819円です。
図1:左が9月17日に日経平均を動かした金額(寄与額)の上位6銘柄と下位6銘柄、右がその結果の日経平均の前日比です。単位はどちらも円です。
押し下げの上位はアドバンテスト111円03銭、東京エレクトロン72円41銭で、2銘柄の合計は183円44銭。TDK、イビデン、キオクシアホールディングス、村田製作所と、下位6銘柄はすべて半導体と電子部品です。前日に一斉に戻した銘柄が、そろって反落しました。前夜のSOX指数は0.63%高でしたから、米国の半導体につられた下げではありません。
この2銘柄を除くと、日経平均は396円69銭高になります。TOPIXは0.80%高で、日経平均の0.33%高を上回りました。
年初来高値の更新は89銘柄で、安値の更新は0銘柄。東証プライムの売買代金は7兆1,538億円と、前の営業日の6兆7,075億円から増えています。
買われたところ|海運・ゲーム・医薬品が上位で、下げたのは資源と証券でした
33業種は上昇28・下落5。上位には海運のほか、ゲーム・医薬品・保険が並びました。
図2:9月17日の東証33業種の値上がり率を、大きい順に並べたものです。オレンジの点線がTOPIX、色をつけた行は輸送用機器・銀行業・証券・商品先物業です。
海運業は3.09%高で首位。日本郵船が大手証券の目標株価引き上げ(6,200円から7,700円)を受けて2.6%高となり、上場来高値を更新しました。
その他製品は任天堂4.29%高、バンダイナムコホールディングス3.44%高のゲーム株が中心です。医薬品は中外製薬3.69%高、エーザイ3.51%高、第一三共3.31%高と全面高で、前日に33業種の最下位だった業種が1日で3位まで戻りました。保険業、不動産業、建設業、食料品も上位です。機械では三菱重工業が4.01%高でした。
下げた5業種のうち3つは資源です。WTI原油が105.83ドルから101.78ドルへ約4ドル下げ、鉱業は3.14%安、石油・石炭製品は0.65%安。非鉄金属も三井金属6.70%安、住友金属鉱山3.84%安と、前日まで4日続いた資源高が巻き戻されました。原油と業種の関係は原油高で上がる株・下がる株にまとめています。
銀行と自動車は買われませんでした|過去19回の利上げでも、そうなっていません
「米国が利上げなら、金利高で銀行、円安で自動車」とはなりませんでした。
銀行業は0.28%高でTOPIXに届かず、三菱UFJフィナンシャル・グループは0.08%安。証券・商品先物業は1.03%安で3日続落です。輸送用機器は1.04%高の19番目で、ドル円が52銭の円安だったわりには目立ちません。
私は「利上げなら銀行と自動車」という印象を持っていたので、過去10年の米利上げ19回について、決定の次の営業日にどうだったかを数えてみました。
| 業種 | 19回の平均 日経平均との差 | 日経平均より 強かった回数 | 今日 日経平均との差 |
|---|---|---|---|
| 銀行業 | -0.18 | 9回/19回 | -0.05 |
| 保険業 | -0.49 | 8回/19回 | +1.79 |
| 証券・商品先物業 | -0.12 | 10回/19回 | -1.36 |
| 輸送用機器 | +0.12 | 10回/19回 | +0.71 |
| 電気機器 | +0.18 | 10回/19回 | -0.70 |
単位はポイントで、業種の騰落率から日経平均の騰落率を引いた値です。過去19回は各業種の代表3社の平均、「今日」は東証が公表する33業種の指数で数えています。
銀行業は9回強くて10回弱い。輸送用機器は10回強くて9回弱い。どちらもコイン投げとほとんど変わりません。33業種すべてを見ても、19回の平均が「まぐれでも出る範囲」を超えた業種はひとつもありませんでした。
理由はその手前にあります。過去19回のうち、利上げの決定をはさんでドル円が円安へ動いたのは3回だけで、16回は円高方向でした。米10年国債の利回りが上がったのも6回で、13回は下がっています。利上げは決まる前から予想されているので、金利も為替も先に動いてしまい、決まった日には反対へ戻ることのほうが多かったわけです。
今回はドル円が円安、米長期金利もわずかに上昇と、過去では少ないほうの組み合わせでした。「年内あと1回」が示されて、打ち止め感が出なかったためだと私は見ています。それでも東京の銀行と証券が買われなかったのは、国内の金融株にとっては、あす結果が出る日銀の会合のほうが近い材料だからでしょう。銀行株と金利の関係は「金利が上がれば銀行株は買い」は本当か?で、円安の日に買われやすい業種は10年ぶんの集計で別に数えています。
明日以降|日銀の会合と植田総裁の会見、そのまま5連休へ
18日の大引けのあと、次に東京が開くのは24日です。
- ① 18日の日銀の会合。市場の予想は政策金利1.0%から1.25%への利上げで、国内の10年国債利回りは2.990%と3%の手前にあります。同じ日の朝には8月の全国消費者物価指数も出ます。
- ② 植田総裁の会見。利上げそのものは報道で広く伝わっていて、株価にはかなり入っていると思います。動くとすれば、その先の利上げのペースをどう語るかのほうです。
- ③ 19日からの5連休。東京市場は18日の大引けから24日(木)の寄り付きまで開きません。その間に米国市場は月・火・水と3日動きます。日銀の結果に対する海外勢の反応も、連休中にいったん出ることになります。
まとめ
9月17日のマーケット・3行まとめ
米FRBが3年2か月ぶりに0.25%の利上げを決めた日、日経平均は720円58銭高で始まり、213円25銭高の6万4,136円25銭で終了。TOPIXは0.80%高、東証グロース市場250指数は2.34%高でした。
アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で183円44銭を押し下げましたが、東証プライムの値上がりは1,289銘柄、33業種は上昇28・下落5。ハイテク以外は幅広く買われ、下げたのは原油安を受けた資源と、証券、電気機器でした。
銀行業は0.28%高で33業種の27番目。過去10年の米利上げ19回でも、翌営業日に銀行業が日経平均より強かったのは9回、輸送用機器は10回で、利上げの日にドル円が円安へ動いたのは3回だけでした。
米国の会合をひとつ通過して買いが広がった一方で、金利や景気に敏感なところには手が伸びていません。あすの日銀と、そのあとの5連休を前にした一日でした。
今日はハイテク以外の幅広い銘柄に買いが入りました。米国の会合というイベントを通過した安心感が大きかったのだと思います。
ウォーシュ議長の発言はややタカ派と受け取られたのか、米国株は日本時間の3時40分ごろから一気に売られました。ただ、引けにかけては戻しています。売りで決着したというより、受け止めがまだ割れている印象です。
あすの日銀の利上げは、すでに報道で伝わっていて、ほぼ織り込まれていると思います。気になるのはそのあとの植田総裁の会見で、今後の見通しをどう語るかです。
しかも、そのまま5連休に入ります。会見の内容を見きわめないまま、連休をまたいで大きく買うのは難しいところです。本格的な買い戻しがあるとするなら連休明けから、と見るのが正しいのではないかと考えています。
寄与額(図1):大引け後に公表された市場データにもとづく概算です。アドバンテスト111円03銭と東京エレクトロン72円41銭の押し下げの合計183円44銭を、日経平均の前日比213円25銭高に足し戻して396円69銭高としています。
過去19回の利上げ:2016年12月14日、2017年3月15日・6月14日・12月13日、2018年3月21日・6月13日・9月26日・12月19日、2022年3月16日・5月4日・6月15日・7月27日・9月21日・11月2日・12月14日、2023年2月1日・3月22日・5月3日・7月26日(米国時間の決定日)。翌営業日は、決定日のあと最初に東京市場が開いた日です。2022年5月・11月と2023年5月は日本の祝日をはさんでいます。
業種の数え方:33業種それぞれの代表3社(空運業は2社)について、調整後終値の前日比を単純平均し、同じ日の日経平均の前日比を引いた値です。東証が公表する業種別指数そのものではありません。「まぐれでも出る範囲」は19回の平均の±2標準誤差で、まぐれでも出る確率が20回に1回(5%)を切るかどうかの目安です。33業種すべてがこの範囲の内側でした。
ドル円と米金利:ドル円はYahoo!ファイナンスの日足で、決定の発表をはさむ1日の終値どうしの変化率。円高方向の16回のうち2022年11月は0.02%でほぼ横ばいです。米10年国債利回りは決定日の終値と前日終値の差で、上昇6回のうち2回は0.01ポイント未満でした。
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