2026年10月29日、日経平均は705円高の6万4,659円(+1.10%)と3日続伸しました。TOPIXは+0.29%で、4,000ポイント台に戻しています。
この日、125のサブ業種で1位だったのは地銀です。東証プライムの地銀59行がすべて上げ、平均+2.45%でした。あすは日銀会合の結果が出ますが、利上げは見送りが濃厚です。見送りと分かっている会合の前日に、銀行株が全部上げました。あす結果が出たら地銀はどうなるのか。過去の会合で同じ形になった回を数えて、私の予想まで書きます。
① 地銀は59行すべてが上げて+2.45%、サブ業種125群で1位(前日24位)。メガバンク3行も+2.86%でした。
② 上げた理由は一つに決められません。12月利上げの織り込みが1週間で6割→7割台半ばに戻ったこと、地銀が10月に入ってTOPIXに13.8pt負けるほど売られていたこと、TOPIX入れ替えで売買代金が13.9兆円に膨らんだ日だったこと。この3つが重なった日でした。
③ 2024年以降の据え置き会合で、前日に地銀の9割以上が上げた回は6回。結果の日は4回が下げ(平均−0.8%)、その後5日は4回が上げ(平均+2.3%)ていました。私の予想は「金曜に沈んで、月曜から戻す」です。
10月29日の相場|地銀59行がすべて上昇、125のサブ業種で1位
日経平均の705円高のうち約453円はアドバンテスト1社ですが、群として強かったのは銀行です。
前日28日の引け後に今期の業績予想を2度目の上方修正をしたアドバンテストが+6.01%と買われ、日経平均を約453円押し上げました。33業種で上昇率1位は銀行業の+2.54%で、証券・商品先物業+2.10%、電気・ガス業+1.55%が続きます。
この記事では、東証プライムの銘柄を125のサブ業種に分けて、その日の「TOPIXとの差」で並べています。TOPIXとの差は、その群の平均騰落率からTOPIXの騰落率を引いた数字(pt)で、0より大きければTOPIXに勝った群です。
29日の1位は地銀の+2.16pt。59行すべてが上げ、上げ幅がいちばん小さいスルガ銀行でも+0.85%でした。前日は24位だった群が、1日で首位です。その他銀行(信託・ネット・新形態)が5位、生保が2位、電力が3位と、金利が上がると追い風になる群が上位に並びました。
| 地銀・上げ幅の大きい5行 | 29日 | 売買代金 |
|---|---|---|
| 大分銀行(8392) | +4.13% | 43億円 |
| あいちFG(7389) | +3.98% | 51億円 |
| 山形銀行(8344) | +3.73% | 41億円 |
| 東京きらぼしFG(7173) | +3.62% | 40億円 |
| 岩手銀行(8345) | +3.59% | 36億円 |
前日比は株探スクリーナーの終値ベース。地銀59行の平均は+2.45%、中央値は+2.37%。メガバンクは三菱UFJ+2.58%・三井住友+2.72%・みずほ+3.27%でした。
なぜ上げたか|理由は一つに決められません。重なったのは3つです
10月の利上げ織り込みは2%。市場が見ているのは12月で、その織り込みが1週間で6割から7割台半ばに戻った週でした。
日銀の政策金利は、9月の会合で1.25%に引き上げられたばかりです。29〜30日の会合は据え置きがほぼ確実で、金利先物の市場が織り込む10月の利上げ確率は29日夕方の時点で2%ほどです。あすの結果に賭けて買われた、という説明は成り立ちません。
代わりに重なっていたのが、次の3つです。
12月の織り込みが戻った。12月の利上げ確率は10月23日に6割程度まで下がり、29日夕方には7割台半ばまで戻っています。この1週間、地銀も27日+2.31pt・28日+0.55pt・29日+2.16ptと3日続けてTOPIXに勝っていて、動いた向きと時期は合っています。ただ、同じ週に同じ向きに動いたというだけで、織り込みが戻ったから地銀が買われたとは言い切れません。
10月に売られすぎていた。地銀は過去1年の強さ(地力)で125群中3位の群ですが、10月1日から28日までの「TOPIXとの差」を足すと−13.8pt。20日に−4.36pt、22日に−2.79ptと、下げる日は大きく下げていました。29日の+2.16ptは、その一部を取り戻した形です。
TOPIXの入れ替えの日だった。29日はTOPIXの構成銘柄の定期入れ替えに伴う売買が重なり、東証プライムの売買代金は13兆8,657億円と前日の1.7倍に膨らみました。59行がそろって上げた背景に、この日に特有の機械的な買いがどれだけ混ざっていたかは、私には切り分けられません。
私は「12月に向けて、10月に売られた分が買い戻された日」と読んでいますが、これは3つのうち前の2つを重く見た私の見立てです。
過去に同じ形になった6回|結果の日は4回下げ、1週間で4回戻した
据え置きの会合そのものは、銀行株にとって良くも悪くもありません。前日に買われていた回は、結果の日に下げることが多くなっています。
2024年1月以降の金融政策決定会合22回(据え置き16回・利上げ6回)について、結果が出た日の前日・当日・その後5日の地銀の値動きを数えました。
ここからの数字は、TOPIXとの差ではなく、地銀59行の平均が実際に何%動いたかで見ます。持っている人にとって大事なのは、TOPIXに勝ったかより、上がったか下がったかだからです。
据え置き16回の結果の日、地銀は平均+0.6%で、上げたのが10回・下げたのが6回。2024年3月以降の地銀は、どの1日を取っても平均+0.2%・上げた日が56%なので、据え置きの日はふつうの日と変わりません。
ところが、前日に地銀の9割以上が上げていた回に絞ると6回あり、結果の日は4回が下げました。平均−0.8%で、残り2回も+0.2%と+2.1%です。前日に買われていなければ結果の日に売る理由もない、という自然な形です。
その6回の「結果の日の翌日から5営業日」は、4回が上げて平均+2.3%でした。地銀のどの5日間を取っても平均+1.0%・上げた割合64%なので、ふつうの5日間より少し良い程度です。結果の日に下げた分を1週間で取り返す、くらいに読むのがちょうどいいと思います。
図1:日銀の据え置き会合のうち、前日に地銀の9割以上が上げた6回。左が前日の地銀59行の平均騰落率と上げた銘柄の割合、真ん中が結果の日の騰落率、右がその翌日から5営業日の騰落率。小さい灰色の数字は同じ期間のTOPIXです。最下段が今回です。
| 結果の日 | 前日の地銀 | 結果の日の地銀 | 結果の日 TOPIX | その後5日の地銀 | その後5日 TOPIX |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月23日 | +1.2% 98%が上げ | −0.96% 7%が上げ | −0.11% | +2.44% | −0.60% |
| 2024年9月20日 | +1.5% 97%が上げ | +0.20% 56%が上げ | +0.97% | −1.50% | +0.14% |
| 2025年3月19日 | +2.6% 100%が上げ | −0.16% 36%が上げ | +0.45% | +4.24% | +0.70% |
| 2025年5月1日 | +1.9% 98%が上げ | −2.70% 0%が上げ | +0.46% | +5.77% | +2.34% |
| 2026年1月23日 | +2.4% 98%が上げ | +2.12% 100%が上げ | +0.37% | −1.69% | −1.75% |
| 2026年3月19日 | +3.6% 100%が上げ | −3.02% 2%が上げ | −2.91% | +4.32% | +1.12% |
6回しかないので、「偶然の範囲かどうか」の判定はしていません。回数として読んでください。利上げの日も地銀は6回中3回しか上げておらず(平均+1.0%)、「利上げ=銀行株が上がる」も素直には成立していません。利上げの日の株全体については「日銀が利上げすると株は下がる」は本当?で1973年からの24回を数えています。
私の予想|金曜に沈んで、月曜から戻す(外れたら外れたと書きます)
あすの時間割が予想の形を決めます。結果は昼、総裁会見は引け後の15時30分です。
結果の公表は30日の12時前後で、市場がその場で見るのは「据え置き」の文字と展望レポートの数字だけです。植田総裁の会見は15時30分からで、引け後です。会見で12月に向けた言い回しが出ても、金曜の株価には乗りません。それを織り込む最初の取引日は11月2日の月曜日です。
私は、今回は見送りでもその先の利上げには前向きな会合になると見ています。そうであれば、金曜は「見送り」の分だけ下げ、月曜に「その先」の分が上がる、二段構えになります。過去6回の「結果の日に下げて1週間で戻す」と、方向も順番も同じです。
- ① 10月30日(結果の日):地銀は下げる。0.5〜1%の下げで、前日に59行すべて上げた分の利益確定が出る形です。過去6回の中央値は−0.6%でした。
- ② 11月2日(月):会見が12月に前向きなら、地銀は+1.5〜2%。12月の織り込みが7割台から9割近くに動く日になります。ただし「12月を排除しない」程度の言い方では市場は「知っている」で終わり、無風の可能性があります。月曜に地銀が跳ねるには、会見が12月より先(利上げの間隔や、どこまで上げるか)に触れる必要があります。
- ③ 11月9日まで:地銀は5日間で+2%前後上げて、29日の水準を取り返す。過去6回の平均+2.3%をそのまま置きます。11月3日は祝日なので、5日間は2日・4日・5日・6日・9日です。
外れるとしたら、3つの形があります。
上に外れる形:2026年4月28日の据え置きでは、地銀が+6.44%(TOPIXは+0.99%)と大きく上げました。据え置きでも、12月より先までにおわせる言い回しが出れば、この形になります。ただ今回は会見が引け後なので、出るとしても月曜です。
下に外れる形:2025年5月1日の据え置きでは、TOPIXが+0.46%の日に地銀が−2.70%と沈み、59行のうち上げた行はゼロでした(1週間では+5.8%と戻しています)。見送りに加えて物価や成長の見通しが下方修正され、「12月もないかもしれない」と読まれるとこうなります。10月に地銀が売られていたのはこの警戒だったはずで、ここが本当のリスクです。
相場全体に流される形:2026年3月19日の据え置きでは、TOPIXが−2.91%と急落した日で、地銀も−3.02%でした。会合と関係なく相場全体が動けば、地銀もそれに流されます。あすはアルファベットの決算で米ハイテク株が時間外で急落したあとの米市場を受ける日でもあり、この形もあり得ます。
まとめ
10月29日のマーケット・3行まとめ
日経平均は705円高の6万4,659円。サブ業種125群の1位は地銀で、59行すべてが上げて+2.45%でした。
あすの日銀は見送り濃厚。買われた理由は、12月利上げの織り込みが戻ったこと・10月に売られすぎていたこと・TOPIX入れ替えの日だったことが重なっていて、一つには決められません。
前日に地銀がそろって上げた据え置き会合は過去6回。結果の日は4回下げ(平均−0.8%)、その後5日は4回上げていました(平均+2.3%)。私の予想は「金曜に沈んで、月曜から戻す」。答え合わせは11月9日の引け後に書きます。
前日に買われた株が、結果の日に売られる。日銀の会合でも、同じことが起きていました。
29日の地銀の全面高は、あすの結果に賭けたものではなく、12月に向けて10月に売られた分を買い戻した動きだと私は見ています(TOPIX入れ替えの買いがどれだけ混ざっていたかは分かりません)。だから、あす「据え置き」の文字が出た瞬間に大きく崩れるとは思っていません。前日に上げた分の利益確定で、1%に届かない程度の下げではないでしょうか。
本当の分かれ目は15時30分の会見です。12月だけでなく、その先の利上げの間隔やどこまで上げるかに触れれば、月曜の地銀は強いと思います。「12月を排除しない」で終われば無風、物価見通しが下がれば売り。月曜の日次記事で、どの形になったかを書きます。外れたら外れたと書きます。
2024年以降の金融政策決定会合22回の地銀の動き(全リスト)▾
黄色の行が「据え置き・前日に地銀の9割以上が上げた」6回です。地銀の列は59行の平均騰落率と、上げた銘柄の割合(小さい数字)。その後5日は結果の日の翌営業日から5営業日の騰落率です。
| 結果の日 | 決定 | 前日の地銀 騰落率・上げた割合 | 結果の日の地銀 騰落率・上げた割合 | 結果の日 TOPIX | その後5日の地銀 騰落率 | その後5日 TOPIX |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月23日 | 据え置き | +1.2%・98% | −0.96%・7% | −0.11% | +2.44% | −0.60% |
| 2024年3月19日 | 利上げ | +0.9%・86% | −0.17%・41% | +1.06% | +3.33% | +1.76% |
| 2024年4月26日 | 据え置き | −0.9%・10% | +1.23%・90% | +0.86% | −1.79% | +0.74% |
| 2024年6月14日 | 据え置き | −1.8%・3% | +0.51%・73% | +0.54% | +0.79% | −0.80% |
| 2024年7月31日 | 利上げ | −1.5%・8% | +4.97%・100% | +1.45% | −15.37% | −10.92% |
| 2024年9月20日 | 据え置き | +1.5%・97% | +0.20%・56% | +0.97% | −1.50% | +0.14% |
| 2024年10月31日 | 据え置き | +0.1%・49% | −0.02%・39% | −0.30% | +6.62% | +1.73% |
| 2024年12月19日 | 据え置き | −0.3%・27% | −0.36%・20% | −0.22% | +1.38% | +1.95% |
| 2025年1月24日 | 利上げ | −0.3%・24% | −0.14%・37% | −0.03% | +6.25% | +1.37% |
| 2025年3月19日 | 据え置き | +2.6%・100% | −0.16%・36% | +0.45% | +4.24% | +0.70% |
| 結果の日 | 決定 | 前日の地銀 騰落率・上げた割合 | 結果の日の地銀 騰落率・上げた割合 | 結果の日 TOPIX | その後5日の地銀 騰落率 | その後5日 TOPIX |
| 2025年5月1日 | 据え置き | +1.9%・98% | −2.70%・0% | +0.46% | +5.77% | +2.34% |
| 2025年6月17日 | 据え置き | +0.8%・86% | +0.29%・63% | +0.35% | −0.05% | −0.20% |
| 2025年7月31日 | 据え置き | +0.2%・59% | +1.49%・92% | +0.78% | +2.41% | +1.52% |
| 2025年9月19日 | 据え置き | −0.1%・34% | +0.99%・90% | −0.35% | +1.97% | −0.51% |
| 2025年10月30日 | 据え置き | −1.0%・10% | +2.32%・97% | +0.69% | +0.65% | −0.06% |
| 2025年12月19日 | 利上げ | +0.0%・51% | +1.85%・98% | +0.80% | +0.25% | +1.16% |
| 2026年1月23日 | 据え置き | +2.4%・98% | +2.12%・100% | +0.37% | −1.69% | −1.75% |
| 2026年3月19日 | 据え置き | +3.6%・100% | −3.02%・2% | −2.91% | +4.32% | +1.12% |
| 2026年4月28日 | 据え置き | −0.1%・42% | +6.44%・100% | +0.99% | −0.02% | +1.82% |
| 2026年6月16日 | 利上げ | +1.5%・93% | −1.16%・12% | −0.21% | −1.06% | −0.02% |
| 結果の日 | 決定 | 前日の地銀 騰落率・上げた割合 | 結果の日の地銀 騰落率・上げた割合 | 結果の日 TOPIX | その後5日の地銀 騰落率 | その後5日 TOPIX |
| 2026年7月31日 | 据え置き | −2.3%・2% | +1.71%・92% | +1.29% | +4.73% | +1.79% |
| 2026年9月18日 | 利上げ | +0.2%・61% | +0.93%・63% | −0.07% | +4.18% | +0.43% |
地銀:東証プライムの構成銘柄を142のサブ業種に分けた私の日次集計のうち「地銀」の群(59銘柄・等ウェイト)です。「TOPIXとの差」は、群の平均騰落率からTOPIXの騰落率を引いたもの(pt)。会合まわりの騰落率は59行の平均を日ごとに掛け合わせたもので、「その後5日」は結果の日の翌営業日から5営業日分です。「どの1日・どの5日間を取っても」の基準は2024年3月以降の全営業日です。過去の数字は2016年からの日次データ(J-Quants)で作った10年分の集計から取りました。
会合の日程:2026年の開催日は日本銀行のサイト(金融政策決定会合の運営)、2024年・2025年は各回の公表資料によります。「結果の日」は会合2日目です。利上げ6回は2024年3月(マイナス金利解除)・7月、2025年1月・12月、2026年6月・9月です。
利上げの織り込み:10月の利上げ確率2%・12月7割台半ばは、OANDA証券の10月会合プレビュー(10月29日夕方時点のOIS市場)によります。
指数と相場の経過:日経平均・TOPIXの終値、33業種の騰落率、売買代金は大引け後の取引所データと報道、個別銘柄の前日比は株探スクリーナーの終値ベースです。
前日の相場は半導体株に資金が逆戻り、利上げの日に株がどう動いたかは「日銀が利上げすると株は下がる」は本当?にまとめています。125群の毎日の並びは今日の日本株(10月29日)と日次レポートで追っています。















コメントを残す