半導体株に資金が逆戻り|ハイテク安の逃げ場だった食品・薬品・不動産株が2日続けて売られる

半導体株に資金が逆戻り。では、売られた業種は? ハイテク安の間に逃げ場になっていた株でした。2026年10月28日、日経平均63,954円(+685円)、TOPIX−0.14%。10月14日比で大手製薬は26日+10.2%→28日+7.0%、半導体製造装置は26日−20.2%→28日−13.0%

2026年10月28日、日経平均は685円高の6万3,954円(+1.08%)と続伸しました。一方でTOPIXは−0.14%と小幅に下げ、東証プライムでは値下がりが1,096銘柄と、7割の銘柄が下げています。

125のサブ業種に分けて見ると、この日の値動きは、直近8日間の流れをそのまま裏返した形でした。日経平均が急落した10月15日から、ハイテク株が売られる間に資金の逃げ場になっていた株が売られ、売られていたハイテク・半導体株に資金が戻っています。

◆
この記事の要点(先に3つ)

① 10月15〜26日の8日間、日経平均が8.2%下げる間にTOPIXより強かったのは、薬・食品・外食・小売・不動産・鉄道など内需の25グループでした。

② その25グループは、27日も28日も25グループすべてがTOPIXより弱く、属する320銘柄のうち2日で上げたのは17銘柄だけです。反対に、売られていた半導体まわりの25グループは24グループが上げました。

③ 8日間で開いた両者の差15.6ptのうち、2日で7.0pt(45%)が戻りました。残りも戻ってハイテクに資金が帰っていくのかは、まだ分かりません。今夜のFOMCと、30日の東京エレクトロン・キオクシアの決算が次の材料です。

10月28日の相場|日経685円高、TOPIXは小幅安

買われたのは半導体、売られたのは食品と保険でした。

27日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+3.60%と上げ、28日は韓国SKハイニックスの7〜9月期が過去最高益だったことも追い風になりました。東京ではキオクシアホールディングス+13.76%(売買代金1兆5,068億円で首位)、イビデン+7.94%、ルネサスエレクトロニクス+7.47%、東京エレクトロン+4.42%と、半導体の主力株に買いが集まっています。

33業種で下げが大きかったのは、保険業−2.83%と食料品−2.67%です。山崎製パン−6.88%、キリンHD−4.89%と食品株が売られ、通期予想を据え置いたカプコンは−12.44%と大きく下げました。

ハイテク安の8日間|資金は薬・食品・不動産・鉄道に逃げていました

日経平均が8.2%下げた8日間、TOPIXより強かったのは内需の株でした。

日経平均が4.90%下げた10月15日から26日までの8日間で、125のサブ業種のうちTOPIXより値動きが良かった上位25グループと、悪かった下位25グループを取り出しました。

上位には大手製薬、大手デベロッパー、外食、百貨店、医薬品卸、ホームセンター、鉄道、ガスと、景気に左右されにくい内需の株が並びます。下位は半導体製造装置、AIインフラ、電子部品、半導体材料と、半導体まわりです。

図1は、その中から代表的な6つのサブ業種の値動きを、10月14日の終値を0%として並べたものです。26日まで上と下に開き続けた線が、27日から向きを変えています。

10月14日の終値を0%とした、サブ業種ごとの値動き(10月15日〜28日) 大手製薬は26日に+10.2%、28日に+7.0%。大手デベロッパーは26日に+9.8%、28日に+4.5%。食品スーパーは26日に+4.1%、28日に+0.6%。AIインフラは26日に−18.1%、28日に−9.6%。半導体は26日に−11.8%、28日に−5.9%。半導体製造装置は26日に−20.2%、28日に−13.0%。TOPIXは26日に−3.0%、28日に−2.6%。 上げていた製薬・不動産・食品が下げ、下げていた半導体が上げた 10月14日の終値を0%として、そこから何%動いたか(サブ業種ごとの平均) この2日 −20% −15% −10% −5% 0% +5% +10% 10/14 10/15 10/16 10/19 10/20 10/21 10/22 10/23 10/26 10/27 10/28 大手製薬 +7.0% 大手デベロッパー +4.5% 食品スーパー +0.6% TOPIX −2.6% 半導体 −5.9% AIインフラ −9.6% 半導体製造装置 −13.0% 28日の位置 大手製薬は26日までに10.2%上げ、この2日で上げ幅が7.0%まで縮みました 半導体製造装置は20.2%下げたあと、下げ幅を13.0%まで縮めました。まだ14日の水準には遠い位置です 出典:東証プライム構成銘柄を125のサブ業種に分けた私の日次集計(等ウェイト)。点線はTOPIX

図1:10月14日の終値を0%とした値動き(サブ業種ごとに構成銘柄を等ウェイトで平均)。橙系は逃げ場だった側の大手製薬・大手デベロッパー・食品スーパー、青系は売られていた側のAIインフラ・半導体・半導体製造装置、点線はTOPIXです。

この2日|逃げ場だった25グループは、2日とも全部下げました

27日も28日も、25グループすべてがTOPIXより弱い日でした。

逃げ場だった25グループは、8日間で平均+4.4%上げていましたが、この2日は−3.1%です。属する320銘柄のうち、2日で上げたのは17銘柄だけでした。

売られていた25グループは、8日間の−10.9%から、この2日は+3.9%。24グループが上げ、例外はネット証券・中小証券だけです。28日は25グループすべてが上げ、属する372銘柄のうち315銘柄が2日で上げました。

大きく動いた銘柄と、その理由です。

銘柄
サブ業種
27日28日2日間動いた理由
逃げ場だった側(2日で下げた)
第一三共
大手製薬
−8.16%−0.56%−8.7%27日、アストラゼネカの学会イベントで、主力のがん治療薬エンハーツが早期乳がんの術前治療で期待ほどの効果を示せなかったと伝わる
三菱地所
大手デベロッパー
−4.04%−1.85%−5.8%27日、千代田区が三菱地所レジデンスなどにマンションの5年転売禁止を要請と伝わる
住友不動産
大手デベロッパー
−3.80%−2.17%−5.9%27日に不動産株がそろって売られた流れ。三菱地所の転売禁止要請の報道も重荷(推測)
キリンHLDG
ビール・飲料
−1.82%−4.89%−6.6%個別の材料は見当たらず。食品・飲料株がそろって売られた流れ(推測)
東日本旅客鉄道
JR・大手私鉄
−3.40%−2.96%−6.3%個別の材料は見当たらず。鉄道株がそろって売られた流れ(推測)
カプコン
エンタメ・IP
+0.85%−12.44%−11.7%28日、4〜9月期は大幅増益だが通期予想の据え置きで失望売り。任天堂・コナミも連れ安
売られていた側(2日で上げた)
イビデン
半導体材料・電子材料
+8.54%+7.94%+17.2%半導体パッケージ基板。SKハイニックスの好決算でAI向け需要への期待が広がる(推測)
キオクシアHLDG
半導体
+0.44%+13.76%+14.3%28日、韓国SKハイニックスが7〜9月期に過去最高益。同じメモリーとして買われ、売買代金は1兆5,068億円で首位
アドバンテスト
AIインフラ
+8.98%+3.16%+12.4%27日、米アンソロピックの上場申請の報道で米ハイテク株高。28日引け後に今期最終利益予想を12%上方修正
ルネサスエレクトロニクス
半導体
+3.63%+7.47%+11.4%米半導体株高を受けた買い(推測)
レーザーテック
AIインフラ
+4.90%+5.50%+10.7%米半導体株指数(SOX)の27日+3.60%を受けた買い(推測)
東京エレクトロン
AIインフラ
+3.07%+4.42%+7.6%30日の決算を控え、半導体製造装置株とともに買い戻された(推測)

前日比は株探スクリーナーの終値ベース。2日間は27日と28日の前日比を掛け合わせたもの。「(推測)」は個別のニュースが見当たらない銘柄についての私の推測です。

第一三共、三菱地所、カプコンには個別の悪材料がありました。ただ、それだけなら25グループ・320銘柄のうち302銘柄がそろって下げることはありません。個別の材料ではなく、逃げ場にしていた資金が引き揚げられた動きだと私は見ています。

差の戻り|8日で開いた差の45%が、2日で戻りました

戻ったのは、まだ半分足らずです。

図2の物差しは「TOPIXとの差」です。グループの平均の値動きからTOPIXの値動きを引いた差(pt)を、10月1日から毎日足していきました。線が上がっている間はTOPIXより強く、下がっている間は弱いことを表します。

14日まで2本の線はほぼ重なっていましたが、日経平均が4.90%下げた15日の1日で7.0pt開き、26日には15.6ptまで広がりました。

逃げ場だった25群と売られていた25群の、TOPIXとの差の積み上げ(2026年10月1日〜28日) 10月14日までは2本の線はほぼ重なっていましたが、15日の急落から開き、26日には差が15.6ptになりました。27日と28日の2日で差は8.6ptまで縮み、開いた差の45%にあたる7.0ptが戻りました。 8日で開いた差の半分近くが、2日で戻りました 25グループずつの「TOPIXとの差」の平均を、10月1日から毎日足していった線(pt) 逃げ場だった25グループ(薬・食品・不動産・鉄道など) 売られていた25グループ(半導体・電子部品・機械など) ハイテク安の8日間 この2日 −10 −5 0 +5 +10 10/1 10/5 10/7 10/9 10/14 10/16 10/20 10/22 10/26 10/28 26日 差 15.6pt 28日 差 8.6pt ↑ 10/15 日経4.90%安の日から開き始めた 8日間で開いた差15.6ptのうち、この2日で7.0pt(45%)が戻りました 残りの8.6ptも戻るのか、ここで止まるのかは、まだ分かりません 出典:東証プライム構成銘柄を125のサブ業種に分けた私の日次集計(等ウェイト)。25グループは10/15〜26の差の上位・下位で固定

図2:逃げ場だった25グループ(橙)と売られていた25グループ(紺)の「TOPIXとの差」の平均を、10月1日から足していった線。グループの顔ぶれは10月15〜26日の差で決め、期間中は固定しています。

27日に差は12.4pt、28日に8.6ptまで縮みました。8日かけて開いた差のうち、7.0ptを2日で取り戻した計算です。残りは8.6ptあります。

ここから|ハイテクへの戻りが続くかは、まだ分かりません

続くかどうかは、逃げ場だった側と、買われた側の両方を見て判断します。

明日から見たい3つ
  • ① 逃げ場だった25グループが、3日目も下げるか。薬・食品・不動産・鉄道がさらに売られれば、資金は本当に抜けていると言えます。下げ止まってすぐ戻すなら、今回は一時的な入れ替えだった可能性があります。
  • ② 半導体まわりの上げが、どこまで広がるか。28日は半導体製造装置とAIインフラで属する銘柄の100%が上げた一方、電子部品は69%でした。主力の数銘柄だけでなく、周りの銘柄まで買われるかが目安になります。
  • ③ 日程。28日引け後にアドバンテストが今期の最終利益予想を12%上方修正し、日本時間29日未明にFOMCの結果、30日に日銀会合の結果と東京エレクトロン・キオクシアホールディングスの決算が出ます。

まとめ

10月28日のマーケット・3行まとめ

日経平均は685円高の6万3,954円。TOPIXは−0.14%で、7割の銘柄が下げました。

10月15〜26日のハイテク安の間に逃げ場になっていた、薬・食品・外食・小売・不動産・鉄道の25グループが、27日・28日とも25グループすべて下げました。資金は半導体まわりへ戻っています。

8日間で開いた差15.6ptのうち、2日で戻ったのは7.0pt(45%)。残りも戻るかは、FOMCと30日の半導体決算を見てからです。

直近8日間の流れが、2日で半分近く裏返りました。

📝 個人的な見解
ハイテク安の逃げ場から、ハイテク・半導体へ資金が逆戻りしています。そのまま戻り続けるかは分かりません

この2日は、ここ最近とは逆の動きだと感じています。ハイテクが売られていた間、資金の退避先になっていた薬や食品、不動産、鉄道から、ハイテク・半導体に資金が戻ってきている形です。

ただ、ここからそのままハイテクに戻っていくのかは分かりません。逃げ場だった側の下げが続くのか、半導体の上げが周りの銘柄まで広がるのか。FOMCと半導体の決算を通過したあとの値動きで確かめたいと思っています。

25グループずつの全リスト(逃げ場だった側・売られていた側)▾
順位サブ業種ハイテク安の8日間
10/15〜26・TOPIXとの差
この2日
10/27〜28・TOPIXとの差
逃げ場だった側(8日間でTOPIXより強かった順)
1大手製薬+12.8−3.4
2大手デベロッパー+12.4−5.4
3外食(ファストフード・牛丼)+8.7−3.3
4外食(ファミレス・居酒屋・その他)+8.6−3.5
5百貨店+8.5−3.6
6医薬品卸+8.1−2.9
7ホームセンター+7.7−4.0
8エンタメ・IP+7.5−4.5
9ガス+7.4−2.4
10JR・大手私鉄+7.1−4.1
順位サブ業種ハイテク安の8日間
10/15〜26・TOPIXとの差
この2日
10/27〜28・TOPIXとの差
11食品スーパー+7.1−3.8
12ドラッグストア+6.8−4.1
13駐車場・不動産サービス+6.8−4.2
14テレビ・メディア+6.6−2.7
15食品卸+6.5−2.8
16戸建・分譲住宅+6.5−4.3
17製粉・製糖・飼料+6.5−4.5
18インバウンド+6.2−3.6
19警備・ビルメンテ+6.2−3.1
20燃料・エネルギー商社+6.2−2.0
順位サブ業種ハイテク安の8日間
10/15〜26・TOPIXとの差
この2日
10/27〜28・TOPIXとの差
21食肉+6.2−5.0
22ITコンサル+5.8−2.5
23ビール・飲料+5.8−5.0
24家具・雑貨・専門店+5.8−3.6
25SIer・システム開発+5.8−2.0
順位サブ業種ハイテク安の8日間
10/15〜26・TOPIXとの差
この2日
10/27〜28・TOPIXとの差
売られていた側(8日間でTOPIXより弱かった順)
1半導体製造装置−18.6+8.3
2FPD・プリント基板−18.6+5.9
3AIインフラ−16.0+9.7
4重電・電力機器−11.6+3.5
5電子部品−11.1+3.3
6半導体材料・電子材料−11.0+5.8
7金価格・貴金属−10.5+4.7
8FA・ロボット・制御−10.3+3.9
9非鉄・製錬−9.5+3.3
10半導体−9.1+6.1
順位サブ業種ハイテク安の8日間
10/15〜26・TOPIXとの差
この2日
10/27〜28・TOPIXとの差
11工作機械−8.8+3.5
12計測・分析機器−8.0+4.0
13ポンプ・バルブ・流体−7.2+2.2
14電力インフラ・送配電−6.7+2.1
15地銀−6.6+2.9
16防衛−5.0+1.2
17総合電機−4.8+1.9
18ネット証券・中小証券−4.7−1.0
19重工・造船−4.5+1.4
20宇宙・航空−4.3+1.3
順位サブ業種ハイテク安の8日間
10/15〜26・TOPIXとの差
この2日
10/27〜28・TOPIXとの差
21データセンター・ホスティング−4.3+3.0
22機能化学・中堅−4.2+2.0
23総合化学−4.1+3.5
24ベアリング・部品−3.9+1.4
25ガラス・セメント−3.1+0.6
▼データの出どころ

サブ業種:東証プライムの構成銘柄を142のサブ業種に分け、構成銘柄が5以上の125グループを対象にした私の日次集計です(銘柄は等ウェイト)。「TOPIXとの差」は、グループの平均騰落率からTOPIXの騰落率を引いたもの(pt)を日ごとに出し、期間の分を足しています。2つの25グループは、10月15〜26日の8営業日の合計で上位25・下位25を選びました。1銘柄が複数のグループに入ることがあり、銘柄数は両方の側に入る3銘柄を除いて数えています。

指数と相場の経過:日経平均・TOPIXの終値、値上がり・値下がりの銘柄数、33業種の騰落率、売買代金は大引け後の取引所データと報道によるものです。個別銘柄の前日比は株探スクリーナーの終値ベースです。

個別銘柄の材料:大引け前後の報道(フィスコ、株探、みんかぶ、gamebizなど)によるものです。個別のニュースが見当たらない銘柄は「(推測)」と書いています。

※本記事は、公表情報および私が独自に集計した市場データをもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。サブ業種の分け方と「逃げ場だった側/売られていた側」の25グループは、私が10月15〜26日の値動きで機械的に選んだもので、一般的な業種分類ではありません。「資金が引き揚げられた」「ハイテクへの戻りが続くかは分からない」は私の観察による見立てです。数値は作成時点のものです。過去の値動きは将来の値動きを保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
𝕏 Xでも毎日更新中
125の株のグループの強弱を、
毎日の引け後にまとめています。
@shinguru_kabu をフォロー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA