東京海上が株式分割で1株→15株|74万円→4.9万円、優待は3年保有

東京海上が株式分割で1株→15株。100株の投資額は74万800円から約4.9万円へ。優待は100株以上を3年以上継続保有で年2,500円相当

東京海上が株式分割で1株→15株|74万円→4.9万円、優待は3年保有

2026年8月25日の大引け後、東京海上ホールディングス(8766)が1株を15株に分割し、あわせて株主優待制度を新設すると発表しました。開示には分割・優待・定款変更・配当予想の修正・自己株式取得の変更と5つの項目が並んでいて、パッと見はかなり大きな発表に見えます。

ただ、中身を1つずつ読むと本当に新しいのは分割と優待の2つだけでした。配当は開示文に「実質的に同額」と書かれていますし、自社株買いも上限株数を15倍にしただけで金額は据え置きです。この記事では、実際に何が変わって何が変わっていないのかを整理したうえで、当日の値動きを私の資金フロー日報のデータと突き合わせてみます。

この記事の要点(先に3つ)
① 分割で100株の投資額は約74.1万円から約4.9万円へ。優待は100株以上で金額が固定ですから、分割と組み合わさることで優待利回りは0.34%から5.06%相当へ、ちょうど15倍になります

② ただし配当予想の修正は開示文に「実質的に同額」と明記されていて、増配ではありません。自社株買いの変更も上限を1.3億株→19.5億株に読み替えただけで、2,000億円という金額は動いていません

③ 当日の+2.02%は13時過ぎの買収報道への反応で、開示は15:30の大引け後です。PTSは7,600.1円=+2.59%(18:18時点)と、開示の分はまだ翌日の寄り付きに持ち越されています

何が起きたか|5つ並んだ開示のうち、新しいのは2つ

分割と優待が新規。定款変更・配当修正・自社株買いの3つは、分割に伴う機械的な読み替えです。

まず分割から見ていきます。2026年9月30日を基準日として、1株につき15株の割合で分割します。効力発生日は10月1日で、基準日公告は9月15日の予定です。

これにより発行済株式総数は19億3,400万株から290億1,000万株へ増えます。発行可能株式総数も80億株から1,000億株へ引き上げるため、定款の第6条を変更します。定款変更が並んでいるのは、この枠が足りなくなるからにすぎません。

次に優待です。100株以上を3年以上継続して保有した株主に、初回7,500円相当の電子マネー等を贈呈し、その翌年以降も100株以上を保有していれば毎年2,500円相当を贈呈します。初回の基準日は2027年3月31日で、以後は毎年3月31日です。もらえるものは「電子マネー等(複数種類よりご選択)」とだけ書かれていて、どの電子マネーかは「決定次第、改めてお知らせ」です。つまり現時点で確定しているのは金額と回数で、中身はまだ未定です。

残る2つは、分割に合わせた数字の付け替えです。配当予想は2027年3月期の期末を122.5円から8.17円に修正しますが、開示文には「株式分割による株数増加を考慮した場合、2026年5月20日に公表した予想と実質的に同額」と書かれています。分割前に換算すると245.05円で、5月時点の245円とほぼ変わりません。

自己株式取得も同じです。取得する株式の総数の上限を1億3,000万株から19億5,000万株へ変更していますが、これは15倍にしただけで、取得価額の総額2,000億円と取得期間(12月23日まで)は変わっていません。還元そのものが上積みされたわけではないんですよね。

数値で見るインパクト|74万円が4.9万円に、優待は年5.06%相当

効くのは「分割×100株固定の優待」の組み合わせです。片方だけでは、この数字にはなりません。

8月25日の終値は7,408円でしたので、100株を買うには74万800円が必要でした。これが分割後の理論株価493.87円に置き換わると、100株は約4万9,387円になります。新NISAの成長投資枠でも扱いやすい金額ですし、10万円以下という心理的なハードルの下にも入ります。

ここに優待が乗ります。優待は100株以上であれば金額が同じですので、投資額が小さいほど利回りは高くなります。分割後の100株=約4万9,387円に対して、3年目以降にもらえる年2,500円は5.06%、初回の7,500円は一度きりで15.19%にあたる計算です。

項目分割前(8/25終値)分割後(理論値)
株価7,408円493.87円
100株の投資額740,800円49,387円
配当利回り3.31%3.31%
優待利回り(100株・3年目以降)0.34%5.06%
配当+優待(100株)3.65%8.37%

※分割後の株価は8月25日終値を15で割った理論値です。配当利回りは2027年3月期予想245円(分割前換算)ベース。優待は100株以上で金額が変わらないため、200株以上では利回りが下がります。

裏を返すと、この制度は100株だけ持つ人にいちばん強く効き、大きく持つ人にはほとんど効きません。500万円分を保有しても優待は同じ2,500円ですから、利回りは0.05%です。還元策というより、個人株主の数を増やすための設計に見えます。

金額の規模感でも同じ絵が出ます。配当総額は245円×19億3,400万株でおよそ4,738億円です。仮に対象となる株主が100万人いたとしても優待は25億円で、配当の1%に満たない計算になります。会社が「より多くの皆さまに当社の株主となっていただき」と書いているのは、そのままの意味なのかなと思います。

⚠ いま買っても、最初の優待は2030年3月末です。継続保有は3月31日と9月30日の株主名簿に連続7回以上記載されたかで判定されます。仮に2026年9月30日を1回目とすると7回目が2029年9月30日ですので、7,500円を受け取れるのは2030年3月31日を基準日とする回になります。「優待をもらうために買う」なら、3年ではなく3年7カ月です。

逆に、すでに3年以上持っている株主は2027年3月31日時点で初回の対象になります。つまり今の長期株主を先に厚遇して、新規は3年待たせるという順番です。ここは短期の売買では拾えない部分ですね。

すでに持っている人はどうなる?|手続きは不要、優待の初回は「いつ買ったか」で決まる

株数は15倍、評価額はそのまま。優待の初回基準日は保有を始めた時期で4段階に分かれます。

まず株そのものです。いま100株持っていれば、9月29日(火)の朝に口座の株数が1,500株になります。株価はおよそ15分の1になるので、評価額は前日と変わりません。手続きは何も要りませんし、単元未満株も同じように15倍になります(たとえば10株なら150株になり、100株以上の単元株主になります)。分割後に100株のままにしたい理由はありませんので、そのまま持っていれば大丈夫です。

次に優待です。先ほどの「いま買うと2030年3月末」と「3年以上持っていれば2027年3月末」の間にいる人、つまり持ってはいるが3年未満という株主がいちばん多いはずですので、保有を始めた時期ごとに初回の基準日を並べておきます。判定は3月末・9月末の株主名簿に100株以上で連続7回以上載ったかどうかで、基準日当日の記載も1回に数えます。

100株以上の保有を始めた時期2027/3/31時点の記載回数初回優待(7,500円)の基準日
2024年3月以前7回以上2027年3月31日
2024年4月〜2025年3月5〜6回2028年3月31日
2025年4月〜2026年3月3〜4回2029年3月31日
2026年4月〜2027年3月(いまから買う人を含む)1〜2回2030年3月31日

※上の3行は開示の別紙にあるタイムライン図と同じ区分です。最後の行は別紙にはなく、同じ数え方を当てはめた当方の推定です。「保有を始めた時期」は、はじめて100株以上で株主名簿に載った基準日を指します。途中で売却して株主番号が途切れた場合はリセットされます(→Q7)。

初回の7,500円を受け取った翌年からは、100株以上を持ち続けているかぎり毎年2,500円です。分割前から持っている人にとっては、投資額は当時のままで優待だけが新しく乗る形になりますので、利回りの計算は分割後に買う人ほど派手にはなりません。ただ受け取る金額自体は同じです。

買うか迷っている人へ|よくある7つの疑問

「いつまでに買えばいいのか」「優待は毎年もらえるのか」を、開示の記載に沿って順番に整理します。

東京海上の株式分割・配当・株主優待のスケジュール 2026年9月28日が権利付最終日で、ここまでに買うと中間配当122.5円と株式分割の権利がつく。9月29日が権利落ち日で株価が約15分の1に調整され、100株が約4.9万円になる。9月30日が基準日、10月1日が会社法上の効力発生日。ただし証券口座では権利落ち日の9月29日早朝に株数が15倍で反映され、その日から売却もできる。2027年3月31日は期末配当8.17円の基準日であり、株主優待の初回基準日でもあるが、対象は3年以上継続保有している既存株主に限られる。いま新規に買った場合の初回優待は2030年3月31日を基準日とする回になる。 図1 分割・配当・優待のスケジュール 2026年8月25日の開示にもとづく。株価は8月25日終値7,408円をもとにした試算です まず2026年9〜10月 9/28(月) 権利付最終日 ここまでに買うと 中間配当122.5円 (100株で12,250円) +分割の権利がつく 9/29(火) 権利落ち日 株価がおよそ15分の1へ 100株が約4.9万円 口座の株数も、この日の早朝に 15倍で反映されます 9/30(水) 基準日 分割と中間配当の 株主がここで確定 継続保有の1回目にもなる 10/1(木) 効力発生日 会社法上の分割の日 口座への反映は9/29に 済んでいます その先の受け取り 2027年3月31日 2030年3月31日 期末配当 8.17円(100株で817円) 優待の初回基準日でもありますが 対象は3年以上持っている既存株主だけ いま買った人の初回優待 7,500円 翌年以降は毎年2,500円(年1回) さらに3年

図1 分割・配当・優待のスケジュール。権利付最終日は基準日の2営業日前です。9月30日(水)の基準日に対しては9月28日(月)がその日にあたります。効力発生日は10月1日ですが、株価も口座の株数も権利落ち日の9月29日に入れ替わります(→Q2)。

Q1. 100株が4.9万円で買えるようになるのは、いつからですか?

2026年9月29日(火)からです。効力発生日は10月1日ですが、株価がおよそ15分の1に調整されるのは権利落ち日にあたる9月29日になります。

逆に9月28日(月)までは74万800円が必要です。そのかわり、この日までに買えば中間配当と分割の権利がつきます。同じ「100株」でも、9月28日と9月29日では意味がまったく違うんですよね。

Q2. 株価が15分の1になるのは9月29日なのに、株数が増えるのは10月1日ですか?

ここは日付が3つに分かれていて、いちばん混乱しやすいところです。順番に分けると、次のようになります。

タイミング何が起きるか
取引所の値段9月29日(火)売買される株価がおよそ15分の1に調整される
証券口座の残高9月29日(火)多くのネット証券で、この日の早朝に株数が15倍で反映される。売却もこの日から可能
会社法上の効力10月1日(木)株式が正式に分割される日。株主名簿に反映される

※反映時刻は証券会社によって差があります。SBIネオトレード証券と岩井コスモ証券は権利落ち日の早朝5時台、GMOクリック証券は権利付最終日の夜間バッチで反映と案内しています。

そのため、「株価だけ15分の1になって、資産が10月1日まで15分の1に見える」ということは基本的に起きません。9月29日の朝の時点で、株価と株数が同時に入れ替わります。

10月1日という日付は、会社法上いつ分割の効力が生じるかという話です。市場と口座の実務は、その2営業日前から先に動いている、という理解でいいのかなと思います。

※ひとつだけ注意点があります。信用取引で保有株を代用有価証券にしている場合、証券会社によっては代用評価の反映が効力発生日までずれることがあります。その間だけ信用余力が下がる可能性があるという案内を楽天証券が出していますので、該当する方はご自身の証券会社の案内を確認しておきたいところです。現物だけであれば関係ありません。

Q3. 分割のあとに買っても、配当はもらえますか?

もらえます。ただし次にもらえるのは2027年3月31日を基準日とする期末配当で、分割後の1株あたり8.17円です。100株なら817円(税引前)になります。

一方、9月30日を基準日とする中間配当122.5円は、9月28日までに買った人が対象です。100株で12,250円です。分割後に買うと、直近の1回分は取り逃す形になります。

なお配当そのものは年2回で、これは分割の前後で変わりません。9月末と3月末の2回です。

Q4. 優待を最短で受け取るには、いつまでに100株を買えばいいですか?

優待だけが目的なら、2027年3月29日(月)までに買えば初回の時期は変わりません。つまり9月末に間に合わせる必要はない、ということになります。

理由は数え方にあります。継続保有は3月31日と9月30日の株主名簿に連続7回以上載ったかどうかで判定され、基準日当日の記載も1回に数えます。

名簿に載る1回目2029年3月末の時点2030年3月末の時点初回優待
2026年9月30日
(9/28までに買う)
6回・対象外8回・対象2030年3月末
2027年3月31日
(2027/3/29までに買う)
7回・対象2030年3月末

※開示の別紙にある「2025年4月から2026年3月までの間に保有を開始した場合は2029年3月31日が初回」という記載と、同じ数え方になります。

どちらの入り方でも初回は2030年3月末です。9月末までに買う理由があるとすれば、それは優待ではなく中間配当122.5円のほう、という整理になります。

Q5. 100株より多く持てば、優待は増えますか?

増えません。100株以上であれば初回7,500円・翌年以降2,500円で固定です。投資額が増えるほど優待の利回りだけが下がっていきます。

保有株数(分割後)投資額の目安優待(3年目以降)優待利回り
100株約49,387円2,500円5.06%
500株約246,933円2,500円1.01%
1,000株約493,867円2,500円0.51%
10,000株約4,938,667円2,500円0.05%

※投資額は8月25日終値7,408円を15で割った理論株価493.87円で計算しています。

優待だけを見れば100株がいちばん効率的です。とはいえ配当は株数に比例しますので、多く持つ意味そのものがなくなるわけではありません。

Q6. 優待は年に何回もらえますか?

年1回です。基準日は毎年3月31日の1回だけで、9月30日は「継続して持てているか」を数えるための日にすぎません。9月末に優待そのものは出ません。

項目回数基準日
配当年2回9月30日・3月31日
株主優待年1回3月31日のみ
継続保有の判定年2回9月30日・3月31日

配当は年2回、優待は年1回、判定は年2回。同じ日付が別の意味で3回出てきますので、混ざりやすいところかなと思います。

Q7. 途中で売ってしまったら、どうなりますか?

それまでの保有期間はリセットされます。開示文には「売却等により株主番号の連続性が途切れた場合は、それ以前の保有期間は通算いたしません」と書かれています。

100株を下回った場合も同じです。判定は「100株以上を保有する株主として記載されたか」で行われますので、その基準日に99株だとその回は数えられません。3年半かけて積み上げた回数が、1回でゼロに戻る設計になっています。

※優待の中身(どの電子マネーか)は「決定次第、改めてお知らせ」とされていて、確定しているのは金額と回数だけです(→「何が起きたか」の優待の段落)。続報を待ちたいところです。

まとめると、期限は2つです。
中間配当122.5円(100株で12,250円)が目的なら、2026年9月28日(月)まで。ただし74万800円が必要です
株主優待が目的なら、2027年3月29日(月)まで。10月以降なら約4.9万円で買えて、初回優待の時期は9月末に買った場合と変わりません

国内市場の反応|保険業は33業種2位、ただし最大手だけ調整の途中

当日の+2.02%は開示前の動きです。そして東京海上は、保険6社のなかで最も売られている側にいました。

8月25日の日経平均は3営業日ぶりに反発し、328.34円高の6万5,856.43円で引けました。業種別では保険業が+1.85%と33業種の2位で、TOPIX(+0.50%)を1.35pt上回っています。東京海上は+2.02%で、対TOPIXでは+1.52ptでした。

ただ、時系列は取り違えないようにしておきたいところです。開示は15:30、つまり大引け後でした。日中の上昇材料として伝わっていたのは13時過ぎに伝わった豪サンコープの買収をめぐる報道のほうで、分割と優待の分はまだ株価に入っていません。PTSが7,600.1円=+2.59%(18:18時点)まで買われているのは、その持ち越し分ということになります。

面白いのは、ここに私が毎日集計しているデータを重ねたときです。保険6社を並べると、同じ業種のなかで温度がはっきり分かれていました。

銘柄終値前日比RSI25日乖離率
東京海上HD(8766)7,408円+2.02%38.27-4.64%
MS&AD(8725)5,072円+2.94%68.97+3.75%
SOMPO HD(8630)6,803円+1.42%49.68-2.09%
かんぽ生命(7181)1,663.5円+1.65%47.76-2.66%
第一ライフ(8750)1,802円+1.41%39.12-3.80%
T&D HD(8795)4,767円+0.91%38.75-3.69%

※RSI・25日移動平均線乖離率は8月25日終値時点。私が日次で集計している資金フロー日報の元データからの抜粋です。

6社すべてが上昇した日でありながら、東京海上のRSIは38.27・25日乖離は-4.64%と、6社のなかでいちばん売られている側にいました。MS&ADがRSI68.97・乖離+3.75%と過熱寄りだったのとは対照的です。業種としては強い日でも、最大手だけは調整局面の途中だったということになります。

個別銘柄の過熱スコアとは
RSI・移動平均線乖離率・信用倍率など5つの指標から、その銘柄が「買われすぎ/売られすぎ」のどちら寄りにいるかを点数化したものです。今回のように業種全体が上がった日でも、中の銘柄が同じ温度とは限りません。スコアを見ると、その差が数字で分かります。
→ もっと詳しく知りたい方は:個別銘柄の過熱スコア(5指標)の読み方を読む

この日は保険だけでなく、銀行業+1.30%・証券商品先物業+1.63%・その他金融業+0.91%と金融が横並びで買われました(業種ごとの強弱を対TOPIXで見る方法は対TOPIX相対騰落 累積ptの読み方で解説しています)。米10年債利回りが4.693%へ低下した日に金融が買われたという点は、素直な金利連動とは逆の並びでした。

翌日以降に見ておきたい3つ

開示の分がどこまで株価に乗るのか、そして「分割期待」と「優待期待」を分けて見られるかどうかです。

📊 確認する3つのポイント
  • ① PTSの+2.59%が寄り付きでどこまで残るか
    大引け後の開示は、翌日の寄りで一度織り込まれます。寄り高で始まってそのまま伸びるのか、寄り天で戻されるのかで、市場がこの発表をどう採点したかが見えます
  • ② 実際に買いやすくなるのは9月29日から
    効力発生日は10月1日ですが、株価がおよそ15分の1に調整されるのも、口座の株数が15倍で反映されるのも権利落ち日の9月29日(火)です。それまでの1カ月は74万800円のままです。「分割で買いやすくなった」という理由の買いは、当面は期待先行の分だけということになります
  • ③ 日経平均への影響は基本的に中立
    東京海上は日経225の採用銘柄です。分割時は株価換算係数が調整されるため、指数の水準が飛ぶことはありません。指数側の材料として読むところではないという理解でいます

あわせて、RSI38.27・25日乖離-4.64%という位置も見ておきたいところです。過熱している銘柄が材料で跳ねるのと、調整の途中にある銘柄が材料で跳ねるのとでは、その後の戻され方が変わってきたりします。

🏆 この記事のまとめ

  • 8月25日の大引け後、東京海上HDが1株→15株の株式分割と株主優待制度の新設を発表。基準日は9月30日、効力発生日は10月1日です。発行済株式総数は19.34億株から290.10億株になります
  • 優待は100株以上を3年以上継続保有で初回7,500円相当、翌年以降は毎年2,500円相当。初回基準日は2027年3月31日で、以後は毎年3月31日です
  • 100株の投資額は約74.1万円から約4.9万円へ。優待は100株以上で金額固定ですので、優待利回りは0.34%から5.06%相当に変わります。配当3.31%と合わせると8.37%という計算です
  • ただし新規で買う人の初回優待は2030年3月末です。継続保有は3月末・9月末の名簿に連続7回以上で判定されるため、3年ではなく3年7カ月かかります。しかもこの日付は、9月末に買っても2027年3月末に買っても変わりません
  • 株価も口座の株数も、入れ替わるのは権利落ち日の9月29日(火)です。効力発生日の10月1日は会社法上の日付で、市場と口座の実務はその2営業日前から動きます。9月28日(月)までに買えば中間配当122.5円(100株で12,250円)と分割の権利がつき、9月29日以降なら約4.9万円で買えるかわりにその回の配当はつきません
  • 配当予想の修正は開示文に「実質的に同額」と明記。自社株買いの変更も上限株数を15倍にしただけで、2,000億円は据え置きです。5つ並んだ開示のうち、新しいのは分割と優待の2つでした
  • 当日の+2.02%は13時過ぎの買収報道への反応で、開示は15:30。保険業は+1.85%と33業種2位でしたが、東京海上はRSI38.27・25日乖離-4.64%と6社でいちばん売られている側にいました

数値の出所:分割比率・優待内容・配当予想・自己株式取得の変更は、東京海上ホールディングスが2026年8月25日に開示した「株式分割および株主優待制度の導入について」の記載によります。株価・前日比・業種別騰落率・RSI・移動平均線乖離率は8月25日の東証終値ベースで、私が日次で集計している資金フロー日報の元データからの抜粋です。PTS価格は8月25日18:18時点。分割後の株価・利回りは終値を15で割った理論値で、実際の値とは異なります。買収報道の内容は同日の報道ベースで、確報で修正される場合があります。

📝 個人的な見解
NISAの受け皿をつくりにいった分割だと見ています。ただし優待の条件は3年半ですので、株価を追いかける種類の材料ではありません

今回の設計を見て思い出したのはNTTでした。2023年に1株を25株へ分割したときも、会社のリリースには2024年から始まる新NISAがはっきり書かれていました。今回の東京海上も、100株を約4.9万円まで下げたうえで100株固定の優待を乗せています。狙っている層は、たぶん同じところなんですよね。

そのNTTがどうなったかは、数字が残っています。株主数は105万人増えて177万人となり、14年ぶりに国内首位に戻りました。株主基盤づくりという意味では、狙いどおりだったと言えそうです。

一方で株価のほうは、分割後の初日である2023年7月3日の終値171.2円に対して、8月25日の終値が169.2円でした。約3年2カ月で-1.2%です(配当は別)。途中の動きも分かれていて、新NISAが始まった2024年1月には192.9円まで上げて分割から+12.7%になりましたが、そこが高値で、2025年4月には135.2円まで下げています。短期には効いたけれど、大きなトレンドにはならなかったという形ですね。今回も短期の株価には影響が出ると思いますが、そこから先までは分からないという見方をしています。

優待については、正直なところ3年半という条件が重いです。いま買って初回の7,500円を受け取れるのは2030年3月末です。私の実感で言えば、その頃には買ったこと自体を忘れている気がします。ただ、これは制度の側から見ると狙いどおりなのかもしれません。忘れて持ち続けている人が、いちばん条件を満たしやすい設計になっています。

ちなみにNTTのdポイントは、100株以上を2年以上で1,500ポイント、5年以上で3,000ポイントという区分で、会社が「毎年進呈するものではございません」と明記しているとおり該当した区分ごとに1回だけです。東京海上のほうは初回7,500円のあとも毎年2,500円が続きます。長く持たせる仕掛けとしては、今回のほうが一段強いのかなと思います。

そのうえで、私自身の見方も書いておきます。100株が5万円程度で買える銘柄になりますので、持つとしたら値動きを追わずに置いておく形が、いちばん制度と噛み合います。時期については、相場全体が急落する場面があってそれに連れ安するようなら見に行きたい、というくらいの温度です。RSI38.27という位置も含めて、今日の材料で急ぐところではないと考えています。

※本記事は、公表情報および筆者が独自に集計した市場データをもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。分割後の株価・利回りは理論値であり、将来の成果を保証しません。優待制度の詳細は会社が「決定次第、改めてお知らせ」としている部分がありますので、最新の開示をご確認ください。株主優待と配当では税務上の取り扱いが異なります。個別の取り扱いについては税務署や税理士にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記載の数値は2026年8月25日時点のものであり、正確性を保証するものではありません。

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