2026年9月11日、日経平均は前日比1,259円61銭安(-1.93%)の6万4,011円34銭で引けました。8月19日以来、約3週間ぶりの安値です。
この日は9月のメジャーSQの算出日でした。9月限のSQ値は6万3,039円49銭。ところが当日の安値は6万3,208円63銭までで、SQ値には169円14銭届いていません。日経平均がSQ値に一度もタッチしないまま終わった日です。
この記事では、SQ値に届かなかった日の下値の見方と、1,259円の下げが誰の値動きでできていたのか、そして今週1週間がどんな形の週だったのかを見ていきます。
① 9月限のSQ値6万3,039円49銭に対して、当日の安値は6万3,208円63銭。169円14銭届かず、SQ値にタッチしないまま終わりました
② 下げ1,259円61銭のうち、アドバンテスト-530円99銭とソフトバンクグループ-217円22銭の2銘柄で748円21銭。下げの6割が2銘柄です
③ 今週は月曜に1,378円上げて金曜に1,259円下げ、先週末から今週末までの差は1,009円安。上げも下げも符号を外して5日ぶん足すと6.14%動いたのに、進んだのは1.55%でした
何が起きたか|米金利4.944%を受けて、994円安で始まりました
前日の米国市場の下げをそのまま引き継いで、朝から売られた一日でした。
前日10日の米国市場は、NYダウが0.61%安、S&P500が0.59%安、ナスダック総合が0.66%安と続落しました。フィラデルフィア半導体指数は2.66%安と、下げが目立っています。サウジアラビアの8月の原油生産が1990年以来の低い水準に落ち込んだと伝わってWTI原油は101.17ドルまで上げ、米8月の生産者物価指数の加速と重なって、米10年国債の利回りは4.944%まで上昇しました。
東京市場はこれを受けて994円13銭安で寄り付いています。始値は6万4,276円82銭、前場のなかごろには6万3,208円63銭まで下げ、前日終値からの下げ幅は一時2,000円を超えました。後場はやや下げ渋ったものの戻りは鈍く、終値は6万4,011円34銭です。日本の10年国債の利回りが節目の3%に近づく場面があったことも、重荷として意識されたと見られます。
東証プライムの売買代金は8兆7,129億円で、前日の8兆3,803億円から3,300億円増えました。値上がりは32.7%、値下がりは63.4%。下げに出来高が伴った一日です。
幻のSQ|SQ値に、一度もタッチしませんでした
清算の値段が、その日の値幅の外にあった日です。
SQは特別清算指数(Special Quotation)の略で、日経225の先物やオプションを最後に清算するときの値段です。毎月第2金曜日に算出され、先物とオプションの清算が重なる3・6・9・12月はメジャーSQと呼ばれます。SQ値は当日の寄り付きで各銘柄についた始値から計算するため、日経平均そのものの始値や高値・安値とは別の数字になります。
9月限のSQ値は6万3,039円49銭でした。この日の安値は6万3,208円63銭ですから、日経平均はSQ値より169円14銭高いところまでしか下げていません。SQの算出日に日経平均がSQ値にタッチしないことを「幻のSQ」と呼びます※1。
金曜の終値6万4,011円34銭は、SQ値より971円85銭上にあります。この形については、SQ値が下にあって、そこまで届かなかったときは、翌週以降の相場が強まりやすい、というアノマリー(理屈で説明しきれないが、そうなりやすいとされる経験則)が証券会社の用語解説でも紹介されています※1。ただし、これは数えた結果として書かれているものではありません。私も確かめたことがないので、来週の動きは答え合わせとして見ておきます。
数字として言えるのは、6万3,000円台の前半が当面の下値の目安として意識されやすい位置にあるということです。SQ値は市場参加者が共通で見ている数字で、そこと当日の安値が169円しか離れていません。
下げの中身|1,259円のうち748円が、2銘柄でした
売られたのは半導体で、買われたのは金利と円安で得をする側でした。
寄与額は、その銘柄の値動きが日経平均を何円動かしたかを表した概算で、単位は円です。
押し下げの上位は、アドバンテストが530円99銭、ソフトバンクグループが217円22銭。以下、東京エレクトロンが135円76銭、キオクシアホールディングスが95円27銭、イビデンが75円09銭、フジクラが45円66銭と続きます。上位2銘柄だけで748円21銭になり、この日の下げ1,259円61銭の59%にあたる計算です。押し上げ側は京セラが21円99銭、コナミグループが12円74銭、バンダイナムコホールディングスと豊田通商がそれぞれ12円37銭、KDDIが9円25銭、東京海上ホールディングスが8円85銭でした。
株価で見ると、アドバンテストが6.49%安の3万1,720円、ソフトバンクグループが3.96%安の6,540円です。同じ半導体ではキオクシアホールディングス6.99%安・KOKUSAI ELECTRIC7.47%安・三井ハイテック7.66%安・SCREENホールディングス6.02%安・イビデン5.42%安・レーザーテック4.82%安と総崩れでした。米10年金利の上昇が起点の日なので、いま出ている利益より先の利益を当てにして買われている銘柄ほど売られやすい場面です。指数の下げが一部の銘柄に集まる理由は「日経平均は上位3社で決まる」は本当かに10年ぶんのウエートで整理しています。
| 上がった業種 | 値上がり率 | 下げた業種 | 値上がり率 |
|---|---|---|---|
| 保険業 | +2.25% | 非鉄金属 | -3.52% |
| 海運業 | +1.28% | 電気機器 | -2.03% |
| 輸送用機器 | +1.14% | 石油・石炭製品 | -1.54% |
| 鉱業 | +0.87% | サービス業 | -1.29% |
| 卸売業 | +0.21% | 化学 | -1.21% |
東証33業種(33業種の分け方はこちら)の上位5業種と下位5業種です。上がったのは11業種で、前日の16から5減りました。
買われた側は、金利と円安で得をするところに寄っています。保険業は東京海上ホールディングスが2.26%高で、業種のなかの広い範囲が上げました。輸送用機器はドル円154円16銭の円安を背景に、トヨタ自動車1.24%高・本田技研工業1.80%高・デンソー1.91%高・スズキ1.76%高がそろっています。下げた側は非鉄金属の3.52%安が33業種でいちばん大きく、フジクラ4.36%安・住友金属鉱山6.93%安。化学の1.21%安はレゾナック・ホールディングスの10.68%安が重しになりました。
年初来高値を更新した26銘柄のうち、8銘柄が地方銀行でした。一方で安値を更新した39銘柄は不動産6・小売5・サービス5と内需に広がっています。金利が上がった日に、高値更新(銀行)と安値更新(内需)が並ぶ形です。
今週は、動いた割に進んでいません
月曜に1,378円上げて、金曜に1,259円下げ、1週間の行き先は1,009円安でした。
今週の日経平均は、先週末9月4日の終値6万5,020円94銭から始まりました。月曜7日に1,378円90銭上げて6万6,399円84銭、火曜8日は1.70%安、水曜9日は0.19%安、木曜10日は0.20%高、そして金曜が1.93%安です。
上げた日も下げた日も、符号を外して5日ぶん足すと6.14%になります。これを「動いた距離」と呼ぶことにします。いっぽう、先週末の終値から今週末の終値までの差=「行き先」は1,009円60銭安(1.55%)で、動いた距離の4分の1しか進んでいません。上がったり下がったりした割に、行き先は小さかった1週間です。
図1:先週末9月4日の終値から今週末までの日経平均の終値です。オレンジの破線が9月限のSQ値6万3,039円49銭。右端の白丸が11日の安値6万3,208円63銭で、SQ値との差が169円14銭です。下段の「1日ごとの動き」を符号を外して足したものが「動いた距離」です。
メジャーSQの週がこういう形になりやすいのかどうかは、1990年からの36年・145回ぶんを数えた「メジャーSQの週は荒れる」は本当かにまとめています。今週の数字も、そこで使ったのと同じ数え方です。
来週の材料|物価の数字と、2つの会合
物価の数字と2つの金融政策会合が、そのまま来週の材料になります。
- ① 今夜の米8月消費者物価指数。この日の下げは米10年金利の4.944%への上昇が起点でしたので、物価の数字が上振れれば半導体への売りは続きやすくなります。反対に落ち着けば、売られた半導体の戻りが先に出る形です
- ② 16日のFOMCと18日の日銀金融政策決定会合。日本の10年国債の利回りが3%に近づいていることは、18日に向けて銀行や保険の買いを支える材料として残ります
- ③ 6万3,000円台前半の帯。SQ値6万3,039円49銭と当日の安値6万3,208円63銭が169円しか離れていません。ここを下回るかどうかは、来週いちばん見やすい線になりそうです
テクニカルでは、終値の6万4,011円34銭は5日移動平均の6万5,218円85銭を1,208円、25日移動平均の6万6,149円23銭を2,138円ぶん下回りました。売られすぎを見る指標では、25日騰落レシオが112.58から105.61へ下がりました。一般に70を切ると売られすぎとされる物差しなので、まだ真ん中あたりです。日数の短い6日騰落レシオは76.06から66.44と、こちらは短い物差しでは売られすぎ寄りに入っています。日経VIは30.55から29.80とわずかに低下し、空売り比率は42.4%から44.9%へ上がりました(45%前後から売り方が積み上がっている目安とされることが多い数字です)。25日の物差しでは、まだ売られすぎと呼べる水準には届いていません。
売買の集中も変わっていません。キオクシアホールディングスが1兆5,128億円で6営業日続けて売買代金の首位です。ソフトバンクグループ4,460億円、アドバンテスト3,510億円と続きました。
まとめ
9月11日のマーケット・3行まとめ
- 日経平均は1,259円61銭安の6万4,011円34銭。9月限のSQ値6万3,039円49銭に当日の安値が169円14銭届かず、SQ値にタッチしないまま終わりました
- 下げ1,259円のうち748円はアドバンテストとソフトバンクグループの2銘柄ぶん。買われたのは保険業と輸送用機器で、金利と円安で得をする側でした
- 今週は上げ下げを符号なしで足すと6.14%ぶん動いたのに、先週末からの行き先は1.55%安。動いた割に進まなかった1週間でした
年初来高値を更新した26銘柄のうち8銘柄が地方銀行、安値を更新した39銘柄は不動産と小売が中心です。金利が上がったこの日は、上がる銘柄と下がる銘柄がきれいに分かれました。
メジャーSQを通過したので、相場も多少は落ち着いてほしいところです。ただ、WTI原油が101.17ドルと100ドル付近にいて、この高止まりが続くかぎり上昇は厳しいと見ています。
いまは守りぎみにポジションを取っています。原油の状況と、日経平均・TOPIXの値動きを見ながら、今後の動きを決めるつもりです。
今夜の米消費者物価指数しだいではありますが、18日の日銀会合の利上げはほぼ確実、16日のFOMCも現時点では利上げが濃厚という見方が広がっていて、相場はすでに織り込んでいると思われるので、あまり気にしていません。
※1 「幻のSQ」=「日経平均株価の株価指数先物取引と株価指数オプション取引の特別清算指数(SQ)の算出日に、日経平均がSQ値にタッチしないこと」(野村證券「証券用語解説集」)。同解説では、上側のSQ値に届かない場合は翌週以降の相場が弱まり、下側のSQ値を超えない場合は翌週以降の相場が強まるとされる、というアノマリーもあわせて紹介されています。
メジャーSQの週の値動きを145回ぶん数えた回は「メジャーSQの週は荒れる」は本当か──36年・145回のデータで見えたのは「荒れ」ではなく「行って来い」だったです。前日10日の記事は日経128円高の中身|アドバンテスト1社で+261円、外すと4日続落で、この日はその1銘柄が最大の押し下げに回りました。当日のマーケット全体の動きは日次レポートをどうぞ。















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