信用評価損益率が約13年ぶりプラス転換|+1.47%が映す日本株の現在地

本日2026年6月24日に更新された信用評価損益率が+1.47%と、プラスに転じました。この指標は普段ほぼマイナスで動くものなので、プラスというだけでかなり珍しい数字です。先週6月12日時点では−3.86%でしたから、わずか1週間で大きく改善した格好になります。しかも、信用評価損益率がプラスに転じるのは、各種報道・集計によるとアベノミクス相場初期の2013年以来、約13年ぶりとのことです。前日に続く調整局面のなかで、これだけ珍しい数字が出てきたわけですから、私はここを少し立ち止まって見ておきたいと思っています。 この記事は「上がる/下がる」を当てに行くものではありません。プラス転換という珍しいサインが需給面で何を示しているのかを、私なりに整理してみます。昨日の日経−3.55%急落のシナリオ点検で「含み損はまだ浅い」と書いた、その続きの話でもあります。
先に3行で
  1. 信用評価損益率が本日更新で+1.47%へプラス転換。普段はマイナスの指標で、プラスは2013年以来・約13年ぶりのかなり珍しい水準です。
  2. 先週の−3.86%から1週間で急改善。とはいえ、これは6月19日基準の週次データで、その後の続落はまだ反映されていません。
  3. プラスは「含み損が消えた」状態。戻れば利益確定売りが出やすく、上値が重くなりやすい局面なのかなと思います。

何が起きたか ―― 指標がプラスに転じた

そもそも信用評価損益率とは?信用取引で買い建てをしている投資家全体が、いまどれだけの含み損益を抱えているかが分かる指標です。プラスなら含み益、マイナスなら含み損を抱えた投資家が多い、という状態を意味します。ただ、利益が出た建玉から先に決済されやすいため、通常はマイナスで推移することがほとんどなんですよね。だからこそ、今回の+1.47%は「単にプラスになった」以上のインパクトがあります。

まず事実の確認からです。その珍しい数字が、本日更新で+1.47%として出てきました。買い方の多くが含み益を抱えている、という珍しい状態です。背景には、6月中旬にかけて続いた日本株全体の大幅な上昇があります。多くの買い方が含み益を抱えたまま週をまたいだ、ということなのかなと思います。なお、この指標は週1回・木曜に公表される週次データで、今回の数字は6月19日時点を基準にしています。

数値で見るインパクト ―― 1週間での急変

変化の大きさを並べてみます。先週6月12日時点は−3.86%でしたから、本日の+1.47%まで、1週間でおよそ5.3ポイント(pt=%どうしの差分)も改善した計算です。年初来をたどると、4月初旬に−7%台まで悪化したあと、6月上旬に−0.68%まで戻り、6月12日で−3.86%へ再び沈み、そして今回プラス浮上、という流れになります。一直線ではなく、行ったり来たりしながら最後に振り切れた、という感じですね。

信用評価損益率の温度帯と本日の位置(+1.47%)信用評価損益率を-20%から+5%の数直線で示した図。底値圏(-20〜-15%)、通常レンジ(-15〜-3%)、天井圏(-3〜0%)、過熱圏(0%超)の4帯に色分け。先週6/12の-3.86%と本日の+1.47%を上部に並べ、1週間で+5.3pt上昇したことを示す。本日の+1.47%は過熱圏に位置。-3%付近が天井圏、-15〜-20%が底値圏の目安。本数値は週次6/19基準の遅行データ。 信用評価損益率はいま「どの温度帯」? 通常はマイナスの指標が+1.47%へ。天井警戒(−3%)を大きく上抜け。 1週間で +5.3pt 先週 −3.86% 本日 +1.47% 底値圏 通常レンジ 天井圏 過熱圏 -20% -15% -10% -3% 0% +5% ※−3%付近=天井圏/−15〜−20%=底値圏。本数値は週次(6/19基準)の遅行データです。
信用評価損益率の温度帯と本日の位置。−3%付近が「天井圏」、−15〜−20%が「底値圏」の目安とされます。本日の+1.47%は、その天井ラインをさらに上抜けた過熱ゾーンにあります(数値は6/19基準の週次データ)。

水準の感覚もそえておきます。この指標は通常はおおむね−3〜−9%で推移し、過去をさかのぼってもだいたいプラス5%〜マイナス25%の範囲に収まってきました。一般には−3%付近に近づくと「天井圏」、−15〜−20%まで沈むと「底値圏」とされます。つまり+1.47%は、天井警戒ラインをさらに4.5ptほど上に抜けた、めったに出ない側の数字ということになります。

プラス転換は約13年ぶり各種報道・集計によると、この指標がプラスをつけたのはアベノミクス相場初期の2013年(5月ごろ)が最後で、それ以降はプラスになったことがありませんでした。今回の+1.47%は、その約13年ぶりの出来事ということになります。それだけ、いまの買い方の含み益が積み上がっている状態なんですよね。

プラス転換が示すもの ―― 「戻り売り予備軍」の山

では、プラスであることは何を示しているのでしょうか。ここは少していねいに見ておきます。含み損を抱えた投資家は「買値まで戻ったら売りたい」と考えますが、じつは含み益を抱えた投資家も「この利益を確定したい」と考えます。つまり、含み益が積み上がるほど、相場が戻ったときに出てくる利益確定の売り圧力も増えやすい、ということなんですよね。だから含み益の建玉は、相場が少し戻したところで売りに変わりやすい「予備軍」として積み上がっている、と読めます。過去のデータでも、買い方の評価損益率が0%前後に近づいた局面では、日経平均もその前後でいったん天井をつけるケースが多いと言われてきました。

プラス=過熱のサイン含み益を抱えた買い方が多いほど、戻り局面での利益確定売りが出やすくなります。さらに、現物の投資家も信用の動向を見ているため、買い控えにつながりやすい。上値が重くなりやすい地合いという点は、意識しておきたいところです。

私の独自指標のほうでも、この珍しさは裏が取れています。市場体温計の「高温シグナル」は本日1つ点灯していて、その点灯源がまさにこの信用評価損益率なんですよね。普段は天井圏を判定するための閾値(−3%以上)を、今回は大きく超えてきた格好です。

市場体温計のLayer 2(高温シグナル)とは

私が日々の相場を測るのに使っている独自指標で、相場の過熱・底値を3層で見るものです。そのうち「Layer 2=高温シグナル」は、RSI70超比率・25日乖離率・騰落レシオ・そして信用評価損益率の4項目で、相場の過熱を検知します。本日はこの信用評価損益率の1項目だけが点灯していて、ほかの過熱サインはまだ出ていない、という状態です。

本日の国内市場 ―― 続落でも内需は逆行高

需給の話とあわせて、本日の値動きも見ておきます。本日の日経平均は−0.88%、TOPIXは−0.67%と、前日に続く続落2日目でした。値上がりした業種は33業種中10、上昇銘柄比率も43%台と、幅としては弱めです。ところが業種別の中身を見ると、必ずしも一方通行ではありませんでした。

業種ごとの強弱を、私は対TOPIX相対騰落(業種の騰落率からTOPIXの騰落率を引いた、相対的な強さ)で見ています。本日いちばん強かったのは医薬品で+1.14%(相対騰落+1.81pt)、続いて空運業+0.95%(+1.62pt)、海運業+0.80%(+1.47pt)と、ディフェンシブ・内需系が逆行高で目立ちました。逆に弱かったのは保険業−3.97%(−3.30pt)や非鉄金属−2.43%(−1.76pt)で、金融とハイテク・資源に売りが偏っています(対TOPIX相対騰落など業種別の見方は対TOPIX相対騰落 累積ptの読み方で解説しています)。

つまり、指数は下げつつも、資金は守りのセクターへ逃げている。こういう「広く下げながら、内需だけ静かに買われる」流れは、調整局面で出やすいパターンだったりします。信用評価損益率のプラスとあわせて読むと、過熱の名残と、守りへのシフトが同居している地合いと言えそうです。

データの鮮度と、翌日以降

ここは強調しておきたいのですが、今回の+1.47%は6月19日基準の週次データです。その後の6月23日(−3.55%)と本日6月24日(−0.88%)の下げは、まだこの数字に反映されていません。ですので、いま実際の信用評価損益率は、この+1.47%よりもすでに低下している可能性が高いと見ておくのが自然です。あくまで「7万円ピーク前後の熱を写した、少し遅れて届くスナップショット」として受け止めたいところです。

次に確認したいこと次回の週次更新で、この数字がどこまで下がるか。大きくマイナスへ戻れば「いったん含み益が吐き出された」サイン、浅いマイナスにとどまれば「まだ高値圏の需給が残っている」と読めます。あわせて、戻り局面で上値が重いかどうかも見ておきたいですね。

まとめ

本日更新の信用評価損益率がプラスに転じたのは、約13年ぶりの珍しい出来事です。プラスは「含み損が消えた」状態であり、裏を返せば戻り売りに変わりやすい買いポジションの山でもあります。市場体温計の高温シグナルも、この1点だけが点灯しました。続落のなかで内需だけ逆行高という本日の値動きとあわせると、過熱の名残を引きずったまま守りへ傾いている、というのが私の見立てです。ただし数字は遅行データである点は忘れず、次回更新での低下幅を見て判断したいと思います。当日のマーケット全体の動きは日次レポートでも整理しています。

※本記事は私個人が独自に収集・整理したデータと指標にもとづく見解であり、特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。数値は各種公表データをもとにしていますが、正確性を保証するものではなく、信用評価損益率は週次(公表に数日のタイムラグ)の指標です。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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