騰落レシオ25日と天底スコア ─ 日本株の過熱・底値を数値で捉える2つの指標
騰落レシオ25日とは何か
騰落レシオは、ある期間の「値上がり銘柄数の合計」を「値下がり銘柄数の合計」で割ったもの。25日版は、直近25営業日(およそ1か月)の累計を使います。計算式はこうです。
値が100なら値上がり銘柄と値下がり銘柄がほぼ同数、100より大きければ値上がり銘柄のほうが多かった状態、100より小さければ値下がり銘柄のほうが多かった状態、という直感的な読み方になります。
日本で一般に「騰落レシオ」と呼ばれている指標は、東証プライム全銘柄(旧東証一部)を対象に算出されるのが標準です。プライム市場は日本株の中で最も流動性が高く、市場全体への影響力も大きいため、過熱感を測る基準としてこの対象範囲が定着しているんですね。本ブログの市場体温計セクションに表示している騰落レシオ25日も、この標準的なプライム全銘柄ベースの数値を使っています。
判定のレンジは、以下の3段階で見るのが一般的です。
日次レポートの市場体温計テーブルでも、この「120超で天井警戒/70以下で底値警戒」という基準で警戒水準を表記しています。
騰落レシオの長所と弱点
騰落レシオの長所は、なんといっても計算がシンプルで、日本株市場で広く定着した共通のモノサシで相場全体の温度を測れること。日経や証券レポートでも頻繁に引用されるため、他の投資家と同じ目線で相場を語れます。
騰落レシオ25日は値上がり・値下がり銘柄の「数」だけを集計しているので、「1つ1つの上昇幅や下落幅」は反映されません。たとえば小型株が大量に小幅上昇して、大型株だけが大幅下落した日でも、値上がり銘柄数は多くなります。結果として「騰落レシオは健全なのに指数は下落」という乖離がしばしば起きるんですね。また、120を突破してから実際の天井まで数週間かかることもあれば、70に到達する前にリバウンドすることもあります。単独で使うと「騙されやすい」指標という弱点もあわせ持っています。
天底スコアとは何か(本ブログ独自の複合指標)
騰落レシオ単独の弱点を補うために、私が設計しているのが天底スコアという複合シグナルです。東証プライム全銘柄を対象に、天井サイン4項目・底値サイン4項目をそれぞれ用意し、条件を満たした項目ごとに1点を加算。合計値(0〜4点)でその日の過熱・底値度を表す仕組みです。
| 天井スコアの4項目(各1点) | 底値スコアの4項目(各1点) |
|---|---|
| ① RSI70超の銘柄比率 > 20% | ① RSI30以下の銘柄比率 > 15% |
| ② 乖離率+10%超の銘柄比率 > 12% | ② 乖離率-10%以下の銘柄比率 > 15% |
| ③ 新高値/新安値比 < 2.0 | ③ 新高値/新安値比 < 0.5 |
| ④ 騰落レシオ25日 > 120 | ④ 騰落レシオ25日 < 70 |
ポイントは、騰落レシオ25日が天井・底値スコアそれぞれの「4項目のうちの1つ」として組み込まれている点です。騰落レシオ単独では偽シグナルを出しやすいので、他の3つの指標(RSI分布・乖離率分布・新高値/新安値比)とセットで点灯することで、初めて信頼性の高い転換点シグナルになる、という設計思想なんですね。
天底スコアの判定と使い方
本ブログでは、天底スコアを以下の5段階で読んでいます。
実用的な使い方としては、毎日の日次レポートでまず天底スコアの合計値を確認→3/4以上なら該当項目を精査、という流れがシンプルで有効です。天井スコアが3〜4で推移する期間は利益確定のタイミングを探り、底値スコアが3〜4の期間は逆張りで仕込む銘柄を検討する、という使い分けになります。
実例 ─ 2026年4月17日の市場体温計
実際のデータで読み方を追ってみましょう。日次レポートの2026年4月17日分の市場体温計は、以下のような状態でした。
| 指標 | 本日値 | 警戒水準 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 騰落レシオ25日 | 108.54 | 120超で過熱/70以下で底値 | → 正常 |
| RSI70超の比率 | 24.5% | 20%超で天井警戒 | ⚠ 過熱 |
| 乖離率+10%超の比率 | 7.9% | 12%超で警戒 | → 正常 |
| 新高値/新安値比 | 1.48 | 2.0未満で警戒 | ⚠ 警戒 |
| 天井スコア | 2/4(①RSI・③新高値比が点灯) | 警戒 | |
| 底値スコア | 0/4 | 下値余地あり | |
騰落レシオ単独では108.54で「正常ゾーン」の判定ですが、天底スコアを見ると天井スコアが2/4点灯しています。これは、騰落レシオはまだ過熱圏に入っていないものの、RSI分布と新高値/新安値比のほうが先に警戒シグナルを出し始めている状態を示しています。騰落レシオだけを見ていると気づけない「過熱の兆し」を、天底スコアが拾ってくれている好例ですね。仮にこの状態が続いて、乖離率や騰落レシオまで点灯して3/4や4/4になれば、本格的な利益確定を意識したい局面、ということになります。
モデルの限界と注意点
天底スコアは学術的な標準指標ではなく、私が相場観察を助けるために独自に組み立てている複合シグナルです。4項目の選び方や閾値(20%・12%・2.0など)も、過去の相場観察に基づく経験則で設定したものであり、絶対の正解ではありません。また、相場はときに「過熱のまま長期間上昇を続ける」こともあれば「底値圏から反発せず一段安」ということもあります。天底スコアが4/4になっても直ちに反落するわけではなく、逆に0/4でも想定外の下落は起こり得ます。11因子モデル・対TOPIX相対騰落・個別銘柄のテクニカル・マクロ環境などと組み合わせて総合判断するのが大前提です。
まとめ
- 騰落レシオ25日は業界標準の過熱・底値指標。直近25日の値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100で算出
- 判定:120以上=過熱ゾーン/70〜120=中立/70以下=底値ゾーン
- ただし銘柄数ベースのため「上昇幅・下落幅」は見えず、単独では偽シグナルも出やすい
- 天底スコアは本ブログ独自の複合シグナル。RSI分布・乖離率分布・新高値/新安値比・騰落レシオの4項目で0〜4点をスコア化
- 3/4以上で転換点接近、4/4で転換点。毎日の日次レポートで合計値を確認して警戒レベルを把握
- 騰落レシオ単独では気づけない過熱の兆しを、複合シグナルが先行して拾ってくれるのが強み
- どちらも単独で判断せず、11因子モデルや対TOPIX相対騰落など他の指標と組み合わせて総合判断
本ブログの日次レポートでは、毎日この2つの指標を「市場体温計」セクションでチェックしています。業界標準の騰落レシオで相場全体の温度を測り、天底スコアで複数シグナルの点灯状況を確認する、という2段構えの読み方を習慣にすると、「今は押し目か、それとも利確局面か」という判断がぐっとしやすくなるはずです。それぞれの指標の役割を押さえた上で、日次レポートを読んでもらえると嬉しいです。
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