半導体は主役交代?|全面高でも値がさAIが反落、資金は内需・出遅れへ

本日2026年6月29日の東京株式市場は、日経平均が+0.15%、TOPIXが+0.47%とそろって上昇し、値上がりした業種は33業種中24という全面高でした。ところが、ここまで相場をけん引してきた値がさのAI関連株は、むしろ反落しています。代表格のキオクシアは−4.05%、ソフトバンクグループは−5.33%。それでも指数が崩れなかったのは、資金が半導体の外へ回ったからでした。 この記事は「上がる/下がる」を当てに行くものではありません。全面高の中身と資金の向き先を、私なりに整理してみます。じつは4営業日前のマイクロン決算での半導体一斉高では、相対で勝ったのは半導体だけでした。今日はその半導体が、一歩主役を譲った格好です。
先に3行で
  1. 日経+0.15%・TOPIX+0.47%の全面高。ただし、けん引役だった値がさAIのキオクシア−4.05%・ソフトバンクグループ−5.33%反落しました。
  2. 本ブログ独自の対TOPIX相対で見ると、市場平均に勝ったのは半導体ではなく内需・ディフェンシブ・不動産。半導体の主役テーマ(電気機器+0.43%)は相対で平均並みにとどまりました。
  3. 4営業日前の「半導体一極高」とは対照的に、今日は半導体が主役を一歩譲り、出遅れ・内需へ資金が回った全面高でした。主役交代の入り口なのかを点検します。

何が起きたか ―― けん引役の値がさAIが反落

「値がさAI」って何を指す?ここでは、ここ最近の相場を主導してきた大型・人気のAI関連株――キオクシア(AIメモリー)やソフトバンクグループ(AI投資の象徴)、半導体製造装置などを指しています。今日はこれらが全面高のなかで逆に売られたのが特徴でした。相場が崩れたわけではなく、主役だった銘柄が一服した、という整理がしっくりきます。

まず地合いはリスクオンでした。日経平均は前日比+0.15%、TOPIXは+0.47%、新興のグロース市場指数は+2.96%と上昇し、東証プライムの値上がり銘柄比率も70.2%。先週末の金曜に大きく下げた後だけに、いったん買い戻しが広く入った格好です。ところが、その買いは半導体には向かいませんでした。AIメモリーの代表格キオクシアは売買代金トップながら−4.05%、ソフトバンクグループも−5.33%と、相場をけん引してきた値がさ株がそろって反落しています。

とはいえ、指数は崩れていません。むしろ全面高です。ですので今日は「AIから資金が逃げた日」というより、主役のAI大型株がいったん休み、その間に資金が別の場所へ回った日と読むのが自然そうです。どこへ回ったのかは、このあと対TOPIX相対で見ていきます。

キオクシア(AIメモリー)
−4.05%
売買代金 全市場1位
ソフトバンクG
−5.33%
情報・通信業
全面高の広がり
24/33
値上がり業種・比率70.2%

数値で見るインパクト ―― 半導体は「崩れた」のでも「主役」でもなく平均並み

誤解されやすいので先に整理しておきます。今日の半導体は、崩れたわけでも主役だったわけでもなく、全体としては平均並みでした。業種としての電気機器は+0.43%とほぼ横ばい。製造装置もまちまちで、東京エレクトロン+2.44%・ディスコ+1.32%が買われた一方、アドバンテスト−1.51%・レーザーテック−1.60%は売られています。けん引役のキオクシアが下げても、装置や他の半導体まで一斉に崩れたわけではない、という温度感です。

電気機器(業種指数)
+0.43%
ほぼ横ばい
半導体製造装置
まちまち
4社高・5社安
太陽誘電(個別材料)
+10.91%
売買代金 全市場2位
太陽誘電の急騰は“セクター高”ではなく“個別の独歩高”値上がりが目立った太陽誘電+10.91%は、AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需給逼迫や再評価という個別材料での上昇でした。同じ電子部品でも村田製作所−0.28%・TDK+0.50%・イビデン−1.25%とほぼ動いておらず、部品セクター全体が連れ高したわけではありません。ですので今日は「半導体の二極化」というより、けん引役のAI大型株が反落し、太陽誘電のような個別材料株がそれぞれの理由で動いた、と分けて見るのが正確だと思います。半導体株の役割ごとの見極め方は、銘柄ガイド:日本の半導体株で整理しています。

国内市場の反応 ―― 相対で勝ったのは内需・ディフェンシブ

では、半導体から離れた資金はどこへ向かったのか。ここで本ブログ独自の対TOPIX相対騰落の出番です。全面高の日はほとんどの業種がプラスになるので、騰落率だけでは資金の向きが見えません。各業種の騰落率から市場平均であるTOPIXの上昇分(+0.47%)を差し引いた「相対騰落」で見ると、本当に資金を集めた業種がくっきり浮かびます。

本日の業種別 対TOPIX相対騰落(pt) プラス=市場平均(TOPIX)より強い。相対の主役は内需・ディフェンシブで、半導体は平均並み。 0pt(=TOPIX並み) -4 -2 +2 その他製品 +2.23 倉庫・運輸 +2.14 保険業 +2.04 サービス業 +1.64 不動産業 +1.55 電気機器 ★ -0.04 情報・通信業 ★ -0.80 石油・石炭製品 -1.54 非鉄金属 -3.17 ※対TOPIX相対=業種騰落率−TOPIX前日比(+0.47%)。★は半導体の主役テーマ。平均並みにとどまった。
本日の業種別 対TOPIX相対騰落(pt=%どうしの差分)。プラスは市場平均より強いことを示します。相対で勝ったのは、その他製品(+2.23pt)や倉庫・運輸、保険、サービス業、不動産業といった内需・ディフェンシブ寄り。半導体の主役テーマである電気機器(−0.04pt)と情報・通信業(−0.80pt)は、平均並みかやや下にとどまりました。

つまり、全面高にもかかわらず、市場平均をはっきり上回って買われたのは半導体ではなく、内需・ディフェンシブ・不動産でした。半導体の主役テーマである電気機器は対TOPIXで−0.04ptとほぼ平均並み、情報・通信業も−0.80ptと届いていません。テーマ別の資金フローで見ても、テクノロジーは+0.20ptの中立どまりで、内需消費の+1.52ptに見劣りしました(テーマ別フローや3対立軸の読み方はテーマ別資金フローと3対立軸の読み方で解説しています)。日経とTOPIXの差を映すNT倍率は17.45へ−0.06低下しており、ここにも「値がさ半導体が重く、日経がTOPIXに対して相対的に弱かった」地合いがにじんでいます。4営業日前の一斉高とは、ちょうど裏返しの構図ですね。

対TOPIX相対騰落とは

各業種の騰落率から、その日のTOPIX前日比を差し引いた数字です。プラスなら市場平均より強く、マイナスなら弱い、と読みます。今日のように指数が全面高の日ほど、地合いのゲタを脱がせて「どの業種が本当に資金を集めたか」がくっきり見えるのが利点です。

→ もっと詳しく知りたい方は:対TOPIX相対騰落 累積ptの読み方を読む

逆にはっきり逆行安になったのが資源でした。非鉄金属−2.70%(相対−3.17pt)、鉱業−1.83%(−2.30pt)、石油・石炭製品−1.07%(−1.54pt)と、内需に資金が向かった裏側で売られています。一方で値上がり率の上位は、サンウェルズ+20.34%や宮越ホールディングス+17.44%など、低位・出遅れの中小型株がにぎわいました。けん引役のAI大型株が一服した尻目に、出遅れていた銘柄へ短期資金が回った、という今日の物色の縮図のようにも見えます。

翌日以降のシナリオ ―― 主役交代は本物か、3つの分岐

ここからは予想ではなく、「どの条件ならどちらに傾くか」の整理です。今日の動きが「主役交代の入り口」なのか「ただの一日の値動き」なのかで、当面の景色が変わってきそうです。

A:値がさAIが押し目買いで主役復帰

キオクシアやソフトバンクグループの反落が一時的で、押し目買いが入って主役に戻る展開。同時に内需・出遅れにも資金が残れば、半導体と内需の二本柱で裾野の広い相場になります。

▶ 条件:米半導体・ハイテク株の底堅さ/値がさAIが出来高を伴って切り返す。
B:主役不在のまま内需へ循環

値がさAIは小休止が続き、その間は内需・ディフェンシブや出遅れ株へ資金が細かく循環する展開。指数は方向感を欠きやすく、今日の延長線として自然なケースです。

▶ 条件:強材料・悪材料がともに乏しい/AI大型株が動意を欠く。
C:値がさAIの下げが指数の重しに

キオクシアやソフトバンクグループの下げが深まると、受け皿が乏しく指数の頭を押さえる展開。市場体温計では信用評価損益率の過熱シグナルが点灯しており、急騰した銘柄ほど反動も出やすい局面です。

▶ 条件:米ハイテクの反落/値上がり率上位の過熱銘柄の急失速/VIXの上昇。

気になるのは、やはり急騰銘柄の過熱です。値上がり率の上位には短期で一気に買われた低位株も増えてきました(個別銘柄の過熱の測り方は個別銘柄の過熱スコアで解説しています)。先週末に大きく下げた直後の反発でもあり、戻りを試す前の一服、という気もします。

まとめ

今日の日経平均+0.15%は、ぱっと見は「全面高」でした。しかし対TOPIX相対で中身を開けてみると、市場平均に勝っていたのは半導体ではなく内需・ディフェンシブ・不動産。むしろ相場をけん引してきた値がさAI(キオクシア・ソフトバンクグループ)は反落しており、4営業日前の「半導体一極高」とは裏返しの一日でした。

とはいえ、半導体が崩れたわけではありません。製造装置はまちまち、太陽誘電は個別材料での独歩高で、セクター全体としては平均並み。今日はあくまで、主役だった値がさAIが一歩下がり、その間に内需・出遅れへ資金が回った段階だと見ています。

ですので、今後の焦点はこの主役交代が定着して内需・出遅れへ広がるのか、それとも値がさAIが押し目買いで主役に戻るのか、その一点になりそうです。当日のマーケット全体の動きは日次レポートでも整理しています。

※本記事は2026年6月29日大引け時点で私が把握したデータをもとにした個人的な整理であり、特定の銘柄・指数の売買を推奨するものではありません。株価・売買代金・騰落率は基準日時点のもので、短期間で変動します。対TOPIX相対騰落・テーマ別資金フロー等は自作の集計にもとづくもので、正確性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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