中間決算、予想を上方修正した会社は10年で最多|日経歴代3番目の下げの日に見えた決算の強さ

中間決算、予想を上方修正した会社は10年で最多。通期予想を上方修正した会社の割合は2026年が30.4%で、2017〜2025年を上回った

2026年11月6日、日経平均は3,643円安の5万7,434円(−5.96%)でした。下げ幅は歴代3番目です。

その一方で、10月から続く中間決算は、ここまでとても強い中身でした。10月1日から11月6日までに決算や業績修正を出したプライム企業794社のうち、通期の利益予想を引き上げた会社は30.4%。2017年以降の10年でいちばん高い割合です。

◆
この記事の要点(先に3つ)

① 予想を上方修正した会社は30.4%、下方修正は7.6%。上方修正はこれまでの最高(2021年の25.0%)を上回りました。

② 上方修正が平年より大きく増えたのは、化学・ガラス土石・電気機器など、AI・半導体の材料や部材を多く含む業種です。

③ ただし、上方修正が多かった業種でも株価は下げています。電気機器は決算が本格化した10/23から−15.9%でした。

中間決算の途中経過|予想を上げた会社は10年で最多

上方修正30.4%に対して、下方修正は7.6%です。

数え方は単純です。決算短信には、会社が今期1年間の利益をどのくらいと見ているかという「通期予想」が載っています。その予想を、前に出していた予想と比べて上げたか下げたかを、1社ずつ数えました。毎年同じ10/1〜11/6の期間で、2021年までは東証一部、2022年からはプライムの会社です。

会社が任意で出した小さな修正も含みます。一方で、上期の予想だけ、最終利益だけを上げた修正は数えていないので、株探の見出しで数えた場合(35.3%)より少し低めに出ます。

中間決算シーズンに通期予想を上方修正・下方修正した会社の割合の推移(2017〜2026年) 上方修正の割合は2017年22.5%、2018年13.0%、2019年11.0%、2020年23.3%、2021年25.0%、2022年22.1%、2023年24.1%、2024年19.1%、2025年23.5%、2026年30.4%。下方修正は2017年7.9%から2019年20.2%まで増え、2026年は7.6%。 上方修正の割合は30.4%、ここ10年でいちばん高い 各年10/1〜11/6に決算・業績修正を出した会社のうち、通期の利益予想を上げた/下げた会社の割合 上方修正 下方修正 0% 10% 20% 30% 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 22.5 13.0 11.0 23.3 25.0 22.1 24.1 19.1 23.5 30.4 7.9 15.5 20.2 5.8 10.7 13.1 10.7 12.6 10.9 7.6 2021年までは東証一部、2022年からはプライム。2020年はコロナで予想を出していなかった会社が多く、上方修正は小さめに出ている。 出所:J-Quants(決算短信サマリー)から私が集計

図1:中間決算シーズン(10/1〜11/6)に、通期の利益予想を上方修正・下方修正した会社の割合。

2026年は、決算を出した794社のうち241社が上方修正、60社が下方修正でした。上方と下方の差は+22.8ポイントで、これも10年でいちばん開いています。配当予想を引き上げた会社も20.0%と、10年で最も多くなりました。

年ごとの背景|下方修正が多かったのは米中摩擦の年

その年に何があり、どの業種が予想を修正したかを並べました。

中間決算シーズンに通期予想を上方修正・下方修正した会社の割合(2017〜2026年) 各年10月1日から11月6日に決算か業績修正を出した会社のうち、通期の利益予想を引き上げた会社と引き下げた会社の割合。2026年は上方修正30.4%で10年で最も高く、下方修正は7.6%。年ごとの主な出来事と、修正が多かった業種を同じ行に並べた。 その年に何があったか、どの業種が予想を修正したか 各年10/1〜11/6に決算・業績修正を出した会社のうち、通期の利益予想を上げた/下げた会社の割合 年 上方修正/下方修正 その年の主な出来事 上方修正が多かった業種 下方修正が多かった業種 2017 22.5% 7.9% 世界景気の回復と円安 (1ドル110円台) 陸運 54% 輸送用機器 52% 食料品 25% 医薬品 20% 2018 13.0% 15.5% 米中の貿易摩擦が 強まり、中国向けが鈍る 輸送用機器 36% ガラス・土石 25% 非鉄金属 41% 繊維 35% 2019 11.0% 20.2% 米中の貿易摩擦で 製造業の景気が悪化 陸運 38% 医薬品 27% 輸送用機器 62% 機械 52% 2020 23.3% 5.8% コロナ。予想を出せない 会社が多かった年 輸送用機器 48% 鉄鋼 43% 医薬品 20% 化学 14% 2021 25.0% 10.7% 経済の再開と資源高。 半導体不足で車は減産 ガラス・土石 67% 倉庫・運輸 50% 電気・ガス 53% 輸送用機器 42% 2022 22.1% 13.1% 円安(1ドル150円近く) と資源高 倉庫・運輸 60% 鉄鋼 59% ガラス・土石 40% 輸送用機器 26% 2023 24.1% 10.7% 円安が続き、値上げが 浸透。車の生産も回復 輸送用機器 70% 陸運 57% 化学 27% 電気機器 27% 2024 19.1% 12.6% 7月から円高に (160円台→140円台) 電気・ガス 44% 医薬品 43% 鉄鋼 53% 輸送用機器 35% 2025 23.5% 10.9% 米国の関税の 引き上げ 電気・ガス 53% ガラス・土石 50% 鉄鋼 44% 精密機器 30% 2026 30.4% 7.6% AI・半導体と、その材料や 部材まわりの伸び ガラス・土石 60% 化学 54% 鉄鋼 39% 輸送用機器 26% 業種は発表10社以上の業種の中での上位2つ(%は、その業種で決算を出した会社に占める割合)。2021年までは東証一部、2022年からはプライム。 出所:J-Quants(決算短信サマリー)から私が集計。「主な出来事」は各年の相場の背景を私が整理したもので、修正の原因を確かめたものではありません。

図2:年ごとの上方修正・下方修正の割合と、その年の主な出来事、修正が多かった業種。

下方修正が上方修正を上回ったのは、2018年と2019年の2回だけです。2019年の下方修正(20.2%)はコロナではなく、米中の貿易摩擦によるものです。2019年の中間決算は10〜11月で、コロナが日本の業績に響き始めたのは翌2020年の2〜3月でした。輸送用機器の62%、機械の52%が予想を下げています。

コロナの年の2020年は、逆に下方修正が5.8%と10年でいちばん少ない年です。業績の悪化は春の本決算のときに予想へ織り込まれていて、秋の中間決算では「思ったほど悪くない」という上方修正のほうが多く出ました。

気になるのは鉄鋼です。2024〜2026年の3年続けて、下方修正が多い業種の1位になっています。鉄鋼大手は今年2月にも、中国の鋼材の輸出が多すぎて値段が下がっていることと、建物向けの需要の弱さを挙げて予想を下げていました。

業種別|AI・半導体の材料まわりが目立ちました

平年と比べて、上方修正がどれだけ増えたかで並べました。

業種別の上方修正率(2026年と過去9年の平均)と、決算期間中の株価 発表10社以上の23業種。上方修正率が平年より大きく増えたのは銀行(48%、平年14%)、化学(54%、25%)、ガラス・土石(60%、36%)、電気機器(50%、28%)。食料品は3%で平年の21%を大きく下回った。10月23日から11月6日の株価は、電気機器−15.9%、機械−12.8%と、上方修正が多かった業種でも大きく下げた。 上方修正が増えた業種でも、株価は下げていました 2026年の上方修正率を、過去9年(2017〜2025年)の平均と比べた並び。発表10社以上の23業種 業種(発表社数) 上方修正率 ■2026年 ■過去9年の平均 平年との差 株価 10/23→11/6 銀行(27) 48%(14%) +34pt −5.3% 化学(56) 54%(25%) +28pt −6.4% ガラス・土石(10) 60%(36%) +24pt −7.9% 電気機器(72) 50%(28%) +22pt −15.9% 不動産業(23) 35%(15%) +19pt +2.7% 卸売業(69) 41%(23%) +18pt −4.5% 医薬品(19) 42%(25%) +17pt −0.7% 精密機器(15) 40%(24%) +16pt −9.0% 繊維製品(14) 29%(13%) +16pt −0.3% 建設業(23) 30%(15%) +15pt −5.2% 陸運(18) 44%(34%) +10pt +1.7% 機械(52) 37%(29%) +8pt −12.8% 鉄鋼(18) 39%(31%) +7pt −4.6% 情報・通信(78) 17%(12%) +4pt −7.5% その他製品(16) 25%(22%) +3pt −4.5% サービス(64) 12%(11%) +2pt −6.8% 輸送用機器(19) 37%(36%) +1pt +4.7% 小売業(80) 11%(12%) −1pt +1.9% 証券(17) 0%(2%) −2pt −2.7% 金属製品(13) 15%(18%) −3pt −9.0% 電気・ガス(18) 22%(25%) −3pt −5.4% その他金融(10) 10%(14%) −4pt −5.4% 食料品(32) 3%(20%) −17pt −6.2% 金色の行=AI・半導体の材料や部材を多く含む業種。株価は33業種の騰落率を日ごとに掛け合わせたもの(同じ期間のTOPIXは−7.2%、11/6だけで−5.9%)。 出所:上方修正率はJ-Quants(決算短信サマリー)から、株価は市場資金フロー日報(33業種)から私が集計

図3:業種別の上方修正率(2026年と過去9年の平均)と、決算が本格化した10/23から11/6までの業種の株価。発表10社以上の23業種。

平年より大きく増えたのは、化学(54%、平年25%)、ガラス・土石(60%、平年36%)、電気機器(50%、平年28%)です。半導体の材料、電子部品、ガラス基板など、AI・半導体まわりの会社を多く含む業種がそろって上に並びました。銀行も48%と、平年の14%を大きく上回っています。

反対に、食料品は3%と、平年の20%を大きく下回りました。32社のうち上方修正は1社だけで、下方修正のほうが多くなっています。

株価との照合|上方修正が多い業種でも下げていました

決算の良さが、そのまま株価に出たわけではありません。

図3の右端は、決算発表が本格化した10/23から11/6までの業種の値動きです。この間にTOPIXは−7.2%、11/6の1日だけで−5.9%下げました。

上方修正が平年より22ポイント多かった電気機器は−15.9%で、23業種の中で機械(−12.8%)と並んで最も大きく下げています。米国の中間選挙のあと、AI・半導体関連が売られた影響が大きく出ました。一方で、上方修正が平年並みだった輸送用機器は+4.7%、小売は+1.9%と上げています。

業種で見ると、決算が良かった業種ほど株価が強い、という形にはなっていません。11月2日の半導体株の明暗でも、決算の数字そのものより、次の見通しが予想を上回ったかどうかで株価が分かれていました。

ここから|見たい3つ

決算のピークは来週です。

ここから見たい3つ
  • ① 来週の決算ピークでも、上方修正の多さが続くか。発表は11/13(金)に最も集中します。ここまでは発表の早い会社が中心なので、残り半分で割合が変わるかを見ます。
  • ② 11/6の急落のあと、上方修正した銘柄が先に戻るか。全面安の日は、決算の良し悪しに関係なく売られます。下げ止まったときに、上方修正した銘柄から買い戻されるかを見ます。
  • ③ 鉄鋼と食料品の下方修正。鉄鋼は3年続けて、食料品は今年、上方修正より下方修正が目立ちます。残りの会社でも同じ形になるかを見ます。

まとめ

中間決算の途中経過・3行まとめ

10/1〜11/6に決算を出したプライム企業のうち、通期予想を上方修正した会社は30.4%で、2017年以降の10年で最多です。

上方修正が平年より大きく増えたのは、化学・ガラス土石・電気機器など、AI・半導体の材料や部材を多く含む業種でした。

ただし株価は、上方修正が多かった業種でも下げています。電気機器は10/23から−15.9%でした。

決算の中身は10年で最も強く、株価はそれと逆を向いています。

📝 個人的な見解
強い決算でも、地合いには勝てない。それを改めて感じた決算シーズンです

株価は10月のはじめから軟調で、そのまま決算シーズンに入りました。データのとおり、強い決算を出しても下げた銘柄が多く、地合いには勝てないと改めて感じています。

ここから見ておきたいのは輸送用機器です。これまでトランプ関税で弱かった業種ですが、米中間選挙で民主党が上下両院で多数を取ったことなど、市況の前提が変わってきました。トヨタ自動車も通期の営業利益の予想を3.4兆円から3.9兆円に引き上げ、発表した11/5に大きく上げています。

一方で、銀行・化学・電気機器など、ここまで相場を引っ張ってきた業種はいま軟調です。ただ、決算は好調なのに株価は下げているので、だからこそここからの上昇も期待できる、とも言えます。

関税で弱かった輸送用機器がここからどうなるか。10月から弱い銀行・化学・電気機器が、決算を受けてどう動くか。この2つを確かめてから判断したいと思います。

▼集計の条件

データ:J-Quants(JPX総研)の決算短信サマリーから私が集計しました。各年10月1日〜11月6日に決算短信か業績予想の修正を出した会社が対象で、2021年までは東証一部、2022年からはプライム(各年9月末時点の市場区分)です。

上方修正・下方修正:通期の経常利益の予想(経常利益の予想が無い会社は営業利益、それも無い会社は純利益)を、その前に出していた予想と比べ、0.5%を超えて上げた会社を上方修正、下げた会社を下方修正としました。東証のルールで開示が義務になる大きな修正(利益で30%以上)だけでなく、任意の小さな修正も含みます。上期の予想だけの修正、最終利益だけの修正、アナリスト予想との比較は含みません。予想を初めて出した会社や、予想を出していない会社(証券会社など)は、どちらにも数えていません。割合の分母は、期間中に決算を出した会社すべてです。

配当:年間配当の予想を前の予想と比べ、1%を超えて上げた会社を増配としました。株式分割があった会社は、発行済株式数の変化で前の予想を直して比べています。

業種と株価:業種は各年9月末時点の東証33業種です。図3の株価は、市場資金フロー日報の33業種別の騰落率を10/23〜11/6の10営業日で掛け合わせたものです。図2の「主な出来事」は各年の相場の背景を私が整理したもので、修正の原因を確かめたものではありません。鉄鋼の背景は、2026年2月の鉄鋼大手の業績修正に関する報道(ニュースイッチ)によります。

※本記事は、公表情報および私が独自に集計した市場データをもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。上方修正・下方修正の判定は、決算短信サマリーの予想値を私が機械的に比べたもので、各社の開示文書の表現とは異なる場合があります。決算の発表は11月中旬まで続くため、数字は11月6日時点のものです。過去の値動きは将来の値動きを保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
𝕏 Xでも毎日更新中
125の株のグループの強弱を、
毎日の引け後にまとめています。
@shinguru_kabu をフォロー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA