- 日経+0.15%・TOPIX+0.47%の全面高。ただし、けん引役だった値がさAIのキオクシア−4.05%・ソフトバンクグループ−5.33%は反落しました。
- 本ブログ独自の対TOPIX相対で見ると、市場平均に勝ったのは半導体ではなく内需・ディフェンシブ・不動産。半導体の主役テーマ(電気機器+0.43%)は相対で平均並みにとどまりました。
- 4営業日前の「半導体一極高」とは対照的に、今日は半導体が主役を一歩譲り、出遅れ・内需へ資金が回った全面高でした。主役交代の入り口なのかを点検します。
①何が起きたか ―― けん引役の値がさAIが反落
まず地合いはリスクオンでした。日経平均は前日比+0.15%、TOPIXは+0.47%、新興のグロース市場指数は+2.96%と上昇し、東証プライムの値上がり銘柄比率も70.2%。先週末の金曜に大きく下げた後だけに、いったん買い戻しが広く入った格好です。ところが、その買いは半導体には向かいませんでした。AIメモリーの代表格キオクシアは売買代金トップながら−4.05%、ソフトバンクグループも−5.33%と、相場をけん引してきた値がさ株がそろって反落しています。
とはいえ、指数は崩れていません。むしろ全面高です。ですので今日は「AIから資金が逃げた日」というより、主役のAI大型株がいったん休み、その間に資金が別の場所へ回った日と読むのが自然そうです。どこへ回ったのかは、このあと対TOPIX相対で見ていきます。
②数値で見るインパクト ―― 半導体は「崩れた」のでも「主役」でもなく平均並み
誤解されやすいので先に整理しておきます。今日の半導体は、崩れたわけでも主役だったわけでもなく、全体としては平均並みでした。業種としての電気機器は+0.43%とほぼ横ばい。製造装置もまちまちで、東京エレクトロン+2.44%・ディスコ+1.32%が買われた一方、アドバンテスト−1.51%・レーザーテック−1.60%は売られています。けん引役のキオクシアが下げても、装置や他の半導体まで一斉に崩れたわけではない、という温度感です。
③国内市場の反応 ―― 相対で勝ったのは内需・ディフェンシブ
では、半導体から離れた資金はどこへ向かったのか。ここで本ブログ独自の対TOPIX相対騰落の出番です。全面高の日はほとんどの業種がプラスになるので、騰落率だけでは資金の向きが見えません。各業種の騰落率から市場平均であるTOPIXの上昇分(+0.47%)を差し引いた「相対騰落」で見ると、本当に資金を集めた業種がくっきり浮かびます。
つまり、全面高にもかかわらず、市場平均をはっきり上回って買われたのは半導体ではなく、内需・ディフェンシブ・不動産でした。半導体の主役テーマである電気機器は対TOPIXで−0.04ptとほぼ平均並み、情報・通信業も−0.80ptと届いていません。テーマ別の資金フローで見ても、テクノロジーは+0.20ptの中立どまりで、内需消費の+1.52ptに見劣りしました(テーマ別フローや3対立軸の読み方はテーマ別資金フローと3対立軸の読み方で解説しています)。日経とTOPIXの差を映すNT倍率は17.45へ−0.06低下しており、ここにも「値がさ半導体が重く、日経がTOPIXに対して相対的に弱かった」地合いがにじんでいます。4営業日前の一斉高とは、ちょうど裏返しの構図ですね。
各業種の騰落率から、その日のTOPIX前日比を差し引いた数字です。プラスなら市場平均より強く、マイナスなら弱い、と読みます。今日のように指数が全面高の日ほど、地合いのゲタを脱がせて「どの業種が本当に資金を集めたか」がくっきり見えるのが利点です。
逆にはっきり逆行安になったのが資源でした。非鉄金属−2.70%(相対−3.17pt)、鉱業−1.83%(−2.30pt)、石油・石炭製品−1.07%(−1.54pt)と、内需に資金が向かった裏側で売られています。一方で値上がり率の上位は、サンウェルズ+20.34%や宮越ホールディングス+17.44%など、低位・出遅れの中小型株がにぎわいました。けん引役のAI大型株が一服した尻目に、出遅れていた銘柄へ短期資金が回った、という今日の物色の縮図のようにも見えます。
④翌日以降のシナリオ ―― 主役交代は本物か、3つの分岐
ここからは予想ではなく、「どの条件ならどちらに傾くか」の整理です。今日の動きが「主役交代の入り口」なのか「ただの一日の値動き」なのかで、当面の景色が変わってきそうです。
キオクシアやソフトバンクグループの反落が一時的で、押し目買いが入って主役に戻る展開。同時に内需・出遅れにも資金が残れば、半導体と内需の二本柱で裾野の広い相場になります。
▶ 条件:米半導体・ハイテク株の底堅さ/値がさAIが出来高を伴って切り返す。値がさAIは小休止が続き、その間は内需・ディフェンシブや出遅れ株へ資金が細かく循環する展開。指数は方向感を欠きやすく、今日の延長線として自然なケースです。
▶ 条件:強材料・悪材料がともに乏しい/AI大型株が動意を欠く。キオクシアやソフトバンクグループの下げが深まると、受け皿が乏しく指数の頭を押さえる展開。市場体温計では信用評価損益率の過熱シグナルが点灯しており、急騰した銘柄ほど反動も出やすい局面です。
▶ 条件:米ハイテクの反落/値上がり率上位の過熱銘柄の急失速/VIXの上昇。気になるのは、やはり急騰銘柄の過熱です。値上がり率の上位には短期で一気に買われた低位株も増えてきました(個別銘柄の過熱の測り方は個別銘柄の過熱スコアで解説しています)。先週末に大きく下げた直後の反発でもあり、戻りを試す前の一服、という気もします。
⑤まとめ
今日の日経平均+0.15%は、ぱっと見は「全面高」でした。しかし対TOPIX相対で中身を開けてみると、市場平均に勝っていたのは半導体ではなく内需・ディフェンシブ・不動産。むしろ相場をけん引してきた値がさAI(キオクシア・ソフトバンクグループ)は反落しており、4営業日前の「半導体一極高」とは裏返しの一日でした。
とはいえ、半導体が崩れたわけではありません。製造装置はまちまち、太陽誘電は個別材料での独歩高で、セクター全体としては平均並み。今日はあくまで、主役だった値がさAIが一歩下がり、その間に内需・出遅れへ資金が回った段階だと見ています。
ですので、今後の焦点はこの主役交代が定着して内需・出遅れへ広がるのか、それとも値がさAIが押し目買いで主役に戻るのか、その一点になりそうです。当日のマーケット全体の動きは日次レポートでも整理しています。











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