日経128円高の中身|アドバンテスト1社で+261円、外すと4日続落

2026年9月10日、日経平均は前日比128円17銭高(+0.20%)の6万5,270円95銭で3営業日ぶりに反発しました。終値がその日の高値です。

ただし朝方は前日比956円安の6万4,186円68銭まで下げています。安値から終値まで1,084円戻したことになりますが、上げ幅そのものは128円です。

その128円の中身を寄与額で見ると、アドバンテスト1銘柄で260円67銭ありました。指数の上げ幅より大きい数字です。この記事では、1銘柄で反発が作られたこの日の中身と、なぜ1社でそれができてしまうのかを見ます。

この記事の要点(先に3つ)
① 日経平均は128円17銭高で3営業日ぶりの反発。ところがアドバンテスト1銘柄の押し上げが+260円67銭あり、この1銘柄を除くと132円安で4日続落だった計算になります

② 押し下げの最大は東京エレクトロンの-89円50銭。同じ半導体でも、この2社は逆を向きました

③ この日いちばん買われたのは証券+2.45%と銀行+1.95%ですが、日経平均への効き方は小さく、三菱UFJは1.69%上げても日経を2円しか押し上げていません

何が起きたか|朝は956円安、終値がその日の高値でした

下げから始まって、後場に半導体の材料が入って戻した一日でした。

前日9日の米国市場は、NYダウが0.77%安、ナスダックが0.64%安、S&P500が0.48%安とそろって下げました。米10年国債の利回りは4.847%へ上昇し、中東情勢を受けてWTI原油も96.25ドルまで上値を伸ばしています。インフレの再燃と金利上昇が意識され、東京市場は売りから始まりました。

始値は6万4,768円53銭。前場には6万4,186円68銭(前日比956円安)まで下げています。ただ6万4,000円台では買いが入り、後場に台湾のTSMCの8月の売上高が前年同月比53%増で過去最高と伝わると、半導体まわりの見方が改善しました。そこから大引けにかけて上げ幅を広げ、終値の6万5,270円95銭がその日の高値です。

東証プライムの売買代金は8兆3,803億円で、前日の9兆2,303億円から8,500億円減りました。日経平均もTOPIXもそろって+0.20%、東証グロース市場250指数は-0.19%です。

ただし、東証プライムで値上がりしたのは723銘柄、値下がりは784銘柄でした。指数はプラスですが、上がった銘柄より下がった銘柄のほうが多い日です。この形が、このあとの寄与額の話につながります。

数値で見るインパクト|押し上げた6銘柄と、押し下げた6銘柄

まず、日経平均の128円が誰の値動きでできていたのかを並べます。

ここで使う物差しが寄与額です。その銘柄の値動きが日経平均を何円動かしたかを表した概算で、単位は円です。日経平均は225社の株価をもとに計算する指数なので、値動きの大きさが同じでも、銘柄によって指数への効き方が変わります。

日経平均を動かした銘柄の寄与額 2026年9月10日、日経平均は128円17銭高だったが、アドバンテスト1銘柄の寄与額が260円67銭と上げ幅を上回っていた。押し下げ側の最大は東京エレクトロンの89円50銭。 日経平均を動かした銘柄(2026年9月10日) 棒は寄与額。その銘柄の値動きが、日経平均を何円動かしたかを表します この日の日経平均(3営業日ぶりの反発) +128円17銭(+0.20%) アドバンテスト +260.67円 リクルート +54.81円 村田製作所 +31.94円 キオクシア +25.58円 TDK +19.11円 京セラ +16.90円 コナミグループ -11.40円 任天堂 -13.81円 バンダイナムコ -14.68円 イビデン -49.61円 フジクラ -57.12円 東京エレクトロン -89.50円 ▲ この日の日経平均の上げ幅(+128円) 押し上げ上位6銘柄と押し下げ上位6銘柄。社名は一部略しています(寄与額は概算)

図1:9月10日に日経平均を押し上げた上位6銘柄と、押し下げた上位6銘柄です。棒は寄与額。赤い破線がこの日の日経平均の上げ幅(+128円17銭)で、アドバンテストの棒だけがその線を超えています。社名は一部略しています。

アドバンテストが3.29%高の3万3,920円で、押し上げは260円67銭。上げ幅の128円より132円ぶん多い計算です。後場のTSMCの売上高を受けて半導体が買われた流れで、村田製作所が5.57%高、太陽誘電が4.80%高、レーザーテックが2.95%高と続いています。半導体以外ではリクルートホールディングスが3.56%高で54円81銭を押し上げました。

一方で押し下げの最大は東京エレクトロンの1.66%安で、89円50銭。前日買われた電線のフジクラが5.17%安で57円12銭、イビデンが3.45%安で49円61銭と続きます。アドバンテストと東京エレクトロンは同じ半導体製造装置ですが、この日は逆を向きました。東証33業種の電気機器は+0.76%で7番目に強い業種でしたが、その中でも上げた銘柄と下げた銘柄に分かれています。

この12銘柄を合計すると+172円89銭です。日経平均の上げ幅は128円17銭でしたので、残りの213銘柄を全部合わせると45円ほどのマイナスでした。値上がりより値下がり銘柄のほうが多かったという数字と、方向は一致しています。

同じ1%でも、日経平均への効き方は銘柄ごとに違います。日経平均は各社の株価に株価換算係数という数を掛けてから合計するしくみで、効き目は「株価×係数」で決まるためです。9月10日の終値で計算すると、株価が1%動いたときに日経平均が動く額は、アドバンテストが81円87銭、東京エレクトロンが53円11銭、三菱UFJフィナンシャル・グループは1円23銭。アドバンテスト1社で、三菱UFJ 67社ぶんの効き目があります。この偏りがいつからのもので、10年でどう変わってきたかは「日経平均は上位3社で決まる」は本当かにまとめています。

アドバンテストの260円67銭を差し引くと、この日の日経平均は132円安。4日続落だった計算になります。

国内市場の反応|買われる業種が、前日と入れ替わりました

指数を動かした銘柄の外側では、お金の行き先が資源から金融へ移っていました。

上がった業種値上がり率下げた業種値上がり率
証券・商品先物業+2.45%非鉄金属-3.63%
サービス業+2.14%その他製品-2.81%
銀行業+1.95%建設業-2.33%
保険業+1.20%機械-1.32%
鉄鋼+0.94%ガラス・土石製品-1.28%

東証33業種の上位5業種と下位5業種です。上がったのは16業種、下げたのは17業種で、前日と同じ数でした。

上位に並んだのは証券・銀行・保険・その他金融と、金利が上がると利ざやが取りやすくなる側です。背景は米10年国債の4.847%への上昇でした。銀行では三菱UFJフィナンシャル・グループが1.69%高、みずほフィナンシャルグループが1.53%高、三井住友フィナンシャルグループが1.47%高。地方銀行の上げがさらに大きく、四国銀行8.14%高・山形銀行6.70%高・秋田銀行5.04%高・岩手銀行4.66%高など6行が年初来高値を更新しています。銀行業は業種内の97%の銘柄が上げました。

下げた側は、前日買われた業種です。前日に33業種でトップだった非鉄金属+6.88%は、この日-3.63%で最下位。前日12.63%高だった古河電気工業が2.54%安、フジクラが5.17%安、SWCCが5.39%安、三井金属が5.71%安と、電線と非鉄がそろって反落しました。建設業(33業種の分け方はこちら)の-2.33%は清水建設5.60%安・大成建設5.58%安、機械の-1.32%は日本製鋼所6.51%安・IHI4.89%安が中心です。

年初来安値を更新した側には、HOYA・中外製薬・日本新薬・オープンハウスグループなど、内需や医薬の銘柄が並びました。金利が上がった日に、高値を更新した銀行と、安値を更新したディフェンシブが同じ日に出ているという形です。

ただし、こうして最も買われた業種ほど日経平均には出てきません。三菱UFJは1.69%高でしたが、日経平均への押し上げは2円です。日経平均に採用されている銀行10社を合わせても、指数に占める重みは8月末時点で0.94%です。かりに10社が2%上げても、日経平均を動かすのは12円ほど。この日の相場でいちばん広く買われた業種は、指数の数字にはほとんど残っていません

翌日以降のシナリオ|確かめたい3つ

週の後半は、値動きが中身と関係なく荒れやすい日程が続きます。

明日以降に確かめたい3つ
  • ① 10日夜の米PPIと11日の米CPI。この日の物色は米10年金利の上昇が起点でしたので、物価の数字が上振れれば金融への追い風は続きます。反対にグロースには逆風で、そちらは日経平均に効く銘柄が多いところです
  • ② 11日のメジャーSQ。先物とオプションの決済が重なる日で、寄り付きの値段が実際の売買と離れて決まります。裁定取引の解消も出やすく、業種の並びは普段より当てになりません
  • ③ 18日の日銀金融政策決定会合。ドル円は153円57銭と前日の153円24銭からやや円安に振れています。利上げの観測が残っているうちは、銀行・保険の買いはここまで持ち越されやすいところです

テクニカルでは、日経平均は5日移動平均の6万5,421円をまだ回復できていません。25日移動平均の6万6,216円とは950円の開きがあります。売られすぎを見る指標のうち、25日騰落レシオは116.15から112.57、6日は56.75から76.05へ戻りました。戻したというより、売りが止まった日という数字です。

売買の集中も変わっていません。キオクシアホールディングスが1兆6,319億円で5営業日続けて売買代金の首位で、市場全体の19%を占めています。空売り比率は44.2%から42.4%へ下がりました。

まとめ

9月10日のマーケット・3行まとめ

  • 日経平均は128円17銭高の6万5,270円95銭で3営業日ぶりに反発。朝方は956円安まで下げ、終値がその日の高値でした
  • 上げ幅128円に対してアドバンテスト1銘柄の押し上げが260円67銭。この1銘柄を除くと132円安で、4日続落だった計算になります
  • いちばん広く買われたのは金利上昇を受けた銀行や証券ですが、日経平均への効き目は小さく、指数の数字には出てきませんでした

値上がり723銘柄・値下がり784銘柄で、上がった銘柄のほうが少ない日でもありました。日経平均が上がったかどうかと、自分の持ち株が上がったかどうかは別の話になりやすい、という形の一日です。

📝 個人的な見解
アドバンテストに支えられただけで、地合いは悪いままだと見ています

この日の反発は、アドバンテスト1銘柄で作られたものです。指数はプラスでも上がった銘柄より下がった銘柄のほうが多く、相場が良くなったとは見ていません。私が地合いを見るときの3つの条件(日経平均が前日比プラス・終値が5日移動平均の上・25日移動平均が上向き)でも、当てはまったのは前日比プラスの1つだけで、終値の6万5,270円は5日線の6万5,421円に届いていません。

買いにくい材料も並んでいます。ドル円は前日比ではやや円安ですが、9月に入ってからは155円台から153円台へ円高が進んでいます。11日には米国の消費者物価指数とメジャーSQも控えていて、ここで踏み込む場面ではないと思っています。

ただ、下も追いにくいと見ています。今月末に配当の権利日が控えているからです。9月末が権利確定日の銘柄は、9月28日まで持っていれば配当や優待の権利が取れます。そこまでは持っておこうという動きが出やすく、権利日までは底堅い展開になるのではないかと思っています。

※2026年9月末が決算期末の銘柄の場合、権利付最終日は9月28日(月)、権利落ち日は9月29日(火)、権利確定日は9月30日(水)です(楽天証券の案内)。

※本記事は、公表情報および私が独自に集計した市場データをもとにした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。日経平均・TOPIX・東証グロース市場250指数・売買代金・値上がり値下がり銘柄数・業種別の値上がり率・寄与額・空売り比率・騰落レシオは、大引け後に公表された市場データにもとづく作成時点の数値です。寄与額は概算であり、算出方法により差が出ることがあります。株価が1%動いたときに日経平均が動く額は、9月10日の終値に株価換算係数を掛け、除数29.83110217で割って算出した私の計算値です。実際の寄与額は前日終値からの値幅で決まるため、この額に当日の値上がり率を掛けた数字とはわずかにずれます。株価換算係数は日本経済新聞社が定めるもので、変更されることがあります。日経平均に採用されている銀行10社の指数に占める重み0.94%は2026年8月31日時点の集計値で、日々変動します。TSMCの8月の売上高は同社の月次発表に関する報道にもとづきます。米国市場の指数・米10年国債利回り・WTI原油・ドル円は日次レポートの入力時点(大引け後の17時ごろ)の値で、取引所や金融機関の公式値とは異なる場合があります。移動平均・騰落レシオ・空売り比率は私が独自に集計したもので、買いや売りを示すものではありません。日銀・FRBの政策や経済指標に関する見方は市場の観測であり、実際の結果を保証するものではありません。配当や株主優待の権利日は2026年9月末が決算期末の銘柄についてのもので、決算期末が異なる銘柄では日付も変わります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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