今週の日本株|2026年8月17日〜21日の市場資金フロー|週間-3.9%も海運は最高値圏

今週の日本株:日経-3.9%の急反落週、海運・エネルギーへ資金逃避もグロース250は逆行高(2026年8月17日〜21日)

今週(8/17-21)の日本株は、月曜こそ日経平均が5日続伸の6万9,220円まで上昇して7万円の大台に迫ったものの、火曜からは一転、中東情勢の緊迫と日米長期金利の上昇をきっかけに売りが加速し、水曜までのわずか2日間で約3,900円もの急落となりました。木曜は金利低下を手掛かりに890円高と反発し、金曜は米国の消費減速懸念で小幅安と、まさにジェットコースター展開の1週間でしたね。結果、日経平均は週間-3.93%、TOPIXは-3.10%と大きめの調整になった一方で、グロース250は+1.38%と逆行高。セクターでは海運業やエネルギー系に資金が逃げ込み、電気機器など半導体・電子部品が売られる、はっきりしたローテーションの週でした。来週は8/26(水)のエヌビディア決算と8/27-29のジャクソンホール会議が最大の焦点です。
日経平均 週間
-3.93%
TOPIX 週間
-3.10%
グロース250 週間
+1.38%
勝ち組セクター首位
海運業
負け組セクター首位
電気機器
週間値上がり銘柄TOP3
松屋 +23.99%
プロシップ +22.06%
弁護士ドットコム +19.33%
週間値下がり銘柄TOP3
日機装 -21.32%
アルバック -18.95%
リガクHD -18.50%
📌 今週3行まとめ
  • 週の流れ:月曜に日経6万9,220円と7万円接近も、中東緊迫と日米金利上昇で火〜水に約3,900円の急落。木曜は金利低下で890円高と反発し、金曜は小幅安ながらTOPIXは逆行高という、めまぐるしい1週間
  • 勝ち組セクター:海運業/鉱業/電気・ガス業。中東緊迫による運賃上昇思惑で大手海運株は最高値圏へ。半導体・電子部品を抱える電気機器は最弱で、グロース250だけが週間プラスの逆行高
  • 来週の焦点:8/26(水)エヌビディア決算と8/27-29ジャクソンホール会議、8/28(金)東京都区部CPI。金利と中東・原油の落ち着きどころを探る週になりそうです

今週の日本株:週間マーケットサマリー

指標前週末(8/14)今週末(8/21)週間変化コメント
日経平均68,713.8066,016.36-3.93%火〜水の2日で約3,900円安、木曜に反発
TOPIX4,197.204,067.29-3.10%水曜-3.09%が週間最大の下げ
グロース250758.00768.47+1.38%木曜+4.67%の急伸で週間プラスの逆行高
ドル円159.16円158.69円小幅円高158円台前半〜159円台のレンジ
米10年金利4.661%4.688%上昇米30年は一時2007年以来の水準。週内で乱高下
日本10年金利2.875%2.886%上昇火曜に2.954%まで急上昇後、低下
VIX14.6315.83+8.2%上昇も15ポイント台にとどまる
WTI原油81ドル台86.21ドル続伸中東緊迫で週を通じて上昇、インフレ再燃警戒
日経VI30.9628.38低下急落週にもかかわらず低下し30割れ
騰落レシオ25日121.77116.81低下120の閾値を金曜に割り込む
空売り比率40.9%42.7%上昇金曜に急上昇、ショートの積み上がり

今週の日本株:業種別の資金フロー総括

週間累積対TOPIX相対騰落とは
今週5日間の各業種の相対騰落(pt)を合計したものが「週間累積相対騰落」です。プラスの値が大きいほど「今週は市場平均より強く買われた」、マイナスの値が大きいほど「今週は売られた」ことを示します。+5pt以上=圧倒的勝ち組、+2〜5pt=強い、-2〜-5pt=弱い、-5pt以下=圧倒的負け組と判定しています。
→ もっと詳しく知りたい方は:対TOPIX相対騰落・累積ptの読み方を読む

今週の業種別資金フローは、指数の急落とは対照的に「買われた業種がはっきりしている」週でした。勝ち組の筆頭は海運業(+14.12pt)で、中東情勢の緊迫による運賃上昇の思惑から大手3社が買われ続け、商船三井や川崎汽船は週間で12%超の上昇です。続く鉱業(+7.62pt)電気・ガス業(+7.40pt)石油・石炭製品(+6.69pt)もWTI原油の続伸が追い風で、資源・エネルギー・公益といった「金利と半導体の混乱から距離のある場所」へ資金が逃げ込んだ形が見て取れます。輸送用機器(+5.55pt)は木曜に円高でも自動車が買われるという、前週までとは逆の反応を見せたのが印象的でした。

一方の負け組は電気機器(-4.24pt)が最弱で、火曜の電子部品総崩れと水曜の半導体急落が直撃。ガラス・土石製品(-3.24pt)機械(-3.09pt)と、ハイテク・設備投資系がそろって売られています。銀行業(-1.34pt)は金利上昇局面にもかかわらず水曜に-4.64%と換金売りの対象になった点が、今週の下げの質を物語っているように見えます。

今週の日本株:業種別の週間累積ランキング

週間累積対TOPIX相対騰落とは
今週5日間の各業種の相対騰落(pt)を合計したものが「週間累積相対騰落」です。あわせて「25日累積」(直近25営業日の合計)と「勢い」(25日累積が5営業日前より増えていれば↗加速、減っていれば↘失速)を載せて、今週の強さがトレンドとして続いているものなのかを確認できるようにしています。
→ もっと詳しく知りたい方は:対TOPIX相対騰落・累積ptの読み方を読む

勝ち組セクター TOP5

順位業種週間累積週間騰落率25日累積勢い一言コメント
1海運業+14.12pt+11.45%+25.34pt (1位)↗加速中東緊迫の運賃上昇思惑、大手3社は最高値圏
2鉱業+7.62pt+4.56%+14.63pt (2位)↗加速WTI86ドル台への続伸が追い風
3電気・ガス業+7.40pt+4.34%+5.51pt (12位)↗加速関西電力+8%など、ディフェンシブ買いの受け皿に
4石油・石炭製品+6.69pt+3.57%+5.89pt (10位)↗加速原油高の直接的な恩恵
5輸送用機器+5.55pt+2.37%+8.95pt (5位)↗加速木曜に円高でも自動車主力が大幅高

負け組セクター TOP5

順位業種週間累積週間騰落率25日累積勢い一言コメント
1電気機器-4.24pt-7.20%-4.18pt (27位)↘失速火曜の電子部品総崩れと水曜の半導体急落が直撃
2ガラス・土石製品-3.24pt-6.30%-11.86pt (33位)↘失速25日累積は33業種最下位、弱さが常態化
3機械-3.09pt-6.13%-4.84pt (28位)↘失速工作機械・重工系に利確と換金売り
4金属製品-1.67pt-4.73%-11.82pt (32位)↘失速25日累積ワースト2位、出遅れ感の強い場所
5精密機器-1.58pt-4.61%+4.60pt (15位)↘失速計測・分析機器の決算失望売りが重石

継続性の観点で見ると、今週の主役である海運業は25日累積でも+25.34ptと33業種トップで、8月に入ってからの資金流入がまだ加速している状態です。これは1週間の瞬発力ではなく、約1ヶ月続くトレンドの真ん中にいるということなんですよね。鉱業も25日累積2位と同じ構図です。一方で電気・ガス業(25日累積12位)と石油・石炭製品(同10位)は、今週になって順位を切り上げてきた「急落週で浮上した避難先」という位置づけに見えます。

負け組側では、ガラス・土石製品金属製品が25日累積でワースト1・2位と弱さが常態化しているのに対し、電気機器の25日累積は-4.18ptとまだ浅く、今週の急落で一気に順位を落とした形です。エヌビディア決算の結果次第で、この業種だけは景色が変わる可能性を残していると言えそうです。

今週の日本株:個別銘柄 週間ハイライト

週間騰落率とは
週間騰落率は「前週末終値」から「今週末終値」までの変動率です。東証プライム全銘柄の日次データベースからランキングを算出しています。TOP10には中小型株も含まれますが、記事では主要材料が判明している銘柄を中心に紹介しています。
過熱スコアとは
過熱スコアは本ブログ独自の5指標(RSI・サイコロジカルライン・25日乖離率・出来高倍率・信用倍率)を-2〜+2点で採点し、合計-10〜+10点で個別銘柄の買われすぎ/売られすぎを機械的に判定する手法です。+7以上で強過熱、+4〜+6で過熱、-1〜+1は中立と判定。週次では金曜終値時点のスコアを基準値として記載します。

週間 値上がり率 TOP10

順位コード銘柄名週間騰落率過熱スコア値動きセクター主な材料
18237松屋+23.99%+3(やや強)水木に連日急伸小売業百貨店株への物色。単一の新規材料は確認できず
23763プロシップ+22.06%+6(過熱)月曜+23.79%急騰情報・通信業4-6月期経常58%増益、新リース会計基準の対応需要
36027弁護士ドットコム+19.33%+7(強過熱)月-10%→火水急伸の乱高下サービス業クラウドサイン牽引の4-6月営業37%増益、AI関連物色
4590Aギフティグループ+17.26%+6(過熱)月曜+15.82%、週後半も堅調情報・通信業上期14%増益と自社株買いを好感
52170リンクアンドモチベーション+15.98%+3(やや強)水曜+10.27%サービス業急落相場に逆行した中小型物色。単一材料は確認できず
64180Appier Group+15.28%+7(強過熱)月曜+15.02%情報・通信業AI関連の中小型に材料株物色が集中した流れ
79722藤田観光+13.63%+4(過熱)水〜金に3連騰サービス業アパグループによる株式取得を巡る思惑
86071IBJ+13.56%+5(過熱)月曜+11.77%サービス業中小型材料株の物色。単一材料は確認できず
99104商船三井+12.47%+6(過熱)週を通じて堅調海運業中東緊迫による運賃上昇思惑、最高値圏へ
109107川崎汽船+12.38%+5(過熱)金曜+7.28%と加速海運業同じく運賃上昇思惑。海運大手そろって高値圏

週間 値下がり率 TOP10

順位コード銘柄名週間騰落率過熱スコア値動きセクター主な材料
16376日機装-21.32%+1(中立)月曜-15.17%精密機器決算・材料の出尽くしとみられる急落
26728アルバック-18.95%0(中立)月曜-16.01%電気機器同じく決算出尽くし売り、その後も戻れず
3268AリガクHD-18.50%-1(中立)火・金に値下がり上位精密機器計測・分析機器への売りが週を通じて継続
46951日本電子-17.71%0(中立)月曜-16.07%電気機器決算出尽くしとみられる急落
56235オプトラン-16.70%-3(やや弱)火・金に値下がり上位機械半導体・光学装置系の売りに連動
66361荏原製作所-16.02%-2(やや弱)月曜から軟調継続機械機械セクター売りの中心。水曜は業種ごと-5.10%
76976太陽誘電-15.57%0(中立)火曜-11.54%電気機器電子部品総崩れの火曜が直撃
87609ダイトロン-14.88%+1(中立)週を通じて軟調卸売業半導体関連商社として装置株売りに連動
96981村田製作所-13.89%-1(中立)火曜-9.58%電気機器電子部品主力の総崩れ、売買代金上位に連日登場
103105日清紡HD-13.88%-1(中立)週前半に大きく下落電気機器電子部品・マイコン系売りに連動

値上がり側と値下がり側で、顔ぶれの性格がきれいに分かれた週でした。値上がりTOP10は、好決算の中小型(プロシップ弁護士ドットコムギフティ)と思惑系(藤田観光)、そして海運大手という構成で、指数急落の週に買われたのは「半導体と金利から遠い場所」だったことが分かります。ただ、過熱スコアを見るとTOP10のうち7銘柄が+4以上の過熱圏で、弁護士ドットコムとAppierは+7の強過熱。買われた側の短期的な過熱感はかなり強いんですよね。

一方の値下がりTOP10は精密・電気機器・機械の計測装置・電子部品系がほぼ独占し、月曜の決算出尽くし急落組がそのまま週間ワーストに残りました。こちらは過熱スコアがすべて中立〜やや弱の水準まで下がっており、売られすぎシグナル(-4以下)にはまだ届いていない、という位置です。

今週の日本株で主役となった銘柄

主役銘柄の抽出ロジック
今週の「主役銘柄」は4つの切り口で機械的に抽出しています。①主力値上がり組・主力値下がり組は時価総額1兆円以上の主力株を週間騰落率で並べた上位・下位5銘柄(主力の週間の勝ち負けそのもの)、②資金集中組は売買代金TOP20に3日以上登場した銘柄(値動きに関係なく資金が集まり続けた場所)、③乱高下組は値上がり率と値下がり率の両方の日次ランキングに登場した銘柄、④値上がり常連は値上がり率TOP20に2日以上登場した中小型です。単純な週間騰落率ランキングでは見えない物色の中心を立体的に把握できます。

🟢 主力値上がり組(時価総額1兆円以上の週間値上がりTOP5)

コード銘柄名業種時価総額週間騰落率今週の動き
9104商船三井海運業約2.6兆円+12.47%運賃上昇思惑で週を通じて堅調、最高値圏へ
9107川崎汽船海運業約2.2兆円+12.38%金曜+7.28%と週末に加速
5713住友金属鉱山非鉄金属約3.1兆円+12.26%木曜+10.76%。金・銅高の資源物色
9101日本郵船海運業約2.9兆円+10.95%海運大手3社そろい踏み。値上がりランクにも2日登場
9503関西電力電気・ガス業約2.9兆円+8.70%木曜+8.37%。急落週のディフェンシブ買いの象徴

主力の勝ち組は海運3社+資源+電力という、今週の業種ランキングをそのまま体現する顔ぶれです。半導体と金利の混乱から距離のある大型株に、週を通じて資金が向かい続けました。

⚪ 資金集中組(12銘柄)— 値動きランク外でも売買代金上位に居続けた主力

コード銘柄名代金TOP20登場週間騰落率ひとこと
6146ディスコ5日-6.28%半導体主力。売られても代金は途切れず
6857アドバンテスト5日-2.63%日経寄与度の主役。下げは相対的に浅い
6920レーザーテック5日-9.53%装置株売りの直撃側
8035東京エレクトロン5日-8.19%火曜だけで日経を大きく押し下げ
7974任天堂5日-3.38%高値圏でもみ合い
8306三菱UFJ5日-4.83%金利上昇でも水曜に換金売り
8411みずほFG5日-5.92%同上。メガバンク総じて軟調
5016JX金属4日-5.13%非鉄の乱高下に連動
7011三菱重工4日-7.57%防衛・重工も利確売りの対象に
8316三井住友FG4日-5.21%メガバンク3社そろって資金集中組
6501日立製作所3日-9.90%大型グロースの代表格として売り継続
7203トヨタ自動車3日+3.71%木曜+4.25%。円高でも買われた今週の異色株

急落週でも半導体主力とメガバンクへの売買代金は途切れておらず、資金は市場から逃げたのではなく、この中で激しく回転していたことが分かります。12銘柄中で週間プラスはトヨタ自動車だけ、という点も今週らしさですね。

🔴 主力値下がり組(時価総額1兆円以上の週間値下がりTOP5)

コード銘柄名業種時価総額週間騰落率今週の動き
6361荏原製作所機械約2.3兆円-16.02%月曜の出尽くし売りから戻れず、週間ワースト10入り
6976太陽誘電電気機器約1.3兆円-15.57%火曜-11.54%。電子部品総崩れの中心
6981村田製作所電気機器約13.9兆円-13.89%火曜-9.58%。時価総額最大級の下げとして指数の重石に
6841横河電機電気機器約1.3兆円-12.11%計測・制御系にも売りが波及
7013IHI機械約2.9兆円-11.72%水曜-7.18%。防衛・重工の利益確定売り

主力の負け組は電子部品と機械・重工に集中しました。なお日経への寄与度で見た下げの主役は別で、水曜はソフトバンクグループ(9984)の-10.34%が単独で485円分、金曜はファーストリテイリング(9983)の-3.63%が中心でした(週間ではそれぞれ-8.43%・-4.68%)。

⚡ 乱高下組(2銘柄)— 値上がりと値下がりの両ランキングに登場

コード銘柄名月曜水曜週間騰落率今週の動き
285AキオクシアHD+15.07%-12.60%+1.08%連日プライム売買代金の24〜32%を占めた今週の震源。往復の末ほぼ行って来い
5803フジクラ+7.29%-9.73%-6.80%AI電線の代表格。月曜高値から週後半は戻り切れず

📈 値上がり常連(モメンタム中小型・8銘柄)

コード銘柄名値上がりTOP20登場週間騰落率ひとこと
590Aギフティグループ月・木+17.26%上期増益+自社株買い。週間TOP10入り
8237松屋水・木+23.99%週間値上がり率1位。急落相場のさなかに連日急伸
9722藤田観光水・金+13.63%アパグループの株式取得を巡る思惑で3連騰
6036KeePer技研月・水+11.05%指数と無関係に動く中小型の代表格
9101日本郵船火・金+10.95%海運大手で唯一、値上がりランクにも登場
3993PKSHA Technology水・木+4.26%金利低下局面のAI・SaaS物色
4784GMOインターネット火・金週前半の急落から切り返した材料株
4813ACCESS火・水中小型材料株物色の一角

急落の水曜でさえ値上がり率上位は中小型の材料株で埋まっており、指数と切り離された小型グロース物色は週を通じて途切れませんでした。木曜のグロース250+4.67%の急伸はこの流れの延長線上です。一方でFIG(4392)は月〜水に値上がり上位、木金は値下がり上位という極端な往復で、モメンタム物色の裏の怖さも見えた週でした。

まとめ:今週の物色の中心は「キオクシアを震源とする半導体の乱高下」「海運・資源への逃避」「指数と切り離された中小型グロース」の3層構造でした。売買代金の集中度が高いまま急落と反発を繰り返す、値動きの荒い1週間だったように思います。

今週のテーマ別資金フローと3対立軸

テーマ別フローと3対立軸とは
本ブログ独自の10テーマは、東証33業種から24業種を集約したグループ分類です(カバー24業種+除外9業種)。今週5日間の各テーマの平均相対騰落(pt)を合計した「週間累積テーマ別相対騰落」で、業種単独では見えにくい資金の大きな流れを把握します。さらに10テーマから3つの基本対立構造を取り出したのが3対立軸で、金利軸(金融−不動産建設)/資源軸(エネルギー+素材+商社−輸送物流+内需消費)/リスク軸(製造業サイクル+テクノロジー+素材−生活防衛)の週間累積pt値から「今週はどの軸が動いたか」を一段抽象度の高いレンズで読み取ります。
→ もっと詳しく知りたい方は:テーマ別資金フローと3対立軸の読み方を読む

強かったテーマ TOP3

順位テーマ週間累積pt主要構成業種牽引役/材料
1エネルギー+7.17pt鉱業・石油・石炭製品WTI86ドル台への続伸、中東緊迫
2輸送・物流+5.84pt海運業など運賃上昇思惑で海運大手が最高値圏
3生活防衛+4.68pt医薬品・電気・ガス業など急落局面のディフェンシブ買い

弱かったテーマ TOP3

順位テーマ週間累積pt主要構成業種牽引役/材料
1テクノロジー-2.92pt電気機器・情報・通信業半導体・電子部品の急落。10テーマで唯一のマイナス
2素材+0.31pt非鉄金属・化学など月曜の非鉄急騰を水曜の急落が帳消しに
3金融+0.87pt銀行・証券・保険金利上昇でも水曜に換金売りの対象へ

3対立軸の週間推移

軸名週間累積解釈
金利軸-0.70+0.90-1.71-1.89+1.42-1.98pt金利上昇週なのに金融が劣後
資源軸+0.61+0.94-2.51+0.13+0.60-0.23ptエネルギー高と輸送物流高が相殺しほぼ中立
リスク軸+1.20-1.48-3.54-0.46-0.86-5.14pt火曜以降4日連続マイナスのリスクオフ

今週の主導権は明確にリスク軸(-5.14pt)にありました。火曜から金曜まで4日連続でマイナス、つまり製造業サイクル・テクノロジー・素材が生活防衛に負け続けた週で、テーマ別フローでテクノロジーが唯一のマイナス生活防衛が3位に入った事実と同じ現象を別の解像度で捉えた形です。

注目したいのは資源軸がほぼ中立(-0.23pt)だったことです。エネルギーが最強テーマだったにもかかわらず軸として動いていないのは、対抗側の輸送・物流(海運)も同じくらい強かったためで、「資源vs内需」の対立ではなく「金利・半導体からの避難」という一方通行の資金移動だったことを示唆しているように見えます。金利軸のマイナス(-1.98pt)も同じ文脈で、長期金利が上昇した週に金融が買われないという、教科書と逆の反応でした。木曜の反発でもリスク軸がマイナスのままだった点は、反発の中身がまだ守りに寄っていることの表れと言えそうです。なお除外9業種では、その他製品が任天堂の高値もみ合いを映して方向感なく、繊維・パルプ紙などは目立った動きがありませんでした。

年初来高値・安値更新 週間集計

5日累積の見方
各営業日の年初来高値更新・安値更新の銘柄数を5日分集計したものです。高値更新が安値更新を大きく上回っていれば、指数の変動と関係なく個別銘柄レベルの需給は健全と読めます。
区分週合計
年初来高値更新103102345881378銘柄
年初来安値更新35150124銘柄

日経平均が週間-3.93%と大きく下げた週にもかかわらず、高値更新は378銘柄と安値更新24銘柄を圧倒しました。急落した水曜でさえ高値更新34に対し安値更新は15止まりで、木曜は安値更新ゼロ、金曜も1銘柄だけです。高値更新の中身は海運・エネルギー・電力といった今週の勝ち組に加えて、防衛・資源系の中堅が目立ちました。指数の急落は半導体・値がさ株の集中売りによるもので、個別銘柄レベルの需給はほとんど壊れていない、というのが今週の重要な事実だと思います。

今週の日本株:週間スコア推移(11因子モデル)

11因子モデル
11因子モデルは相場を5つの群(A:トレンド、B:幅・需給、C:勢い、D:過熱調整、E:マクロ)に分類して採点する手法です。各日の総合スコアは -9 〜 +11 の範囲を取り、+7以上で「強気・全面リスクオン」、-7以下で「全面安・警戒」と判定します。週次では5日分を合計して週全体の流れを見ます。
→ もっと詳しく知りたい方は:11因子モデルの詳細解説を読む
🟢 8/17(月) スコア+2 やや強気
日経は5日続伸の6万9,220円で7万円に接近。ただTOPIXは反落、値上がり業種は8/33にとどまり、キオクシア+15.07%など一部への集中が鮮明で、指数と中身の乖離が広がった1日でした。
🔴 8/18(火) スコア-3 やや弱気
中東緊迫・日米金利上昇・利益確定の三つが重なり-2.54%の大幅反落。電気機器-3.72%と電子部品が総崩れになる一方、海運・鉱業・石油は上昇と、この日からローテーションが始まっています。
🔴 8/19(水) スコア-5 弱気(週間最低)
米SOX-4.98%と韓国KOSPI-5.80%の急落が波及して日経-3.16%、値上がり業種2/33の全面安。SBG-10.34%が単独で485円分の押し下げとなり、2日間の下げ幅は3,894円に達しました。
🟢 8/20(木) スコア+4 強気
米債券買い戻し策を背景にした金利低下で890円高の反発。B群(幅・需給)とC群(勢い)が急改善してスコアは実に9ポイントの急回復です。グロース250+4.67%と金利敏感な場所から戻りました。
🟡 8/21(金) スコア-1 中立・様子見
米消費減速懸念で小反落もTOPIXは逆行高。海運業+4.92%が最強で、値上がり銘柄は過半を維持。週間の着地は「下げ止まったがイベント待ち」の中立です。

結果、週合計は-3ptです。内訳を見ると、C群(勢い)は+5と週を通じてプラスを保った一方、D群(過熱調整)が-11と圧倒的な重石で、売買代金の集中と高値圏の過熱シグナルが5日間ずっと点き続けていました。急落の週でありながら「勢いは残っている、ただし過熱の調整がまだ終わっていない」という綱引きの構図が、数字にそのまま出ているんですよね。

日付総合スコアA:トレンドB:幅・需給C:勢いD:過熱調整E:マクロ判定
8/17(月)+2+20+2-3+1やや強気
8/18(火)-3-2+1+1-30やや弱気
8/19(水)-50-2-1-1-1弱気
8/20(木)+4+2+3+2-30強気
8/21(金)-1-1+1+1-1-1中立・様子見
週合計-3pt+1+3+5-11-1中立〜やや警戒
📊 週次スコア総括

週合計-3ptは4月以降の週次では珍しい弱さですが、内訳はA〜C群の合計が+9と底堅く、D群(過熱調整)の-11がほぼすべてを打ち消した形です。下げの性質が「トレンド崩壊」ではなく「過熱の巻き戻し」であることを、スコアの構造がそのまま語っている週でした。

市場体温計

市場体温計とは
本ブログ独自の三層スコアで日本株の相場全体の温度を測る指標です。Layer 1(日々の体温・5項目)は当日データから-5〜+5の温度スコアで日々の相場の暖かさ/寒さを示し、Layer 2(高温シグナル・4項目)は稀な過熱の極端値(騰落レシオ25日 ≥125 など)、Layer 3(低温シグナル・4項目)は稀な底値の極端値(騰落レシオ6日 ≤60 など)を点灯式で捉えます。Layer 1の体温で日々の流れを把握しつつ、Layer 2/3のいずれかが2点以上点灯したら警戒(過熱)または逆張り検討(底値)のサインです。
→ もっと詳しく知りたい方は:市場体温計とは|三層スコアの読み方を読む

三層スコアの週間推移

項目週間の読み
Layer 1 合計(-5〜+5)0 常温-1 涼温-4 低温+4 温感回復+2 微熱週央に冷え込み、木曜から回復
Layer 2 高温シグナル点灯0/40/40/40/40/4過熱の極端値は週間ゼロ
Layer 3 低温シグナル点灯0/40/40/40/40/4底値の極端値も週間ゼロ
相場の質中立中立極寒中立中立水曜のみ全面安の質に悪化

今週の体温は「常温→涼温→低温→温感回復→微熱」と、指数の値動きどおりに上下しました。水曜はLayer 1が-4まで冷え込み、相場の質も「極寒」判定と、値上がり銘柄比率24%の全面安がそのまま数字に出ています。

ただ、これだけの急落週にもかかわらずLayer 2/3の極端値シグナルは1つも点灯しませんでした。騰落レシオ25日は116.81まで低下したものの底値圏の70にはほど遠く、逆に言えば「売られすぎのサインもまだ出ていない」中間地帯です。補助指標では売買代金のTOP3集中度が32〜39%と高止まりし、キオクシア1銘柄への偏りが週を通じて続きました。木曜金曜と体温はプラス圏に戻っており、過熱でも底値でもない、方向はイベント待ちという温度感でしょうか。

今週の需給データ(信用残・海外投資家・裁定残)

需給ウィークリーとは
株価は業績や材料だけでなく「誰が買って誰が売っているか」の需給でも動きます。ここでは週次で公表される3つの需給データ――信用残(個人の買い方・売り方の建玉)、投資主体別売買動向(海外投資家・個人などの売買差額)、裁定取引残高(先物と現物の裁定ポジション)――をまとめて確認します。いずれも取引所等の公表が1週間前後遅れるため、掲載しているのは最新公表分(原則として前週分)です。方向感と継続性(何週連続か)を見るのに使います。

信用残と評価損益率(8/14申込時点)

項目前回(8/7時点)今回(8/14時点)変化読み方
信用買い残6兆2,681億円6兆2,007億円-1.08%高水準ながら小幅減、上昇局面での利益確定
信用売り残7,784億円8,931億円+14.73%売り建てが急増、逆張りショートの積み上がり
信用倍率8.05倍6.94倍低下売り残急増で買い長がやや軽くなる
信用評価損益率-6.19%-3.29%改善前週の上昇で個人の含み損が縮小

信用売り残の+14.73%という急増が目を引きます。前週(8/10-14)は日経が+4.74%と上昇した週なので、高値圏とみた逆張りの売り建てが積み上がった構図です。今週の急落でこの売り方には利益が乗ったはずですが、金曜の空売り比率が42.7%へ急上昇していることも合わせると、戻り局面ではショートカバーが上昇を増幅する下地になっているとも読めます。

投資主体別売買動向(8/10-14週・現物)

主体今回公表週(8/10-14)前週(8/3-7)傾向
海外投資家+2,135億円 買い越し-3,828億円 売り越し3週ぶりに買い越しへ転換
個人(現金)-6,123億円 売り越し-3,360億円 売り越し上昇局面の逆張り売りが加速
個人(信用)-435億円 売り越し+1,793億円 買い越し小幅に売り越しへ
投資信託+256億円 買い越し-781億円 売り越し小幅買い越し
信託銀行-824億円 売り越し+1,697億円 買い越し年金系は高値で利益確定か

海外投資家が3週ぶりに買い越しへ転じたのが最大のポイントです。7月末から2週で約8,700億円売り越していた海外勢が、日経+4.74%と上昇した8/14週に買い直しに入りました。個人は現金ベースで-6,123億円と大きく売り越しており、「上がったら売る個人、買い上がる海外勢」といういつもの対照的な構図です。今週(8/17-21)の急落で海外勢がどう動いたかは来週公表分で確認したいところです。

裁定取引残高(8/14時点)

項目今回(8/14時点)前週比
裁定買い残2兆4,359億円増加
裁定売り残2,092億円増加
差引(ネット買い残)2兆2,267億円+1,826億円

裁定買い残は2週ぶりに増加し、ネットで2兆2,000億円台へ積み上がりました。先物主導で上げた前週の名残で、水準としてはやや高めです。裁定買い残は相場が崩れる局面で解消売り(現物売り)に変わるため、今週の急落の下押しを増幅した可能性がある点は頭に入れておきたいところです。

需給の週間総括:海外勢の買い越し転換と個人の含み損改善という追い風がある一方、裁定買い残の積み上がりと信用売り残の急増が、急落と急反発の両方向に振れ幅を大きくする構図でした。需給面は「追い風と振れやすさが同居」という評価が妥当なところだと思います。

今週の日本株:週間マクロ環境の変化

日米長期金利の上昇(★★★):米10年金利は4.661%→4.688%へ、米30年は一時2007年以来の高水準となる5.2%台まで上昇しました。日本10年も火曜に2.954%まで急伸し、今週の急落の主因の一つとして意識されたと考えられます。木曜は米債券買い戻し策で低下する場面もあり、金利が日々の方向を決める週でした。
中東情勢の緊迫と原油続伸(★★★):イランを巡る不確実性の高まりでWTI原油は86.21ドルまで続伸しました。インフレ再燃への警戒が金利上昇と重なる一方、海運の運賃上昇思惑や資源株高というプラスの側面も生み、今週のセクター選別の起点になっています。8/24(月)には米国のイラン制裁の詳細公表が控えます。
米消費の減速シグナル(★★):ウォルマートの決算で米国内既存店売上の伸びが約6年ぶりの低水準となり、木曜の米市場で小売株全般に売りが波及しました。東京でも金曜にファーストリテイリングなど消費関連が売られています。
ボラティリティ指標は意外に落ち着き(★★):VIXは15.83へ上昇したものの依然低水準で、日経VIはむしろ30.96→28.38へ低下しました。オプション市場は今週の急落を「パニック」とは見ていない、という点は覚えておきたいところです。

来週の日本株で注目したいイベント

重要度の凡例
★★★=相場全体の方向を左右しうるイベント/★★=セクター・テーマ単位で影響しうるイベント、として区分しています。国内の決算発表は8月下旬の閑散期に入るため、来週は海外イベントと経済指標が中心です。

主要イベント・経済指標

日付イベント地域重要度注目ポイント
8/24(月)米国によるイラン制裁の詳細公表米国★★★中東リスクと原油の方向を左右。海運・エネルギー株の続伸可否にも直結
8/26(水)エヌビディア決算(米・引け後)米国★★★AI・半導体相場の最大の試金石。東京の電気機器・半導体主力の戻りを左右
8/26(水)米7月PCEデフレーター・個人所得米国★★★FRBが重視するインフレ指標。金利の方向に直結
8/27-29(木-土)ジャクソンホール会議米国★★★FRB議長講演のトーン次第で金利・ドル円が大きく動く可能性
8/28(金)8月東京都区部CPI日本★★日銀の追加利上げ観測と長期金利の材料
8/28(金)米8月ミシガン大消費者態度指数(確報)米国★★ウォルマート決算で点いた米消費減速懸念の確認材料
8/26(水)〜28(金)は要注意:エヌビディア決算・PCE・ジャクソンホール・東京CPIが3日間に集中します。週前半はイベント待ちの様子見になりやすく、方向が出るのは週後半という時間軸を想定しておきたいところです。なお国内の主要企業決算は閑散期で、ダイドーグループHDなど少数にとどまります。

来週の日本株で注目したいシナリオ

前提として、金曜の米国市場はダウ+0.98%(53,277.01)、S&P500+0.43%、ナスダック総合+0.43%と反発して引けました。ただしSOX指数だけは-0.51%と小幅に続落しており、半導体の戻りはエヌビディア決算待ちという状態です。この前提で3つのシナリオを考えます。

🟢 シナリオA:反発継続(30%)
  • 条件:エヌビディア好決算 / ジャクソンホールがハト派 / 中東の緊張緩和
  • 展開:半導体の買い戻しを軸に67,000〜68,000円台を回復
  • 注目:電気機器の売られた主力、グロース250の続伸、海運の高値追い
売られた半導体と強い海運が同時に戻る、幅の広い反発局面
🟡 シナリオB:イベント待ちのレンジ(45%)
  • 条件:週前半は材料難の様子見 / 金利・原油が高止まり
  • 展開:65,000〜67,000円のもみ合い、週後半のイベントで方向決定
  • 注目:海運・エネルギー・ディフェンシブへの資金退避が継続
指数は動かず、セクター選別だけが進む展開
🔴 シナリオC:二段安(25%)
  • 条件:エヌビディア決算失望 / 金利再上昇 / イラン制裁で原油急騰
  • 展開:水曜安値65,133円を割り込み63,000〜64,000円台を試す
  • 注目:裁定解消売りの増幅、半導体主力の二番底
キャッシュ比率と分散が効く局面

来週の注目セクター

判定セクター週間累積シナリオ別見通し
継続注目海運業+14.12pt25日累積も1位で加速中。ただし過熱スコアは高く、イラン制裁の内容次第で振れやすい
継続注目鉱業・石油・石炭製品+7.62pt / +6.69pt原油86ドル台が続く限り追い風。制裁公表が分水嶺
反転試金石電気機器-4.24ptエヌビディア決算が全て。好決算なら売られた分の戻りが最も大きい場所
警戒継続銀行業-1.34pt金利上昇でも買われなかった点に注意。換金売りの対象になりやすい

🏆 今週の総合判定:中立〜やや警戒(週合計:-3pt)

週次スコア推移:月+2 → 火-3 → 水-5(最低) → 木+4 → 金-1

A〜E群 週次合計:

  • A トレンド:+1(月木の上昇と火金の下落がほぼ相殺)
  • B 幅・需給:+3(高値更新378vs安値24、個別需給は健全を維持)
  • C 勢い:+5(急落週でも勢いの因子はプラスを維持)
  • D 過熱調整:-11(売買代金集中と過熱シグナルが5日間重石)
  • E マクロ:-1(金利上昇・原油高と日経VI低下が綱引き)

今週の総括:7万円目前からの2日で約3,900円安、そして890円高の反発という、値幅の荒さが際立つ1週間でした。ただ中身を見ると、下げの主役は半導体・値がさ株への集中売りで、高値更新378銘柄・海運の最高値圏・グロース250の逆行高と、健全な場所は最後まで健全でした。週合計-3ptの「中立〜やや警戒」は、トレンドの崩壊ではなくD群(過熱調整)の重さによるものです。過熱の巻き戻しがどこで一巡するか、来週のイベント3連発が答え合わせになりそうです。

来週の焦点:エヌビディア決算(8/26) / ジャクソンホール会議(8/27-29) / イラン制裁詳細と原油 / 66,000円台の攻防と半導体の戻り

📊 スラッグ:japan-stock-weekly-20260821

今週の個別日レポート: 8/17(月) / 8/18(火) / 8/19(水) / 8/20(木) / 8/21(金)

本記事は私が独自に集計・分析した市場データをまとめたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。記載の数値は記事作成時点のもので、その正確性・完全性を保証するものではありません。

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