金が上がると上がる株・下がる株はどれ?|33業種と157銘柄を10年ぶん測ったら、上がったのは2業種だけでした

1月30日のニューヨークで、金の先物が1日で10.8%下げました[1]。前日に1トロイオンス5,318ドルの高値をつけた翌日のことです。 週明け2月2日の東京は、日経平均が1.3%安。その中で住友金属鉱山は11.4%下げ、百貨店3社は日経平均を3.9%上回りました。

金が下がると、金の株が沈んで、百貨店が浮く。私はこの1日を見て、そう思いました。ただ、それが10年通して起きていることなのかは、確かめたことがありませんでした。

金はいま、1月の高値から18.5%下がった4,333ドル前後にいます(9月15日のNY終値)。年初とほぼ同じ水準です。金が上がっている局面なら「金が上がると上がる株」だけ知っていればよかったのですが、下がっている局面では「金が下がると上がる株」も同じ表で読めないと困ります。 そこで今回は、金が動いた翌日に、日本株の何が上がって何が下がるのかを、東証33業種のすべてと、その中を事業の中身で割り直した34グループ、個別157銘柄について、上げた翌日と下げた翌日を対にして10年ぶん測りました。

この記事でわかること
  • 金が上がった翌日に日経平均より上がる業種は、33業種のうち非鉄金属と鉱業の2つだけです(図2)
  • 「金が上がると株が下がる」は、日経平均では起きていません。翌日はわずかに上がる側でした(図1)
  • 金の株が金で上がる形は、2021年秋より前にはありませんでした。10年の前半は非鉄金属も帯の中です(図3)
  • 同じ非鉄金属でも、金に効くのは製錬・鉱山と貴金属リサイクル。電線は動かず、金の買取・宝飾の株も金と一緒には上がりません(図4・図5)
  • 金が上がった翌日に売られる15業種のうち、銀行と自動車は金ではなく円と金利の話でした(図6)
  • 金が下げた翌日に浮くのは保険・銀行・ゴム。百貨店は銘柄で見ると勝率6割で浮きます(図7・表)
  • 前の晩の金高は寄り付きで8割が値段に入ります。ただし日中にも2割が残るのが、原油との違いです(図8)

まず、何をどう測ったか

金の値段が決まるのは、日本の取引時間が終わったあとです。ニューヨークの金先物が引けるのは日本時間の翌朝で、東京が寄り付く9時より前。だから今回も原油回と同じく、「前の晩のニューヨークの金の動き → 翌日の東京」という組み方で数えました。

測る中身は、「金が1%上がった日の翌日、その業種が日経平均より何%多く上がったか」です。これを以下「感応度」と呼びます。日経平均を引くのは、その日の地合いのぶんを抜いて、金だけの効き目を見るためです。金はドル建てのNY先物を使いました。円建ての国内価格だと円の動きが混ざるからです。

感応度が+0.22なら、金が1%上がった翌日は日経平均より0.22%多く上がった、という意味になります。大きいのか小さいのか分かるように、ほかの材料と同じ物差しで並べます。

材料よくある1日ぶんの動きいちばん強い業種 その1日ぶんで
日経平均より何%多く上がるか
金(NY先物)0.5%(1日の値幅の真ん中) 非鉄金属+0.11%
原油(WTI)1.3%(同じく値幅の真ん中) 鉱業+0.23%
ドル円1円の円安(150円なら0.67%) 輸送用機器+0.35%
日本の長期金利0.02%(2bp) 銀行業+0.36%

※原油は原油回、ドル円は円安回、長期金利は金利回で出した感応度を、その材料が1日で動くふつうの幅にかけ直したものです。 材料そのものの単位が違うので、こうして「1日ぶん」に揃えると比べられます。

金は1日で0.5%動くのがふつうです(値幅の真ん中)。1%以上動く日は10年で616日、およそ4日に1日。1.5%以上動く日は309日で、8日に1日ありました。原油ほどではありませんが、為替よりはよく動く材料です。

図の水色の帯は「まぐれでもこのくらいは出る範囲」です。棒が帯の中なら、たまたまそう出ただけかもしれない。棒が帯をはみ出していれば、まぐれで出る確率が20回に1回(5%)を切っている、という意味です。

そもそも、金が上がると株は下がるのか

「金が上がると株が下がる」は、日経平均では起きていなかった棒=前の晩にNYの金が1%上がった日の翌日、日経平均そのものが何%動いたか※日経平均を引く前の、日経平均そのものの値動きです。帯からはみ出していれば「偶然では出にくい」まぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)-0.20-0.100.00+0.10+0.20金1%につき、翌日の日経平均は何%動いたか左から、10年ぜんぶ/前半/後半/今年+0.0610年ぜんぶ2016年9月〜+0.07前半2016年9月〜2021年9月+0.05後半2021年9月〜+0.162026年(173営業日)10年ぜんぶで+0.059%。金が上がった翌日の日経平均は、わずかに上がる側でした。前半+0.075%、後半+0.049%。向きは同じで、どちらも帯のふちにかかる程度です。2026年は+0.164%で帯の外。今年は金が上がった翌日ほど、日経平均も上がっています。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図1 前の晩に金が1%上がった日の翌日、日経平均そのものが何%動いたか。左から10年ぜんぶ・前半・後半・今年の4本です。

10年ぜんぶで+0.059%。金が上がった翌日の日経平均は、下がるどころか、わずかに上がる側でした。大きく動いた日で見ると、金が1.5%以上上げた翌日の日経平均は平均+0.20%(上がった日が52.8%)、1.5%以上下げた翌日は−0.01%で、ほぼゼロです。

「株が下がる日に金が買われる」という話はよく聞きますし、相場が崩れる日にそうなることはあります。ただ、金が動いた日ぜんぶを並べると、翌日の日経平均は金と逆を向いていません。私は、金が上がる日の多くが「ドルが下がる日」で、それは世界の株にとって追い風の日でもあるからだと読んでいます。実際、同じ日のドル円と米金利を差し引いても、金の効きは+0.159%と消えませんでした。

2026年に限ると+0.164%で帯の外です。今年は、金が上がった翌日ほど日経平均も上がっています。金と株が同じ方向に動く年でした。

ここが要点 「金が上がれば株は下がる」は、指数の話ではなく業種の話

日経平均そのものは金と逆を向いていません。逆を向くのは、この先に出てくる保険・百貨店・自動車のような一部の業種です。指数に賭けるのと業種に賭けるのとでは、金という材料の向きが変わります。

33業種で測ると、上は2業種・下は15業種

金が上がった翌日に上がるのは、非鉄金属と鉱業の2業種だけ棒=前の晩にNYの金が1%上がった日の翌日、その業種が日経平均より何%多く上がったか(10年平均)※東証33業種を代表3社ずつ・98銘柄で集計。棒が帯からはみ出した業種だけ、日経平均と違う動きと言えますまぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)-0.2-0.10.0+0.1+0.2+0.3非鉄金属+0.22鉱業+0.09不動産業+0.04金属製品+0.04ガラス・土石製品+0.03卸売業+0.02電気機器+0.01化学+0.01機械+0.01石油・石炭製品+0.01情報・通信業+0.01証券・商品先物0.00電気・ガス業-0.01海運業-0.01鉄鋼-0.02建設業-0.03精密機器-0.04倉庫・運輸関連-0.04繊維製品-0.05その他製品-0.05陸運業-0.06パルプ・紙-0.06水産・農林-0.07サービス業-0.07医薬品-0.07その他金融業-0.07ゴム製品-0.07食料品-0.08小売業-0.09銀行業-0.10輸送用機器-0.11空運業-0.12保険業-0.17上に出たのは非鉄金属+0.219と鉱業+0.092の2業種だけ。非鉄金属は2番手の2倍以上です。下に出たのは15業種。保険業−0.168を先頭に、空運・自動車・銀行・小売と内需が並びます。電気機器・化学・機械・卸売は帯の中。金が動いても、日経平均と同じだけしか動いていません。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図2 東証33業種を代表3社ずつ・98銘柄で集計したもの。棒が帯からはみ出した業種だけ、日経平均と違う動きと言えます。

上にはみ出したのは、たった2業種でした。非鉄金属+0.219鉱業+0.092。非鉄金属は2番手の鉱業の2倍以上で、ひとつだけ抜けています。原油回では上に13業種が並んだので、金は「上がる株の少ない材料」です。

下にはみ出したのは15業種。保険業−0.168を先頭に、空運業−0.118、輸送用機器−0.109、銀行業−0.098、小売業−0.088、食料品−0.078と続きます。金融と内需と自動車が並びました。ただし、この15業種の半分近くは、あとで見るように「金の話」ではありません。

電気機器+0.015、化学+0.013、機械+0.012、卸売業+0.020は帯の中です。金が動いた翌日でも、日経平均と同じだけしか動いていません。

金で上がる業種は、2021年秋より前にはなかった

金で上がる業種は、後半になって初めて現れた棒=前の晩にNYの金が1%上がった日の翌日、その業種が日経平均より何%多く上がったか(10年平均)※同じ4業種を、前半(2016年9月〜2021年9月)・後半(2021年9月〜)・2026年で測り直したものまぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)-0.40-0.200.00+0.20+0.40+0.60前半2016年9月〜2021年9月+0.04非鉄金属0.00鉱業-0.17保険業-0.10輸送用機器後半2021年9月〜2026年9月+0.32非鉄金属+0.14鉱業-0.16保険業-0.12輸送用機器2026年173営業日+0.46非鉄金属+0.22鉱業-0.22保険業-0.05輸送用機器前半の非鉄金属は+0.040で帯の中、鉱業は−0.001。金の株が金で上がる形は、前半にはありません。後半は非鉄金属+0.324、鉱業+0.145。2026年はさらに強く、非鉄金属は+0.457まで上がっています。下がる側の保険業は前半−0.175、後半−0.164。こちらは10年ずっと同じ向きでした。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図3 同じ4業種を、前半(2016年9月〜2021年9月)・後半(2021年9月〜)・2026年で測り直したもの。

10年を半分に割ると、上がる側の顔ぶれが変わります。前半の非鉄金属は+0.040で帯の中、鉱業は−0.001でゼロ。金の株が金で上がる形は、前半にはありませんでした。後半になって非鉄金属+0.324、鉱業+0.145と出てきて、2026年は非鉄金属+0.457まで強まっています。

私はこれを「金鉱株は金と一緒に動くもの」という前提が、日本株では最近できたものだと受け取っています。住友金属鉱山は前半+0.303、後半+0.674で、前半から動いてはいましたが、業種として非鉄金属が金に反応するようになったのは、金が2,000ドルを超え、4,000ドル、5,000ドルと上がっていった後半に入ってからです。

下がる側は違います。保険業は前半−0.175、後半−0.164で、10年ずっと同じ向き。輸送用機器も−0.096→−0.116で変わりません。上がる側は最近の現象、下がる側は昔からの現象、という非対称になっています。

非鉄金属を丸ごと買っても、金の株にはならない

同じ「非鉄金属」でも、金に効くのは製錬・鉱山とリサイクルだけ棒=前の晩にNYの金が1%上がった日の翌日、そのグループが日経平均より何%多く上がったか(10年平均)※左が東証33業種のまま。中は同じ非鉄金属を事業の中身で割ったもの。右は「金」の名前で語られやすい他の株まぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)-0.100.00+0.10+0.20+0.3033業種のまま非鉄金属3社+0.22非鉄金属非鉄金属の中を割ると製錬・鉱山4社/リサイクル3社/電線3社+0.25製錬・鉱山+0.24貴金属リサイクル-0.01電線・ケーブル「金」の名前がつく他の株買取・宝飾4社/半導体製造装置4社/資源開発3社-0.06宝飾・時計・買取+0.10半導体製造装置+0.09資源開発製錬・鉱山+0.249と貴金属リサイクル+0.242は帯の外。電線・ケーブルは−0.007で帯の中です。金の買取・宝飾・時計の4社は−0.058で帯の中。金が上がっても、一緒には上がっていません。半導体製造装置+0.104は帯の外。金の株ではないのに、金が上がった翌日に上がっていました。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図4 左は東証33業種のまま。中は同じ非鉄金属を事業の中身で割ったもの。右は「金」の名前で語られやすい他の株。

非鉄金属を中身で割ると、金に効くのは製錬・鉱山+0.249(住友金属鉱山・三菱マテリアル・DOWAHD・古河機械金属)と貴金属リサイクル+0.242(AREホールディングス・松田産業・エンビプロHD)でした。同じ非鉄金属でも電線・ケーブル(古河電気工業・住友電気工業・フジクラ)は−0.007で帯の中。金が上がっても、電線は動いていません。

なぜ割れるかは、8月24日に住友金属鉱山が+6.6%、フジクラが下がった日を追った「金&レアアース」で一括りにされた1日の回で書きました。金や銅の値上がりが自社の取り分に乗る会社(鉱山の権益を持つ会社、都市鉱山から金を回収する会社)と、加工賃で稼ぐ会社(製錬受託、電線)で、金が上がったときの損得が違います。10年の数字は、あの日の並びとほぼ同じ形でした。

右側の3本は、「金関連」の記事でよく名前が挙がる別の株です。金の買取・宝飾・時計(コメ兵HD・バリュエンスHD・ツツミ・大黒屋HD)は−0.058で帯の中。金が上がると買取の値段も上がるので連想されやすいのですが、株価は金と一緒には動いていませんでした。買取業の利益は売値と買値の差で、金の値段そのものではないからだと思います。

いっぽう、金の株ではないのに帯の外に出たのが半導体製造装置+0.104です。円と金利を差し引いても+0.088で残ります。金が上がる日とハイテクが買われる日が重なっているのだと思いますが、理由は数字からは分かりません。2026年は+0.082で帯の中に入っているので、金の株として扱うものではないと見ています[2]

銘柄で見ると、いちばん動くのは住友金属鉱山、逆を向くのは百貨店

いちばん動くのは住友金属鉱山、いちばん逆を向くのは百貨店だった棒=前の晩にNYの金が1%上がった日の翌日、その銘柄が日経平均より何%多く上がったか(10年平均)※上から、金で上がる9社/金の株ではないのに上がった8社/呼び名と裏腹に動かなかった8社/逆を向いた14社まぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)-0.4-0.20.0+0.2+0.4+0.6+0.8金で上がる① 製錬・鉱山・貴金属リサイクル5713 住友金属鉱山+0.545857 AREホールディングス+0.375724 アサカ理研+0.317456 松田産業+0.275714 DOWAHD+0.231515 日鉄鉱業+0.225711 三菱マテリアル+0.145726 大阪チタニウム+0.125715 古河機械金属+0.09金で上がる② 金の株ではないのに上がっていた会社9984 ソフトバンクG+0.156146 ディスコ+0.129843 ニトリHD+0.116857 アドバンテスト+0.107735 SCREENHD+0.104911 資生堂+0.098035 東京エレクトロン+0.088053 住友商事+0.08「金関連」と呼ばれても動かなかった会社 買取・宝飾・電線5698 エンビプロHD+0.095801 古河電気工業+0.079270 バリュエンスHD+0.015802 住友電気工業-0.027937 ツツミ-0.055803 フジクラ-0.072780 コメ兵HD-0.076993 大黒屋HD-0.12金で下がる 百貨店・自動車・保険・銀行・空運8233 高島屋-0.223086 J.フロント リテイリング-0.217261 マツダ-0.208766 東京海上HD-0.198750 第一生命HD-0.173099 三越伊勢丹HD-0.177201 日産自動車-0.149726 KNT-CTHD-0.147270 SUBARU-0.148725 MS&AD-0.148306 三菱UFJFG-0.129201 日本航空-0.124661 オリエンタルランド-0.129022 JR東海-0.11上げ側の先頭は住友金属鉱山+0.536。2番手のAREホールディングス+0.368を大きく引き離しています。金の買取・宝飾のコメ兵HD・バリュエンスHD・ツツミ・大黒屋HDは、4社とも帯の中でした。下げ側の先頭は高島屋−0.222とJ.フロント−0.208。マツダ−0.205、東京海上HD−0.194が続きます。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図5 個別157銘柄のうち、上位・下位と、名前が挙がりやすい銘柄を抜き出したもの。

上げ側の先頭は住友金属鉱山+0.536。金が1.5%以上上げた翌日は平均+1.47%(上がった日が70%)で、157銘柄のなかで断トツです。2番手は貴金属リサイクルのAREホールディングス+0.368、3番手は同じくリサイクルのアサカ理研+0.307、4番手が松田産業+0.271。そのあとにDOWAHD+0.231、日鉄鉱業+0.223、三菱マテリアル+0.141と製錬・鉱山が並びます。鉱山の権益とリサイクルが上、製錬が下、という順です。

意外だったのは、金の株ではない会社が上に出たことです。SUMCO+0.195、ソフトバンクG+0.150、ディスコ+0.124、アドバンテスト+0.105。半導体製造装置の話と同じで、金が上がる日にハイテクが買われていた、というだけのことだと思います。金を材料に買う株ではありません。

下げ側の先頭は高島屋−0.222J.フロント リテイリング−0.208。百貨店2社が、マツダ−0.205や東京海上HD−0.194より下にいます。百貨店は円安回で「小売業の中でひとつだけ円安で上がる集団」として出てきた会社です。金が上がる日は円高の日でもあるので、その裏返しが出ているのだと最初は思いました。ところが、次の章で円を差し引いても、百貨店は下がる側に残ります。

銘柄感応度前半後半金が1.5%以上
上げた翌日
金が1.5%以上
下げた翌日
金で上がる① 製錬・鉱山・貴金属リサイクル
銘柄感応度前半後半上げた翌日(勝率)下げた翌日(勝率)
5713 住友金属鉱山+0.536+0.303+0.674+1.47%(70%)−1.15%(34%)
5857 AREホールディングス+0.368+0.405+0.346+0.75%(62%)−0.91%(33%)
5724 アサカ理研+0.307+0.271+0.329+1.20%(56%)−0.77%(40%)
7456 松田産業+0.271+0.185+0.322+0.61%(57%)−0.70%(36%)
5714 DOWAHD+0.231+0.085+0.316+0.54%(61%)−0.64%(33%)
1515 日鉄鉱業+0.223−0.055+0.387+0.32%(55%)−0.48%(38%)
5711 三菱マテリアル+0.141−0.095+0.279+0.33%(56%)−0.44%(38%)
5726 大阪チタニウム+0.125−0.015+0.206+0.35%(48%)−0.22%(43%)
5715 古河機械金属+0.088−0.152+0.229+0.29%(50%)−0.10%(50%)
金で上がる② 金の株ではないのに上がっていた会社
銘柄感応度前半後半上げた翌日(勝率)下げた翌日(勝率)
9984 ソフトバンクG+0.150+0.089+0.186+0.60%(51%)−0.05%(47%)
6146 ディスコ+0.124+0.088+0.145+0.31%(50%)−0.09%(50%)
9843 ニトリHD+0.108+0.119+0.103+0.15%(53%)−0.28%(47%)
6857 アドバンテスト+0.105+0.056+0.133+0.61%(52%)+0.06%(54%)
7735 SCREENHD+0.102+0.132+0.084+0.31%(53%)−0.14%(49%)
4911 資生堂+0.091+0.125+0.073+0.28%(53%)−0.43%(43%)
8035 東京エレクトロン+0.084+0.105+0.072+0.16%(54%)−0.08%(44%)
8053 住友商事+0.079+0.019+0.114+0.24%(50%)−0.25%(47%)
「金関連」と呼ばれても動かなかった会社
銘柄感応度前半後半上げた翌日(勝率)下げた翌日(勝率)
5698 エンビプロHD+0.087+0.043+0.116+0.14%(51%)−0.28%(45%)
5801 古河電気工業+0.068−0.003+0.107+0.75%(53%)+0.36%(48%)
9270 バリュエンスHD+0.005+0.130−0.072+0.16%(49%)+0.11%(50%)
5802 住友電気工業−0.020−0.088+0.018+0.22%(45%)+0.29%(57%)
7937 ツツミ−0.049−0.059−0.043−0.16%(47%)+0.08%(55%)
5803 フジクラ−0.069−0.171−0.014+0.20%(47%)+0.62%(55%)
2780 コメ兵HD−0.072−0.031−0.097−0.09%(45%)−0.14%(49%)
6993 大黒屋HD−0.118−0.083−0.139−0.59%(41%)+0.04%(35%)
金で下がる会社
銘柄感応度前半後半上げた翌日(勝率)下げた翌日(勝率)
8233 高島屋−0.222−0.194−0.240−0.48%(48%)+0.57%(64%)
3086 J.フロント リテイリング−0.208−0.237−0.192−0.43%(41%)+0.60%(57%)
7261 マツダ−0.205−0.303−0.148−0.67%(35%)+0.48%(56%)
8766 東京海上HD−0.194−0.165−0.212−0.59%(36%)+0.52%(55%)
8750 第一生命HD−0.172−0.223−0.142−0.34%(44%)+0.41%(55%)
3099 三越伊勢丹HD−0.166−0.234−0.127−0.42%(37%)+0.41%(52%)
7201 日産自動車−0.144−0.153−0.139−0.57%(38%)+0.23%(51%)
9726 KNT-CTHD−0.141−0.198−0.107−0.36%(42%)+0.21%(47%)
7270 SUBARU−0.138−0.111−0.155−0.69%(37%)+0.11%(57%)
8725 MS&AD−0.137−0.138−0.138−0.54%(38%)+0.33%(62%)
銘柄感応度前半後半上げた翌日(勝率)下げた翌日(勝率)
8306 三菱UFJFG−0.125−0.160−0.106−0.36%(42%)+0.32%(61%)
9201 日本航空−0.119−0.162−0.093−0.42%(43%)+0.19%(49%)
4661 オリエンタルランド−0.115−0.120−0.111−0.34%(44%)+0.20%(45%)
9022 JR東海−0.114−0.176−0.078−0.42%(40%)+0.10%(43%)

※すべて私の集計。感応度は金1%あたり、日経平均を引いた値。前半=2016年9月〜2021年9月、後半=2021年9月〜。括弧内は上がった日の割合。灰色の行は帯の中(金では動いていない)。

それ、円高と米金利の話では?

金が上がる日は、ドルが下がる日でもあり、米国の金利が下がる日でもあります。だとすると、上の表で「金で下がる」と出た銀行や自動車は、金ではなく円高や金利低下で下がっているだけかもしれません。同じ日のドル円と、前の晩の米10年金利の動きを同時に入れて、金だけの効き目を測り直しました。

銀行と自動車は、金ではなく円と金利の話だった棒=前の晩にNYの金が1%上がった翌日、そのグループが日経平均より何%多く上がったか(10年平均)※左はそのまま測ったもの。右は同じ日のドル円と前の晩の米金利の動きを同時に入れて、金だけの効き目を取り出したものまぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)そのまま測ると金だけを見た感応度-0.3-0.2-0.10.0+0.1+0.2+0.3+0.25製錬・鉱山+0.24貴金属リサイクル+0.10半導体製造装置+0.09資源開発-0.20百貨店-0.17保険-0.14完成車-0.12空運-0.10鉄道-0.11地方銀行-0.10メガバンク-0.07その他金融円と米金利を差し引くと為替と金利のぶんを取り除いた感応度-0.2-0.10.0+0.1+0.2+0.3+0.4+0.29+0.23+0.09+0.14-0.14-0.09-0.04-0.15-0.13-0.03-0.02-0.04メガバンク−0.098→−0.020、完成車−0.135→−0.035。円と金利を差し引くと、帯の中に入ります。製錬・鉱山は+0.249→+0.290とむしろ強まり、百貨店・空運・鉄道も帯の外に残りました。保険は−0.168→−0.086と半分に。金の話と金利の話が半分ずつ混ざっていました。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図6 左はそのまま測ったもの。右は同じ日のドル円と前の晩の米金利の動きを同時に入れて、金だけの効き目を取り出したもの。

結果ははっきり割れました。メガバンク−0.098→−0.020、地方銀行−0.106→−0.033、完成車−0.135→−0.035。円と金利を差し引くと帯の中に入ります。銀行は金利、自動車は為替で動いていただけで、金は関係ありませんでした。33業種で数えると、下に出た15業種のうち4業種(銀行業・輸送用機器・その他金融業・ゴム製品)が消えます。

残った側もはっきりしています。製錬・鉱山は+0.249→+0.290とむしろ強まりました。円高の日に金が上がることが多いので、円のぶんを取り除くと金だけの効きはもっと大きい、ということです。下がる側では百貨店−0.198→−0.143、空運−0.118→−0.147、鉄道−0.096→−0.131が帯の外に残ります。この3つは、円でも金利でも説明できない「金が上がる日に売られる株」でした。保険は−0.168→−0.086と半分になり、金の話と金利の話が半分ずつ混ざっていました。

ここが要点 「金が上がった翌日に売られる株」の一部は、金ではなく円と金利で売られていた

銀行株の話は金利回、自動車株の話は円安回で書いたとおりです。金の記事で銀行と自動車を「金で下がる株」と呼ぶのは正しくありませんでした。金だけで下がるのは、百貨店・空運・鉄道と、保険の半分です。

百貨店が円を差し引いても残るのは、私には意外でした。金が買われる日はリスクを避ける日で、インバウンドや高額消費のような「景気が良いときに伸びる株」から資金が抜ける、と読むのがいちばん素直だと思います。逆に金が売られる日は、その戻りが入ります。

金が下げた翌日は、どうなるのか

ここからが、金が軟調ないまに使えるところです。金が1.5%以上上げた翌日と、1.5%以上下げた翌日を、業種ごとに対で並べます。

非鉄は上げにも下げにも付いていく。内需が売られるのは、上げた翌日棒=前の晩にNYの金が1.5%以上動いた翌日、その業種が日経平均より何%多く上がったか(平均)※左が金の急伸(161日)、右が金の急落(148日)。左右で目盛りが違います。帯からはみ出せば「偶然では出にくい」まぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)金が1.5%以上上げた翌日10年で161日ありました-1.0-0.50.0+0.5+1.0+0.68非鉄金属+0.09鉱業-0.14繊維製品-0.16その他製品-0.18小売業-0.18パルプ・紙-0.19ゴム製品-0.20食料品-0.22サービス業-0.28陸運業-0.28その他金融業-0.30銀行業-0.31水産・農林-0.32医薬品-0.38空運業-0.47輸送用機器-0.49保険業金が1.5%以上下げた翌日10年で148日ありました-0.6-0.4-0.20.0+0.2+0.4+0.6-0.43-0.26+0.04+0.03+0.18+0.10+0.25+0.14+0.13-0.01+0.18+0.27+0.13+0.03+0.16+0.18+0.42非鉄金属は金の急伸の翌日に+0.68%、急落の翌日に−0.43%。上げにも下げにも付いていきます。上げた翌日に帯の外へ出た下がる側は8業種。下げた翌日に出るのは保険・銀行・ゴムの3つだけ。保険業は−0.49%/+0.42%で裏返りますが、空運・医薬品・輸送用機器は下げた翌日は帯の中です。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図7 前の晩に金が1.5%以上動いた翌日の平均。左が急伸161日、右が急落148日。左右で目盛りが違います。

非鉄金属は上げた翌日+0.68%(上がった日が60.9%)、下げた翌日−0.43%(上がった日が41.9%)。上げにも下げにも付いていきます。銘柄で見ると住友金属鉱山が+1.47%/−1.15%、AREホールディングスが+0.75%/−0.91%です。AREホールディングスは、下げた翌日のほうが上げた翌日より幅が大きい銘柄でした。

下がる側は、上げと下げで対称ではありませんでした。金が上げた翌日に帯の外へ出た下がる側は8業種ありますが、下げた翌日に帯の外へ出るのは保険業+0.42%、銀行業+0.27%、ゴム製品+0.25%の3つだけです。空運業や医薬品は、金が上げた翌日には売られても、下げた翌日には帯の中でした。原油回では「上がる側は上げた翌日だけ、下がる側は下げた翌日だけ」という形でしたが、金は売られる側が「金が上がった翌日」に集中している形です。

業種では帯の中でも、銘柄では違います。高島屋は金が下げた翌日に平均+0.57%で、上がった日が64%。J.フロントも+0.60%です。百貨店は、金が下げた翌日に浮く株の代表でした。

2026年に、実際どうだったか

ここまでは10年の平均です。金が5,318ドルの高値から3,992ドルまで下げ、そこから戻した今年に、平均どおりのことが起きたかを見ておきます。まず、金が大きく上げた翌日です。

東京の日付前の晩の金日経平均住友金属鉱山
日経平均との差
製錬・鉱山4社
日経平均との差
百貨店3社
日経平均との差
保険3社
日経平均との差
1月21日+3.7%−0.4%+4.1%+1.6%+0.3%−2.6%
1月29日+4.3%+0.0%+9.4%+3.8%−0.6%+1.5%
2月4日+6.1%−0.8%+7.1%+6.3%+2.0%+1.1%
3月26日+3.4%−0.3%+1.3%+0.1%+1.0%−1.6%
4月2日+3.6%−2.4%−1.6%−1.7%+3.1%−0.1%
6月15日+3.0%+5.0%+1.5%+2.6%−4.4%−4.1%
8月6日+3.7%−0.9%+7.1%+3.8%+1.9%+1.7%
8月20日+2.8%+1.4%+9.4%+5.4%+1.8%−2.2%
9月4日+2.8%+1.3%−2.1%−2.9%−1.1%−1.1%

※2026年に前の晩の金が3%以上上げた7日と、直近で2.8%上げた8月20日・9月4日。住友金属鉱山・製錬・鉱山4社・百貨店3社・保険3社は、その日の騰落率から日経平均の騰落率を引いたもの。

3%以上上げた7回のうち、住友金属鉱山が日経平均より上だったのは6回。1月29日は+9.4%、2月4日(前の晩の金が+6.1%)は+7.1%、8月6日は+7.1%です。外れたのは4月2日の1回で、金が3.6%上げたのに−1.6%でした。直近では8月20日に+9.4%と大きく出た一方、9月4日は金が2.8%戻したのに−2.1%と外れています。百貨店3社は、上げた翌日に日経平均より下だったのが7回中2回しかなく、今年の上げ局面では平均どおりに出ていません。保険3社は7回中4回でした。

次に、金が大きく下げた翌日です。

東京の日付前の晩の金日経平均住友金属鉱山
日経平均との差
製錬・鉱山4社
日経平均との差
百貨店3社
日経平均との差
保険3社
日経平均との差
2月2日−10.8%−1.3%−10.2%−4.9%+3.9%+1.1%
3月4日−3.5%−3.6%−6.9%−5.9%+2.8%+0.4%
3月24日−3.7%+1.4%+4.0%+2.9%+0.1%+6.0%
3月27日−3.9%−0.4%+1.9%+0.3%+2.0%+0.8%
6月11日−3.6%+0.1%−1.4%−1.2%+0.6%−0.4%
6月25日−3.4%+4.6%−8.4%−7.6%+1.2%−7.1%
8月31日−2.9%−0.1%−3.4%−3.3%−1.9%+0.1%

※2026年に前の晩の金が2.9%以上下げた7日。列の見方は上の表と同じ。

7回のうち、住友金属鉱山が日経平均より下だったのは5回。1月30日の急落の翌日は−10.2%、3月4日は−6.9%、6月25日は−8.4%です。ただし3月24日と3月27日は逆に上がっていて、7回中2回は外れています。百貨店3社は7回中6回、日経平均より上でした。下げた翌日のほうが、百貨店は平均どおりに出ています。上げにも下げにも素直なのは住友金属鉱山で、百貨店は下げた翌日に浮く側の株、と読むのがこの表の範囲では正確です。

翌日だけでなく、局面で見るとこうなります。

期間日経平均住友金属鉱山製錬・鉱山4社貴金属
リサイクル3社
百貨店3社
1月29日の高値 → 7月16日の安値−24.9%+25.2%−26.2%−17.4%−12.0%+48.1%
7月16日の安値 → 9月16日+9.9%−4.4%+33.3%+18.1%+12.9%−17.4%

※終値ベースの騰落率。各グループは単純平均で、日経平均は引いていません。

金が高値から24.9%下げた1月末〜7月中旬に、住友金属鉱山は−26.2%、製錬・鉱山4社は−17.4%。同じ期間に日経平均は+25.2%、百貨店3社は+48.1%です。金が安値から+9.9%戻した7月中旬以降は、製錬・鉱山4社が+18.1%、百貨店3社が−17.4%と、そっくり裏返りました。10年の平均で出た向きが、今年の局面でもそのまま出ています。

じゃあ、買えるのか

金が上がったことは、前の晩のうちに分かっています。その情報で翌日に間に合うのかを、前日の終値から翌日の始値までの「寄り付きの窓」と、翌日の始値から終値までの「寄ってからの半日」に分けて測りました。

金の株は、寄り付きで8割が終わり、日中にも2割が残る棒=前の晩に金が1%上がったあと、翌日にそのグループが日経平均より何%多く上がったか(10年平均)※左が前日の終値から翌日の始値までの窓。右が翌日の始値から終値までの、寄ってからの半日まぐれでもこのくらいは出る範囲(帯をはみ出したら「偶然では出にくい」)-0.20-0.100.00+0.10+0.20+0.30寄り付きの窓前日の終値 → 翌日の始値+0.21製錬・鉱山+0.19貴金属リサイクル+0.10資源開発-0.09百貨店-0.11保険-0.10完成車-0.06メガバンク寄ってから引けまで翌日の始値 → 翌日の終値+0.10製錬・鉱山+0.11貴金属リサイクル+0.05資源開発-0.05百貨店0.00保険+0.03完成車+0.02メガバンク製錬・鉱山は左が+0.212、右が+0.096。右も帯の外で、寄ってからも上がり続けています。貴金属リサイクルも+0.194/+0.106で同じ形。原油回の資源株(右が0.00)とは違います。下がる側の保険・完成車・メガバンクは左だけ帯の外。寄り付きで下げて、日中は動きません。出典:Yahoo!ファイナンスの日足終値(NY金先物・日経平均・個別株)より私が集計。2016年9月〜2026年9月・2,442営業日
図8 同じ感応度を、寄り付きの窓と、寄ってから引けまでに分けたもの。

製錬・鉱山は寄り付きの窓が+0.212、寄ってから引けまでが+0.096。合わせた0.249のうち、8割が寄り付きで終わっています。ただし残りの2割は帯の外で、寄ってからも上がり続けています。原油回の資源株は寄ってからが0.00で「朝で終わり」でしたが、金の株には日中の続きがあります。貴金属リサイクルも+0.194/+0.106で同じ形です。

下がる側は違いました。保険−0.109/0.000、完成車−0.102/+0.026、メガバンク−0.059/+0.017。寄り付きの窓で下げたあと、日中は動いていません。百貨店は−0.090/−0.048で、日中も少し下げ続けますが帯の中です。

住友金属鉱山1社なら、寄り付きの窓+0.410、寄ってから+0.187。金が1.5%上げた翌日の平均+1.47%のうち、寄ってからの半日で取れるのはその3分の1ほどです。逆に、金が1.5%以上下げた翌日は平均−1.15%で、上がった日は34%しかありません。買い持ちのまま金の急落を迎えると、上げた翌日の8割ほどの幅で沈む、と見ておくほうが安全です。

この結果、実践にどう活かす?

1
「金関連株」の看板で買わない
金で上がるのは、鉱山の権益を持つ会社と貴金属リサイクルだけでした。電線も買取・宝飾も、名前は金に近くても金では動いていません。テーマ表の「金関連」をそのまま信じるより、住友金属鉱山・AREホールディングス・松田産業・DOWAHDの4〜5社に絞って見るほうが、金の動きに素直です。
2
金が下げている局面は、金の株を避けて百貨店・保険を見る
非鉄は下げた翌日にも素直に沈みます。金が軟調な局面で「金関連は割安」と拾うより、金が下げた翌日に浮く保険・銀行・百貨店のほうが、合図としては素直でした。ただし幅は+0.3〜0.5%前後で、上げ側の非鉄ほど大きくはありません。
3
銀行と自動車の下げは、金のせいにしない
金が上がった日に銀行と自動車が下がっていても、それは同じ日の金利と為替の話です。金を見て銀行を売る、という判断は10年の数字では支持されませんでした。金利は金利回、為替は円安回の物差しで見るほうが向きを間違えません。
私の場合は

金の急騰や急落はときどき見かけますが、それを理由に個別株を物色することはあまりありません。まず急騰・急落の原因を確かめて、それがそのあとトレンドになったときにどうするかを考えます。もし金そのものに乗りたいなら、反応する個別株ではなく、金のETFを買うことのほうが多いです。個別株には金以外の材料も混ざりますが、金のETFにはそれがないので、分かりやすいからです。

まとめ

  • 金で上がるのは2業種だけ。非鉄金属+0.219と鉱業+0.092。銘柄では住友金属鉱山+0.536が断トツで、貴金属リサイクルのAREホールディングス・アサカ理研・松田産業が続きます。
  • 金が上がっても日経平均は下がっていません。10年で+0.059%、2026年は+0.164%で同じ方向です。
  • 金で上がる形は2021年秋より前にはありませんでした。下がる側の保険は10年ずっと同じ向きです。
  • 非鉄金属を丸ごと買っても金の株にはなりません。電線は動かず、金の買取・宝飾の株も帯の中でした。
  • 金で下がる15業種のうち、銀行・自動車・その他金融・ゴムは円と金利の話でした。金だけで下がるのは百貨店・空運・鉄道と、保険の半分です。
  • 金が下げた翌日に浮くのは保険・銀行・ゴムと、銘柄では百貨店。非鉄は下げにも素直に沈みます。

よくある質問

Q. 金が上がると上がる株は?

10年で測ると、住友金属鉱山(5713)が+0.536で断トツです。次いで貴金属リサイクルのAREホールディングス(5857)+0.368、アサカ理研(5724)+0.307、松田産業(7456)+0.271、製錬のDOWAHD(5714)+0.231、日鉄鉱業(1515)+0.223、三菱マテリアル(5711)+0.141。業種では非鉄金属と鉱業の2つだけが帯の外に出ています。金が1.5%以上上がった翌日、住友金属鉱山は日経平均より平均1.47%多く上がりました。

Q. 金が下がると上がる株は?

金が1.5%以上下げた翌日に日経平均より上がったのは、業種では保険業(+0.42%)・銀行業(+0.27%)・ゴム製品(+0.25%)で、この3つが帯の外です。銘柄ではJ.フロント リテイリング+0.60%、高島屋+0.57%、東京海上HD+0.52%、マツダ+0.48%の順です。逆に金の株(住友金属鉱山−1.15%、AREホールディングス−0.91%)は素直に沈みます。

Q. 金が上がると株は下がりますか?

日経平均で見ると下がっていません。金が1%上がった翌日の日経平均は10年平均で+0.059%、2026年は+0.164%で、むしろ同じ方向です。下がるのは保険・百貨店・空運・鉄道のような一部の業種で、それも指数全体を押し下げるほどではありませんでした。相場が崩れる日に金が買われることはありますが、金が動いた日ぜんぶを並べると、株と逆を向いてはいません。

Q. 金と一緒に動く株は、金ETFの代わりになりますか?

なりません。いちばん金に素直な住友金属鉱山でも、金1%に対して日経平均より+0.536%、つまり金の半分ほどしか動かず、残りは株式市場の地合いと会社固有の材料で決まります。金が1.5%以上下げた翌日に上がった日は34%で、金と逆に動く日も3日に1日あります。金そのものを持ちたいなら、金ETFや純金積立のほうが目的に合っています。

Q. 金の買取や宝飾の株は、金が上がると上がりますか?

上がっていません。コメ兵HD・バリュエンスHD・ツツミ・大黒屋HDの4社は10年平均で−0.058、帯の中です。買取の利益は売値と買値の差で決まり、金の値段そのものではないからだと考えています。金価格の上昇で持ち込みが増える効果はあっても、その日の株価には出ていません。

Q. 株が暴落すると金はどうなりますか?

この記事では「金が動いた翌日に株がどうなるか」を測っていて、逆向き(株が動いた日に金がどうなるか)は測っていません。相場が崩れた局面の金については、中東の有事7回を追った「有事の原油高」で上がる業種は?で「有事の金」の翌日と1か月後に触れています。

Q. 金利が上がると上がる株は?

この記事の物差しでは、金が上がった翌日に銀行が下がるのは金利の話だと分かりましたが、金利そのものは測っていません。金利で上がる株・下がる株は金利上昇で上がる株・下がる株はどれ?で、日本と米国の2本の金利で測っています。

33業種とサブ業種の全成績

参照用に、測った全グループの数字を置いておきます。四半期に一度、数字を入れ替えます。

業種感応度
金1%あたり
前半
〜2021年9月
後半
2021年9月〜
円と米金利を
差し引くと
金が1.5%以上
上げた翌日
金が1.5%以上
下げた翌日
金で上がる側 帯の外に出た2業種
業種感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
非鉄金属+0.219+0.040+0.324+0.278+0.68%−0.43%
鉱業+0.092−0.001+0.145+0.145+0.09%−0.26%
帯の中(金では動かない) 16業種
業種感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
不動産業+0.044+0.079+0.023+0.035−0.09%−0.20%
金属製品+0.036+0.005+0.055+0.026+0.12%−0.09%
ガラス・土石製品+0.034+0.063+0.017+0.036−0.05%−0.18%
卸売業+0.020−0.008+0.036+0.055−0.08%−0.12%
電気機器+0.015−0.007+0.029+0.027−0.05%−0.03%
化学+0.013+0.002+0.021+0.004+0.10%−0.05%
機械+0.012+0.001+0.019+0.033+0.10%−0.01%
石油・石炭製品+0.011−0.031+0.035+0.076−0.03%−0.14%
情報・通信業+0.009+0.046−0.013−0.018+0.02%+0.08%
証券・商品先物−0.002−0.108+0.061+0.043−0.06%+0.01%
業種感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
電気・ガス業−0.011−0.027−0.003−0.049−0.19%+0.11%
海運業−0.012+0.096−0.075+0.014+0.07%+0.30%
鉄鋼−0.021−0.064+0.004+0.026−0.08%+0.12%
建設業−0.027+0.027−0.061−0.035−0.11%+0.07%
精密機器−0.038+0.021−0.071−0.047−0.26%−0.06%
倉庫・運輸関連−0.039+0.041−0.086−0.047−0.24%+0.06%
金で下がる側 帯の外に出た15業種
業種感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
繊維製品−0.047−0.042−0.051−0.072−0.14%+0.04%
その他製品−0.048−0.002−0.075−0.082−0.16%+0.03%
陸運業−0.057−0.072−0.048−0.101−0.28%−0.01%
パルプ・紙−0.058−0.154−0.001−0.090−0.18%+0.10%
水産・農林−0.065−0.060−0.068−0.109−0.31%+0.13%
サービス業−0.067−0.005−0.103−0.115−0.22%+0.13%
医薬品−0.070−0.030−0.093−0.104−0.32%+0.03%
その他金融業−0.071−0.102−0.054−0.038−0.28%+0.18%
ゴム製品−0.075−0.098−0.062−0.032−0.19%+0.25%
食料品−0.078−0.015−0.115−0.105−0.20%+0.14%
業種感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
小売業−0.088−0.062−0.104−0.114−0.18%+0.18%
銀行業−0.098−0.140−0.076−0.020−0.30%+0.27%
輸送用機器−0.109−0.096−0.116−0.013−0.47%+0.18%
空運業−0.118−0.169−0.088−0.147−0.38%+0.16%
保険業−0.168−0.175−0.164−0.086−0.49%+0.42%

※すべて私の集計。感応度は金1%あたり、日経平均を引いた値。「円と米金利を差し引くと」は同じ日のドル円と前の晩の米10年金利を同時に入れたときの金の効き。灰色の行は帯の中(金では動いていない)。

グループ感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
金が1.5%以上
上げた翌日
金が1.5%以上
下げた翌日
製錬・鉱山+0.249+0.035+0.375+0.290+0.66%−0.58%
貴金属リサイクル+0.242+0.211+0.261+0.225+0.50%−0.63%
半導体製造装置+0.104+0.095+0.109+0.088+0.35%−0.06%
資源開発+0.092−0.001+0.145+0.145+0.09%−0.26%
産業用ロボ・搬送+0.058−0.001+0.095+0.080+0.13%−0.17%
不動産デベロッパー+0.044+0.079+0.023+0.035−0.09%−0.20%
建設機械+0.033+0.019+0.041+0.118+0.20%−0.06%
総合商社+0.032−0.006+0.053+0.077+0.02%−0.12%
化粧品・日用品+0.031+0.065+0.012−0.010+0.12%−0.27%
計測・FA機器+0.030+0.041+0.023+0.041+0.04%−0.19%
グループ感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
重工・造船+0.006−0.106+0.069+0.108−0.12%−0.04%
工作機械−0.001−0.081+0.046+0.047+0.11%+0.08%
証券−0.002−0.108+0.061+0.043−0.06%+0.01%
電線・ケーブル−0.007−0.087+0.037+0.095+0.39%+0.42%
総合化学−0.008−0.056+0.021+0.031−0.04%+0.05%
衣料専門店−0.013+0.065−0.058−0.047−0.01%−0.02%
電力−0.013−0.042+0.003−0.052−0.21%+0.12%
陸運・物流−0.014−0.001−0.022−0.046−0.09%−0.01%
高炉・鉄鋼−0.021−0.064+0.004+0.026−0.08%+0.12%
食品スーパー−0.025−0.012−0.032−0.123−0.08%+0.07%
グループ感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
ゲーム・IP−0.038+0.014−0.069−0.084−0.13%−0.06%
宝飾・時計・買取−0.058−0.004−0.090−0.054−0.17%+0.01%
通信−0.061+0.025−0.111−0.106−0.24%+0.13%
食品メーカー−0.069−0.035−0.088−0.121−0.18%+0.17%
医薬大手−0.070−0.030−0.093−0.104−0.32%+0.03%
その他金融−0.071−0.102−0.054−0.038−0.28%+0.18%
ホテル・旅行−0.089−0.116−0.073−0.102−0.41%+0.05%
鉄道−0.096−0.151−0.064−0.131−0.38%+0.14%
メガバンク−0.098−0.140−0.076−0.020−0.30%+0.27%
地方銀行−0.106−0.174−0.068−0.033−0.44%+0.15%
グループ感応度前半後半円と米金利を
差し引くと
上げた翌日下げた翌日
空運−0.118−0.169−0.088−0.147−0.38%+0.16%
完成車−0.135−0.149−0.127−0.035−0.53%+0.25%
保険−0.168−0.175−0.164−0.086−0.49%+0.42%
百貨店−0.198−0.222−0.186−0.143−0.45%+0.53%

※33業種を事業の中身で割り直した34グループ。銘柄の重複があります(たとえば資源開発と鉱業は同じ3社、メガバンクと銀行業も同じ3社)。灰色の行は帯の中。

▼検証条件
期間=2016年9月16日〜2026年9月16日の2,442営業日。金=NY金先物の期近(COMEX、Yahoo!ファイナンスの日足終値、ニューヨークの日付)。ドル建てで、円建ての国内小売価格は使っていない。
組み方=東京のある営業日に対し、その直前のニューヨークの取引日の終値変化率を材料とした。東京が休みでニューヨークが開いている日が続いた場合は、最後の1日ぶんだけが材料になる。
感応度=「その銘柄・グループの騰落率 − 日経平均の騰落率」を、金の変化率に回帰した傾き。帯は±2標準誤差。
円と米金利の差し引き=同じ回帰に、同じ日のドル円の変化率(東京の大引け後の動きを含む)と、前の晩の米10年債利回りの変化(%ポイント)を同時に入れたときの、金の係数。0.159などはこの値。
33業種=各業種の代表3社(空運は2社)・計98銘柄の単純平均。サブ業種34群=同じ銘柄を事業の中身で割り直した単純平均。個別=157銘柄。マンダム(4917)は日足が引けず、化粧品・日用品はコーセー(4922)で代替。静岡銀行は持株会社化後のしずおかFG(5831・2022年10月〜)を使用。
前半=2016年9月〜2021年9月、後半=2021年9月〜2026年9月(営業日数で半分に割った境目が2021年9月21日)。2026年=173営業日。
金が1.5%以上上げた翌日=161日、下げた翌日=148日。
寄り付きの窓=前日終値→当日始値、寄ってから引けまで=当日始値→当日終値。いずれも日経平均の同じ区間を引いている。
判定=まぐれでその差が出る確率が20回に1回(5%)を切るかどうか。図では帯の外かどうかで見ています。
2026年9月3日に公開した円安回の比較表では、金の非鉄金属を+0.30と書いた。期間(2,141営業日)と欠損の扱いが違うためで、この記事は今回の集計(2,442営業日・非鉄金属+0.219)を正とする。
  1. NY金先物の期近は2026年1月29日に5,318.4ドルで引けたあと、1月30日に4,744ドル前後まで下げた(Yahoo!ファイナンスの日足終値ベースで−10.8%)。報道では日中の下落率を12%として1980年以来の下落率と伝えている(日本経済新聞「金先物が12%安、1980年以来の下落率」2026年1月30日、ブルームバーグ「金、一時4.8%安-トランプ氏の次期FRB議長人事報道でドル上昇」2026年1月30日)。きっかけは次期FRB議長にウォーシュ氏を指名するとの表明で、ドル高と金の手じまい売りが重なった(SBI証券「金価格急変でどうする?」2026年2月6日)。
  2. 半導体製造装置が何で動いているかはSOX指数と日本の半導体株の回で扱っています。円安回でも、この群は為替では動かず、米金利と金に反応する群として出てきました。
  3. 非鉄金属の「取り分に乗るか、加工賃で止まるか」の仕組み(鉱山権益・都市鉱山リサイクル・製錬受託・電線)は8月24日の回に書いたので、ここでは繰り返していません。製錬受託の加工賃(TC/RC)が2026年契約でゼロになった話もそちらにあります。
  4. 中東の有事7回を追った#08では、「有事の金」も翌日だけ買われて1か月後はマイナスでした。あちらは有事という特別な7日、こちらは金が動いた日ぜんぶ2,442日で、物差しが違います。
  5. 業種の代表3社は33業種マップと同じ考え方で、時価総額と売買代金の大きい銘柄から選んでいます。業種の全銘柄を使った集計ではないので、業種指数そのものとは一致しません。非鉄金属の代表3社は住友金属鉱山・三菱マテリアル・住友電気工業で、サブ業種の製錬・鉱山4社(住友金属鉱山・三菱マテリアル・DOWAHD・古河機械金属)とは顔ぶれが違います。
  6. 2026年の局面表の「7月16日の安値 → 9月16日」は、9月16日の東京の終値と、その時点で取れる最新のNY金(9月16日の取引中の値)で計算しています。金の年初来と高値からの下落率は9月15日のNY終値(4,333ドル)で書いています。

※本記事は過去のデータを集計した記録であり、将来の値動きを保証するものではありません。個別銘柄の売買を推奨するものでもありません。「製錬・鉱山」「貴金属リサイクル」などのグループ分けは私が決めたもので、相場の呼び名ではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。数字はすべて記事公開時点のもので、四半期に一度更新します。

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