2026年10月15日、日経平均は3,318円34銭安の6万4,425円95銭(4.90%安)で6日続落しました。1日の下げ幅としては、2024年8月5日の4,451円、1987年10月20日の3,836円に次ぐ歴代3位です。TOPIXは2.38%安の3,999.34で、終値で4,000を割ったのは8月4日以来でした。
ただ、「歴代3位」は円で数えた順位です。率で見ると4.90%で、歴代の下落率の上位20日には入りません。今年に限っても、3月9日の5.20%安のほうが大きい下げでした。日経平均が6万円台にいるいまは、4〜5%の下げでも円の数字が歴代級になります。
もうひとつ、この日は全部が売られた日ではありません。東証プライムで上がった銘柄は565あり、33業種のうち10業種は上がっています。下げ幅3,318円のうち7割は、アドバンテストなどAI関連の5社によるものでした。
① 下げ幅3,318円は歴代3位ですが、率では4.90%で歴代上位20日に入りません。下げ幅の上位10日のうち7日が今年で、指数の水準が高いぶん円の数字が大きく出ています。
② 3,318円のうち、アドバンテスト1社で約1,303円、東京エレクトロン・ソフトバンクグループ・イビデン・フジクラを足した5社で約2,455円(74%)。TOPIXは2.38%安にとどまり、値上がりは565銘柄、医薬品は4.01%高でした。
③ 売買代金は10兆1,401億円と約1か月ぶりの10兆円超え、日経平均VI(先行きの不安の物差し)は28.09から36.13へ。6日続落で6,258円下げたあとで、次に見るのは9月15日の終値6万3,484円を割るかどうかです。
歴代3位は「円」の順位です|率で見ると4.90%、今年3月9日より小さい下げでした
円の大きさは歴代級。率は、今年に何度かあった下げの範囲です。
下げの材料は前日14日の米国市場です。9月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、利上げ観測が再燃しました。そこへAI向けクラウド事業者のコアウィーブの社債価格が急落してAIインフラ投資の資金繰りへの不安が広がり、ナスダック総合は1.88%安、半導体のSOX指数は4.29%安で6日続落です。東京市場はこの流れを引き継いで日経平均は863円安で始まり、下げ幅を広げて12時51分には3,651円安の6万4,092円74銭まで下げました。韓国の総合株価指数(KOSPI)も7%超の急落となり、取引が一時止まる措置がとられています。午後のTSMC(台湾)の7〜9月期決算は売上高・純利益とも四半期で過去最高と伝わりましたが、東京の戻りは安値から333円にとどまりました。
図1:日経平均が1日で下げた円の大きさ 歴代上位10日。右の数字はその日の下落率です。日経平均プロフィルの「下落幅上位」に10月15日を加えて作成しました。
図1は、日経平均が1日で下げた「円」が大きかった順の上位10日です。1位の2024年8月5日と2位の1987年10月20日は、率でも12.40%・14.90%と歴代の上位にいます。一方で3位のこの日は4.90%で、率の歴代上位20日(20位でも6.61%)には入りません。今年の中でも、3月9日の5.20%安のほうが大きい下げでした。上位10日のうち7日が2026年に入ってからの日で、日経平均が5万〜7万円台で動くようになってから、同じ率の下げでも円の数字が大きく出るようになっています。
6日続落で下げた幅は合計6,258円(8.8%)です。終値で6万5,000円を割ったのは9月17日以来、約1か月ぶりでした。
3,318円のうち7割はAI関連の5社|TOPIXは2.38%安で、上がった株も565ありました
指数の下げ幅ほど、中身は全面安ではありませんでした。
日経平均を押し下げた金額が大きかったのは、アドバンテストの14.96%安で約1,303円、東京エレクトロン7.78%安で約442円、ソフトバンクグループ9.33%安で約404円、イビデン12.22%安で約173円、フジクラ12.69%安で約133円です。5社で約2,455円と、下げ幅3,318円の74%になります。日経平均が特定の値がさ株に左右されやすい仕組みは、「日経平均は上位3社で決まる」は本当か?で調べています。
図2:10月15日の日経平均の下げ幅3,318円を、押し下げた金額が大きい順に5社と残りの220銘柄に分けたものです。押し下げ額は概算です。
日経平均が4.90%安だったのに対し、TOPIXは2.38%安でした。2つの差が2.5ポイント以上開いたのは、下げが値がさのAI関連株に集まっていたからです。東証プライムでは値上がりが565銘柄、値下がりが948銘柄で、上がった銘柄は全体の36.6%。前日の38.6%とほとんど変わっていません。33業種では10業種が上げています。日経平均とTOPIXが逆を向くほどではありませんが、似た型の日は日経518円安でTOPIXは上昇|AIを作る側と使う側が逆を向いた日にも書きました。
売られたのは非鉄金属と電気機器、買われたのは医薬品と不動産でした
逃げた先は、景気に左右されにくい内需の業種です。
33業種で下げが大きかったのは、非鉄金属の10.67%安、電気機器6.13%安、ガラス・土石製品5.56%安、機械5.00%安、金属製品4.59%安です。非鉄金属は三井金属13.14%安、古河電気工業13.10%安、フジクラ12.69%安と、データセンター向けの電線株がそろって下げました。電気機器はアドバンテストのほか、レーザーテック13.56%安、KOKUSAI ELECTRIC13.48%安、キオクシアホールディングス12.32%安、太陽誘電10.08%安、村田製作所10.03%安と、半導体と電子部品が同時に売られています。値下がり率の首位はIDOMの20.07%安、2位はメイコーの18.49%安、3位がアドバンテストでした。
上がったのは医薬品の4.01%高を筆頭に、不動産業2.15%高、小売業1.93%高、パルプ・紙1.52%高、食料品1.16%高です。医薬品は住友ファーマ15.81%高、武田薬品工業4.99%高、大塚ホールディングス4.66%高と幅広く買われ、小売業では良品計画が最高益の見通しを受けて9.51%高と上場来高値をつけました。値上がり率の首位はPR TIMESの21.91%高です。
売買代金は東証プライムで10兆1,401億円と、前日の7兆4,508億円から急増し、約1か月ぶりに10兆円を上回りました。首位はキオクシアホールディングスの1兆373億円、2位がアドバンテストの9,330億円で、売買代金の上位10銘柄のうち上がったのはファーストリテイリング(0.74%高)だけです。年初来高値の更新は36銘柄、安値の更新は48銘柄で、安値更新が高値更新を上回りました。前日は高値55・安値19だったので、1日で逆転しています。
6日続落で6,258円|次に見るのは9月15日の終値6万3,484円です
下げ幅の大きさより、どこで止まるかを見ます。
日経平均もTOPIXも、この日の下げで25日線(過去25営業日の終値の平均)を割り込みました。日経平均は25日線の3.10%下、TOPIXは2.19%下です。日経平均VI(日経平均のオプションの値段から出す「これから1か月の値動きの予想幅」)は28.09から36.13へ上がり、7月30日の39.79以来の高さになりました。空売り比率(売買代金のうち空売りが占める割合)は39.0%から39.4%へとわずかな上がり方で、下げ幅のわりには空売りが膨らんだ日ではありません。騰落レシオ(6日。上がった銘柄数÷下がった銘柄数で、100が中立)は120.38から92.58へ下がっています。
「過去3番目の下げ幅なら、あすは反発があるのでは」と、私もまず考えました。急落の翌日に反発しやすいかどうかは「急落の翌日は反発する」は本当か?で過去のデータを調べていて、戻ること自体はありましたが、戻りが続く期間は短いという結果でした。6日続落で6,258円下げた直後の戻りは、上で買って含み損を抱えている人の売りに当たりやすい位置でもあります。
- ① 9月15日の終値6万3,484円10銭を割るかどうか。直近20日の終値の安値で、この日の終値はまだ942円上にいます。ここを終値で割ると、下げが一段深くなります。
- ② 米半導体株とコアウィーブの社債がどう消化されるか。SOX指数は6日続落で、TSMCの最高益決算でも東京の半導体株は戻りませんでした。今晩の米国でSOXが止まるかが、あすのアドバンテストと東京エレクトロンの寄り付きを左右します。米半導体と日本の半導体の関係は米半導体5.86%安でも日本の半導体は下げずに書きました。
- ③ 医薬品・不動産・小売が翌日も続くか。この日は逃げ先になりましたが、全面安の中で「下がらなかっただけ」なら、相場が落ち着くと戻されます。サブ業種ごとの並びは同じ日の日次レポートで追っています。
まとめ
10月15日のマーケット・3行まとめ
日経平均は3,318円34銭安の6万4,425円95銭で6日続落。下げ幅は2024年8月5日・1987年10月20日に次ぐ歴代3位ですが、率では4.90%で歴代上位20日に入らず、今年3月9日の5.20%安より小さい下げでした。
3,318円のうちアドバンテスト1社で約1,303円、AI関連の5社で約2,455円(74%)。TOPIXは2.38%安で、東証プライムの値上がりは565銘柄、医薬品4.01%高など10業種が上げました。売られたのは非鉄金属(10.67%安)と電気機器、買われたのは医薬品・不動産・小売です。
売買代金は10兆1,401億円と約1か月ぶりの10兆円超え、日経平均VIは28.09から36.13へ。日経平均もTOPIXも25日線を割り、次に見るのは9月15日の終値6万3,484円を割るかどうかです。
円では歴代3位、率では今年の範囲。下げの中身はAI関連に偏った日でした。
これまでの歴代の暴落は、ほぼ全銘柄が下げるような相場になることが多かったと思います。今回は半導体を中心にした大きな下げが原因で、上がった銘柄も565あり、総悲観とまでは言えない気がしています。
今日の下げはかなり大きいものの、9月中旬につけた直近の安値(終値で6万3,484円)は割っておらず、まだ下降トレンドとは言えません。あすは週末を前にした金曜日で、積極的な買いは入りにくいと思いますが、日経平均が底堅く推移すれば、まだ高値を目指す展開もあると思っています。
ただ、それもひとつのシナリオです。このままどんどん下げる展開も頭に入れつつ、相場を観察したいと思います。
指数と業種:日経平均・TOPIX・東証グロース市場250指数・33業種の騰落率・個別銘柄の騰落率・売買代金・値上がり値下がりの銘柄数・年初来高値と安値の更新数は、大引け後に公表された市場データにもとづきます。寄り付きの下げ幅(863円)と安値の時刻(12時51分・6万4,092円74銭)は大引け後の報道によるものです。
図1の歴代ランキング:日本経済新聞社の日経平均プロフィル「記録(下落幅上位・下落率上位)」の2026年10月15日時点の一覧に、同日の3,318円34銭を加えたものです。各日の下落率は「下げ幅÷前日終値」で私が計算しました(前日終値は一覧の終値と下げ幅から逆算)。「率の歴代上位20日に入らない」は、同じ一覧の下落率上位20位(1972年6月24日の6.61%)と比べたものです。
図2の押し下げ額:各銘柄が日経平均を押し下げた金額は、大引け後の報道と、各銘柄の下落幅に株価換算係数を掛けて除数で割った私の概算です。「残りの220銘柄」は3,318円から5社の合計を引いた差で、上げた銘柄の押し上げ分も差し引いた値です。
需給の物差し:日経平均VI(大阪取引所)・空売り比率(東京証券取引所)・騰落レシオ・25日線との差は、日次レポートの入力時点(大引け後)に記録した値です。6日続落の合計(6,258円)は10月6日の終値からの差です。
材料:米CPI・コアウィーブの社債・米国市場とSOX指数の騰落率・KOSPIの急落と取引停止・TSMCの決算・良品計画の上場来高値は、作成時点の報道によるものです。
日経平均が値がさ株に左右される仕組みは「日経平均は上位3社で決まる」は本当か?、急落のあとの戻りは「急落の翌日は反発する」は本当か?、米半導体との関係は米半導体5.86%安でも日本の半導体は下げずにまとめています。前回のマーケットニュースはTOPIX入れ替え結果|683社が外れる方向へ、毎日の数字は日次レポートで追っています。















コメントを残す