2026年11月2日、日経平均は208円安の6万3,081円(−0.33%)と続落しました。TOPIXは−0.88%です。この日いちばん大きく動いたのは、前週末に決算を出した半導体株でした。
キオクシアホールディングス−15.78%、SCREENホールディングス−18.96%。一方でレーザーテック+8.01%、東京エレクトロン+5.16%。4社とも10月30日の引け後に決算を出し、前の晩に米国の半導体株が大きく下げた同じ朝を迎えています。差を分けたのは、決算の良し悪しではなく「次の見通しが、市場の予想を上回ったかどうか」でした。
① キオクシアは7〜9月の利益が予想を上回ったのに、10〜12月の見通しが予想に届かず−15.78%。
② レーザーテックは7〜9月の利益が予想に届かなかったのに、受注の見通しを引き上げて+8.01%。
③ 4社とも、株価の向きは足元の実績ではなく、次の見通しの欄とそろいました。同じ「半導体製造装置」の30銘柄でも、上げ15・下げ14と割れています。
11月2日の相場|朝は500円超安、装置株の買い戻しで208円安まで
米国の半導体安を受けて売られ、決算の良かった装置株が指数を支えました。
前週末30日の米国では、インテルの見通しとアマゾンの決算をきっかけにAI投資の採算への不安が強まり、半導体株指数(SOX)が−7.20%と急落しました。2日の東京も朝は500円を超える下げで始まっています。
そこから東京エレクトロン、アドバンテスト(+2.61%)、レーザーテックが買われ、日経平均は後場に一時プラスへ浮上しました。引けにかけて売りに押されて208円安で終えましたが、この3銘柄だけで日経平均を約485円押し上げています。反対に、キオクシア1銘柄で約150円の押し下げです。
ただ、指数の下げ幅ほど中身は良くありません。東証プライムは値上がり505銘柄・値下がり1,011銘柄で、下げた銘柄が2倍でした。33業種では倉庫・運輸関連、サービス、精密機器が下位に並んでいます。
4社の決算|株価の向きは「次の見通し」とそろいました
実績が良くても下げ、実績が悪くても上げた銘柄がありました。
図1は、4社の決算を2つに分けて並べたものです。左は7〜9月の実績、真ん中はこれから先の見通しで、それぞれアナリスト予想の平均(報道で伝えられた数字)より上だったか下だったかを○×で示しました。右端が2日の株価です。
図1:10月30日の引け後に決算を出した半導体4社の、実績・見通しと11月2日の株価。○×は報道で伝えられたアナリスト予想の平均との比較です。
右端の株価の色は、真ん中の「次の見通し」の○×と4社ともそろっています。左の「実績」とそろっているのは、東京エレクトロンとSCREENの2社だけです。
キオクシア:過去最高の数字でも、先の伸びが鈍った
キオクシアの7〜9月は、営業利益1兆9,947億円で予想をわずかに上回りました。上場後はじめての配当も決めています。それでも売られたのは、10〜12月の営業利益の見通しが約2兆円と、予想の約2.3兆円に届かなかったためです。7〜9月からほぼ横ばいで、会社はNAND(データを保存するメモリー)の値上がりのペースが落ちてきたとも説明しました。
メモリーの株は「値段がどこまで上がるか」で買われてきたので、伸びが止まる兆しは強い売り材料になります。決算前の30日にも−7.14%下げており、2日間で−21.8%です。2日のキオクシアの売買代金は1兆1,321億円で、東証プライム全体(7兆6,403億円)の約15%を1銘柄で占めました。
レーザーテック:足元は届かなくても、受注の見通しを引き上げた
反対の形がレーザーテックです。7〜9月の営業利益は158億円(前年同期比41%減)で、予想より約100億円少ない数字でした。ただ、今期(2027年6月期)の受注の見通しを3,000〜4,000億円から4,000〜5,000億円に引き上げています。装置の会社にとって受注は先の売上の手前にある数字で、こちらが評価されました。
東京エレクトロンとSCREEN:両方そろった2社
東京エレクトロンは、7〜9月の営業利益が2,954億円(予想は約2,600億円)。未定としていた今期の営業利益の見通しを1兆1,690億円と出し、予想の約1兆円を大きく上回りました。上限1,500億円の自社株買いも発表しています。
SCREENは、7〜9月の営業利益が約402億円で予想の約420億円に届かず、今期の計画も据え置きました。市場の予想は会社の計画より上にあったため、据え置きは「引き上げがなかった」と受け取られ、−18.96%の急落です。
同じ「半導体製造装置」でも、上げ15・下げ14
業種で買われた・売られた日ではありませんでした。
「メモリーは売り、装置は買いという、業種の選別では?」と見ることもできます。ただ、SCREENは装置の会社で、レーザーテックや東京エレクトロンと同じ側にいます。
私が毎日集計している125のサブ業種で見ると、「半導体製造装置」の30銘柄は、2日に上げた銘柄が15、下げた銘柄が14(変わらず1)でした。平均の騰落率は+0.10%で、業種としてはほぼ動いていません。大きく動いたのは決算を出した銘柄だけで、向きはそれぞれの見通しで決まっています。
8月の決算シーズンにも、上方修正でも売られる株で同じ形を書きました。修正の幅ではなく、修正後の計画が予想に届いたかで株価の向きが決まっていました。今回は、足元の実績そのものより先の見通しのほうが効いた、という一段はっきりした形です。
ここから|見たい3つ
キオクシアの3日目と、4日の米国の結果です。
- ① キオクシアの下げが3日目も続くか。2日間で−21.8%と、決算前の売りと決算後の売りが重なっています。下げ止まるなら、見通しの弱さはこの2日で値段に入ったと見ることができます。
- ② 装置株の買いが、米国の半導体安に耐えられるか。2日の装置株の上げは、SOXが−7.20%だった翌日のものです。米国の半導体株がもう一段下げても、見通しを引き上げた銘柄が持ちこたえるかを見ます。
- ③ 4日の寄り付き。3日は文化の日で休場です。4日は、3日の米中間選挙の結果と2晩分の米国株の値動きを一度に受けて始まります。中間選挙のあとの株価については通説検証#25で調べています。
まとめ
11月2日のマーケット・3行まとめ
日経平均は208円安の6万3,081円。朝は500円超安でしたが、決算の良かった装置株が買われて下げ幅を縮めました。
10月30日に決算を出した半導体4社は、キオクシア−15.78%・SCREEN−18.96%、レーザーテック+8.01%・東京エレクトロン+5.16%と真っ二つに分かれました。
株価の向きは4社とも、7〜9月の実績ではなく、次の見通しが予想を上回ったかどうかとそろっています。
決算は、足元の数字より「次の見通し」で売り買いされました。
キオクシアやSCREENの決算が、1日で2割近く下げるほどの内容だったのか、私は疑問に思っています。7〜9月の利益は、どちらも前の年より大きく伸びていました。
AIへの投資が行き過ぎているのではという不安もあって、投資家がかなり神経質になっているのだと思います。市場予想に届いたか届かなかったかの差に、過剰に反応している印象です。
この決算をきっかけに、相場の形も変わるかもしれません。これまでは「AI関連というだけで、まとめて買われやすい」相場でしたが、これからは同じハイテク株でも、買われる銘柄と買われない銘柄がはっきり分かれる相場になる気がします。その意味で、AI半導体がそろって上がる相場は、いったん終わりだと私は見ています。
決算の数字と予想:各社の決算の数字と、アナリスト予想の平均(市場予想)は報道によるものです(キオクシア・SCREEN=Investing.com、東京エレクトロン・レーザーテック・キオクシアの予想=BigGoファイナンス、アドバンテスト=財経新聞)。予想の数字は報道により幅があり、キオクシアの10〜12月の予想は約2.3兆〜2.35兆円と伝えられています。○×は、報道で伝えられた予想との上下だけで付けたものです。
株価と売買代金:個別銘柄の前日比・売買代金は株探スクリーナーの終値ベース。キオクシアの2日間の下げは、10月30日の前日比(−7.14%)と11月2日の前日比から計算しています。日経平均・TOPIX、値上がり・値下がり銘柄数、東証プライムの売買代金、日経平均への寄与は大引け後の報道によるものです。
サブ業種:東証プライムの構成銘柄を142のサブ業種に分けた私の日次集計です。「半導体製造装置」は30銘柄で、レーザーテック・東京エレクトロン・アドバンテストは「AIインフラ」にも入っています(1銘柄が複数のサブ業種に入ることがあります)。
前の営業日の相場は半導体に戻った資金が、2日でまた逃げ場に帰りました、その前は半導体株に資金が逆戻りにまとめています。125のサブ業種の毎日の並びは今日の日本株(11月2日)と日次レポートで追っています。














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