日経平均1,078円高は底打ちなのか?|信用評価損は1年半ぶりの深さ、でも投げはまだ出ていません

日経平均1,078円高は底打ちなのか? 2026年10月27日、終値6万3,268円(+1.73%)、信用評価損益率−13.5%(10月23日申込分・2025年4月以来の深さ)、信用買い残6.53兆円(前週比−2.0%)、東証プライム売買代金6.94兆円(4月以降の平均9.6兆円)。信用評価損は1年半ぶりの深さ、でも投げはまだ出ていない

2026年10月27日、日経平均は1,078円高の6万3,268円(+1.73%)と4日ぶりに反発しました。取引時間中は一時1,495円高まで上げ、ここまで下げを引っ張ってきたAI・半導体株に買い戻しが入っています。

先週から今週にかけての安値は、どちらも1年半続く上昇トレンドラインのそばで止まりました。形だけ見れば「下げ止まった」ように見えます。

ただ、同じ日に公表された信用取引の数字は、まだそう言っていません。信用で買っている人の評価損は1年半ぶりの深さまで膨らんだのに、買い残はほとんど減っていないからです。

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この記事の要点(先に3つ)

① 日経平均は1,078円高。先週の安値6万1,462円と26日の安値6万2,094円は、2025年4月と2026年3月の安値を結んだ上昇トレンドラインのすぐ下で止まって戻しました。

② 信用評価損益率(信用で買っている人の含み損の平均)は−13.5%と、2025年4月の関税ショック以来の深さ。それでも買い残は6兆5,340億円で、前週から2.0%しか減っていません。去年4月は同じ深さの含み損のあと、買い残が1週で12%減りました。

③ 下げている間の売買代金は7.2兆円前後で、4月以降の平均(9.6兆円)を大きく下回ります。投げ売りが出た形ではなく、含み損を抱えた人が残ったままの反発です。上がれば戻り売りが出て上値は重く、先週の安値を割れば今度は投げが出て下に走る。どちらに転ぶかは、今週本格化する決算しだいだと私は見ています。

日経平均1,078円高|安値はトレンドラインのそばで2度止まりました

形は、下げ止まりの形です。

きっかけは前日の米国市場です。フィラデルフィア半導体株指数が+2.82%と買われ、東京でもアドバンテスト+8.98%・ソフトバンクグループ+4.95%・東京エレクトロン+3.07%と、10月に大きく下げた銘柄ほど戻しました。三菱UFJ+2.00%・みずほ+2.19%とメガバンクも上げています。

一方でTOPIXは+0.61%にとどまり、プライム市場は値下がり798銘柄が値上がり704銘柄を上回りました。上げたのは日経平均への影響が大きい値がさ株に偏り、不動産・医薬品・小売など前日まで買われていた内需株は売られています。

日経平均の週足(2025年3月〜2026年10月27日)と、2025年4月7日週・2026年3月30日週の安値を結んだ上昇トレンドライン 日経平均の週足ローソク足。2025年4月7日週の安値30,792円と2026年3月30日週の安値50,558円を結んだ線を右に延ばすと、先週(10月19日週)の位置で約61,798円、今週(10月26日週)の位置で約62,186円。先週の安値61,462円、今週の安値62,094円はいずれもこの線のすぐそばで止まり、10月27日は1,078円高の63,268円まで戻しました。 先週も今週も、安値は1年半の上昇トレンドラインのそばで止まりました 日経平均の週足(2025年3月〜2026年10月27日)。線は2025年4月7日週と2026年3月30日週の安値を結んだものです。 3万 3万5千 4万 4万5千 5万 5万5千 6万 6万5千 7万 2025/4 2025/7 2025/10 2026/1 2026/4 2026/7 2026/10 2025/4/7週 安値 30,792円 2026/3/30週 安値 50,558円 ○ 先週の安値 61,462円(線の335円下) ○ 今週の安値 62,094円(線の91円下)   → 27日の終値 63,268円 線の位置:先週 約61,798円/今週 約62,186円 先週の安値は線の335円下、26日の安値は線の91円下で止まり、27日に1,078円高(+1.73%)まで戻しました 線は2点を結んだだけのもので、ここで止まる保証はありません。今週の足は27日までの2日分です 出典:Yahoo!ファイナンス(^N225)の週足・日足から私が作成。先週は10月19〜23日、今週は10月26〜27日の日足から集計

図1:日経平均の週足(2025年3月〜2026年10月27日)。線は2025年4月7日週の安値3万792円と2026年3月30日週の安値5万558円を結んだもので、先週の位置では約6万1,798円、今週の位置では約6万2,186円です。先週の安値6万1,462円は線の335円下、26日の安値6万2,094円は線の91円下で止まりました。

10月6日の終値7万683円から26日まで、日経平均は12%下げています。その下げが2週続けて同じ線のそばで止まり、翌日に1,078円戻した。ここまでが「形」の話です。

信用の物差し|信用評価損は−13.5%、でも買い残は2.0%しか減っていません

形は下げ止まりでも、売りたい人はまだ残っています。

信用評価損益率は、信用取引で株を買っている人が平均でどのくらいの含み損を抱えているかを表す数字です。10月23日申込分は−13.5%で、前週の−10.41%から3ポイント悪化し、関税ショックのあった2025年4月4日(−15.3%)以来の深さになりました。松井証券の解説では「−20%前後で底入れの目安」とされています※1。

普通なら、含み損がこれだけ深くなると損切りが出て、買い残(信用で買ったまま持っている株の金額)も一緒に減ります。ところが今回の買い残は6兆5,340億円で、前週から約1,300億円、率にして2.0%減っただけです。1年前の4兆4,378億円と比べると1.5倍、6月の最高7兆167億円からも7%しか減っていません。

信用評価損益率(棒)と信用買い残(線)の推移(二市場・申込日ベース・2024年11月〜2026年10月23日) 棒は二市場の信用評価損益率、線は信用買い残(兆円)。2025年4月の関税ショックでは評価損益率が−15.3%まで下がり、翌週に買い残が5,188億円(−11.6%)減りました。2026年10月23日は評価損益率−13.5%と1年半ぶりの低さですが、買い残は65,340億円で前週から1,300億円(−2.0%)しか減っていません。 信用評価損は1年半ぶりの深さ。でも買い残は、ほとんど減っていません 二市場・申込日ベースの週次(2024年11月〜2026年10月23日申込分)。日経平均の線は入っていません 棒=信用評価損益率(%・左軸) 線=信用買い残(兆円・右軸) −16% −12% −8% −4% 0% 4% 3兆 4兆 5兆 6兆 7兆 8兆 2025/1 2025/4 2025/7 2025/10 2026/1 2026/4 2026/7 2026/10 ↖ 信用買い残(右軸) 2025年4月:評価損−15.3%の翌週、 買い残が1週で5,188億円(−12%)減った=投げ 4/4 −15.3% ● 10/23 買い残6.53兆円(前週比−2.0%) 減り方は去年4月(−12%)の6分の1 10/23 評価損益率−13.5%(1年半ぶりの深さ) ↓ −20%前後が底入れの目安(松井証券) 信用評価損は−13.5%で1年半ぶりの深さ。買い残は6.53兆円で、前週から2.0%しか減っていません 去年4月は、同じ深さの評価損のあと買い残が1週で12%減りました。今回はまだ、損を抱えたまま持っている人が大半です 買い残は1年前(4.44兆円)の1.5倍、6月の最高(7.02兆円)から7%減 出典:トレーダーズ・ウェブ「信用残の推移」(二市場・申込日ベース)。10月23日申込分は10月27日公表

図2:棒は信用評価損益率(左軸)、線は信用買い残(右軸・兆円)。二市場・申込日ベースの週次で、2024年11月から2026年10月23日申込分まで。金の棒は2025年4月4日と11日、赤の棒が10月23日です。

「投げが出る」とはどういう数字になるのか、去年4月が見本です。関税ショックで含み損が−15.3%まで深くなった翌週、買い残は1週で5,188億円(12%)減りました。損に耐えられなくなった人がまとめて手放し、その売りが安値を作ったあと、翌週の含み損は−13.3%まで戻っています。

今回は、含み損の深さだけが4月に近づき、買い残の減り方は4月の6分の1です。損を抱えたまま、戻りを待って持ち続けている人が大半だということです。この状態では、株価が上がったところで「含み損が減ったから手放す」売りが出やすく、上値は重くなります。

反対に、先週の安値6万1,462円を割って下に走る場面があれば、今度はこの残ったままの買い残が一斉に投げに変わります。買い残が多いほど投げの量も多いので、そのときの下げは速くなります。4月に1週で12%減った買い残は、いまの金額に置き換えると7,000億円を超える規模です。「上は重く、下に走ると速い」というのが、いまの信用の数字が示している形だと私は見ています。

売買代金の物差し|下げている間、商いは膨らんでいません

投げが出た日は、売買代金が膨らみます。今回はそれがありません。

セリング・クライマックス(投げ売りが集中し、売買代金が膨らんで大底を付ける形)が起きたかどうかは、代金を見れば分かります。東証プライムの1日の売買代金を並べると、こうなります。

期間・日東証プライム
1日の売買代金
日経平均読み方
4月22日〜10月27日の平均9.6兆円—物差しの基準
9月の平均8.2兆円—高値圏の商い
10月1日〜14日の平均7.8兆円7万円台から下げ始めやや細り気味
10月15日10兆1,401億円−4.90%下げ幅歴代3位の日。この日だけ膨らんだ
10月19日〜27日の平均7.2兆円6万2,000円台まで下落4月以降で最も細い週
10月23日8兆9,383億円−0.34%一時1,445円安から戻した日
10月26日6兆6,439億円−0.80%4月22日以降でいちばん少ない
10月27日(今日)6兆9,361億円+1.73%反発した日も細いまま

売買代金は私の日次集計(日経平均の値はYahoo!ファイナンスの終値ベース)。4月22日以降で7兆円を下回った日は7日あり、そのうち5日が10月19日以降の7営業日に集中しています。

日経平均が7万円台から12%下げる間に、商いが膨らんだのは10月15日の1日だけでした。その後は細る一方で、26日の6兆6,439億円は4月以降で最も少ない金額です。今日の反発も6兆9,361億円と、平均の7割ほどの商いで上げています。

「商いが細いのは、投げが出ないからではなく、そもそも売りたい人が少ないからでは?」という見方もできます。ただ、売りたい人が少ないなら買い残は減っているはずで、実際には減っていません。売りたい人は減っておらず、まだ売っていないだけ、というのが買い残と代金を合わせた読みです。

日経はハイテク、TOPIXは銀行|どちらも買い残を抱えたままです

指数の顔ぶれは違っても、起きていることは同じです。

日経平均はAI・半導体の値がさ株の影響が大きく、TOPIXは時価総額の大きい銀行株の比重が大きい指数です。それぞれの主力について、日経平均が7万円台を付けた10月6日から23日までの株価と、同じ期間の信用買い残を並べました。

銘柄株価
10/6→10/23
買い残
10/2
買い残
10/23
買い残の増減
日経平均への影響が大きい側(AI・半導体)
アドバンテスト−23%179万株350万株+96%
ソフトバンクグループ−32%3,174万株4,313万株+36%
東京エレクトロン−26%1,084万株1,182万株+9%
キオクシアHD−32%4,147万株4,823万株+16%
TOPIXへの影響が大きい側(銀行)
三菱UFJ−10%4,044万株4,069万株+1%
三井住友FG−9%2,782万株2,664万株−4%
みずほFG−16%750万株958万株+28%
りそなHD−18%294万株565万株+92%

買い残は株数ベース(Yahoo!ファイナンス「信用残時系列」)。9月末に株式分割をした銘柄があるため、起点は分割後の10月2日申込分にそろえています。株価は10月6日と10月23日の終値の比較で、どちらも同じ申込日(10月23日)の買い残と向きを合わせるためです。

ハイテク側は、株価が2〜3割下げる間に買い残が増えています。アドバンテストは3週間で約2倍、ソフトバンクグループは4割近く増えました。下げたところを「安い」と見て信用で買った人が、そのまま含み損を抱えている形です。

銀行側は、株価の下げは1〜2割とハイテクより浅い分、買い残の動きも小さめです。三菱UFJと三井住友は横ばいですが、みずほは3割近く、りそなは2倍近くに増えており、こちらも減ってはいません。上がったところで戻り売りが出やすいという点では、日経平均もTOPIXも同じ条件にあります。

ここから上か下かを決めるもの|今週の決算と、買い残の減り方です

形は下げ止まり、需給は重いまま。どちらが勝つかを決める材料が、今週に集中しています。

28日にアドバンテスト、30日に東京エレクトロンとキオクシアホールディングスの決算があります。10月に買い残を増やした銘柄ばかりで、決算を受けて上げれば戻り売りをこなしながらの上昇、下げれば先週の安値を試す動きになります。29日にはFOMC、30日には日銀会合の結果も出ます。

今週、確かめたい3つ
  • ① 決算を出した半導体株が、翌日に買われるか売られるか。アドバンテスト(28日)と東京エレクトロン・キオクシア(30日)の翌日の値動きが、戻り売りの量を教えてくれます。
  • ② 先週の安値6万1,462円を終値で割るかどうか。割ると図1の線を失うだけでなく、残ったままの買い残が投げに変わり、下げが速くなる場面を想定しておきます。
  • ③ 来週公表される買い残(10月30日申込分)が減るか。含み損が深いまま買い残が減らなければ上値の重さは続き、まとまって減れば「投げが出た」に近づきます。去年4月の1週で12%減が目安です。

まとめ

10月27日のマーケット・3行まとめ

日経平均は1,078円高の6万3,268円。先週と今週の安値は、1年半続く上昇トレンドラインのすぐ下で止まりました。

信用評価損益率(信用買いの含み損の平均)は−13.5%と1年半ぶりの深さ。それでも買い残は2.0%しか減らず、去年4月のような投げは出ていません。売買代金も4月以降で最も細い水準です。

上がれば戻り売りで上値は重く、先週の安値を割れば投げで下げが速くなる。どちらに転ぶかは、今週の半導体決算と来週の買い残の減り方で見ます。

形は下げ止まり。信用の需給はまだ、下げ止まっていません。

📝 個人的な見解
反発しても上値は重い。下に走れば速い。決算が向きを決めると見ています

今日は久しぶりにハイテクが反発し、週足のトレンドラインできれいに止まった形になりました。ただ、信用評価損益率が−13.5%まで下がったのに買い残はそれほど減っておらず、個別株ではむしろ増えています。下げている間の売買代金も膨らんでおらず、セリング・クライマックスは起きていないと見ています。

そのため、上昇しても高値で買って含み損を抱えている人の戻り売りで上値は重くなると考えています。日経平均ならハイテク、TOPIXなら銀行株で同じことが起きていて、どちらも上は重い。反対に、下に走る場面があればそこで投げ売りが出て、一気に下げるシナリオも持っておきます。ここから上か下かは、その戻り売りの解消と、本格化する決算の結果しだいだと思っています。

▼データの出どころ

指数と相場の経過:日経平均の始値・高値・安値・終値はYahoo!ファイナンス(^N225)の日足で、週足は日足から私が集計しました(先週は10月19〜23日、今週は10月26〜27日)。業種・個別銘柄の騰落率、値上がり・値下がりの銘柄数、米半導体株指数の騰落率は大引け後の報道と取引所データによるものです。

図1の線:2025年4月7日週の安値と2026年3月30日週の安値の2点を結び、週を横軸にして右へ延ばしたものです。先週・今週の位置の値は、その直線の計算値です。

信用評価損益率と買い残:トレーダーズ・ウェブ「信用残の推移」の二市場(東証・名証)・申込日ベースの週次データです。10月23日申込分は10月27日に公表されました。2025年4月の比較も同じ表の数字です。

売買代金:東証プライムの1日の売買代金を、私が日次で記録しているものです。4月22日以降の125営業日を対象にしました。

個別銘柄の買い残:Yahoo!ファイナンス各銘柄の「信用残時系列データ」(株数・申込日ベース)です。9月末に株式分割があった銘柄があるため、起点を10月2日申込分にそろえています。

▼脚注

※1 松井証券「信用評価損益率のご紹介」(matsui.co.jp)。「買い方の評価損益率が−20%を下回ると追証が発生する水準となり、−20%前後で底入れの目安、反対に0%に近づくと天井圏に達したと見なされます」との記述によります。

※本記事は、公表情報および私が独自に集計した市場データをもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。日経平均の値はYahoo!ファイナンスの日足にもとづく作成時点の数値で、取引所の公式値と小数点以下が異なることがあります。図1の線は私が2点を結んで引いたもので、相場の節目として公式に定義されたものではありません。信用評価損益率の「底入れの目安」は証券会社の解説にもとづく一般的な読み方で、将来の値動きを保証するものではありません。「投げはまだ出ていない」「上値は重い」は私の観察による見立てです。個別銘柄の数字は作成時点の公表データにもとづきます。過去の傾向は将来の値動きを保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
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