対TOPIX相対騰落 累積ptの読み方 ─ セクターローテーション分析の基礎指標
対TOPIX相対騰落とは何か
対TOPIX相対騰落は、その日の各業種の騰落率から、TOPIXの騰落率を差し引いた値のことです。計算式で書くと、こうなります。
たとえば、ある日の非鉄金属業種が+4.29%で、TOPIXが+1.17%だったとすると、その日の非鉄金属の相対騰落は「4.29 − 1.17 = +3.12pt」になります。単純な引き算です。
日次での読み方 ─ その日の資金フロー
日次レポートでは、1日分の相対騰落をそのまま判定に使います。プラスなら市場平均より強く買われた業種、マイナスなら売られた業種、という直感的な読み方です。テーマ別資金フローの判定では、以下の基準を使っています。
日次ではこのように、1日の強弱を瞬時に把握するためのシンプルな指標として機能します。相場全体がどうであれ、「相対騰落がプラスの業種こそ、本当に買われた業種」という切り口ですね。
累積することで何が見えるのか
日次の相対騰落はその日限りの動きなので、決算発表や突発的なニュースといった単発イベントによる一時的な振れも多く含まれます。1日だけ見ても「たまたま強かった」のか「本当に資金が集まり続けている」のかの判断は難しいんですよね。
そこで登場するのが累積(合計)の発想です。5日間の相対騰落を合計することで、その週に「継続的に買われ続けた業種」と「継続的に売られ続けた業種」が浮かび上がってきます。これが週次レポートで使っている「週間累積相対騰落」です。
たとえば月曜に+3pt、火曜に-2pt、水曜に+1pt、木曜に+2pt、金曜に+2ptと動いた業種があった場合、週間累積は「3-2+1+2+2 = +6pt」となります。1日単位では上下しているけれど、週を通して見ると継続的な買いが入っていた、という状況が可視化されます。単発の1日の強さよりも、5日間の積み重ねのほうが信頼度が高いというわけです。
週間累積の判定レンジ ─ 5段階
週間累積相対騰落は、日次よりも幅が広くなるため、判定レンジも異なります。本ブログでは以下の5段階で判定しています。
日次の判定閾値(+2pt以上で大量流入)と比較すると、週次は5倍スケールで構えている点が分かります。これは5日間の累積なので、数値の絶対値が大きくなる傾向があるためです。
計算の具体例 ─ 日次から週次まで
実際に2026年4月13-17日の週の非鉄金属業種を例に、計算プロセスを追ってみましょう。
| 日付 | 業種騰落率 | TOPIX騰落率 | 相対騰落 |
|---|---|---|---|
| 4/13(月) | -1.48% | -0.45% | -1.03pt |
| 4/14(火) | +4.12% | +0.87% | +3.25pt |
| 4/15(水) | -3.94% | +0.40% | -4.34pt |
| 4/16(木) | +4.29% | +1.17% | +3.12pt |
| 4/17(金) | +0.53% | -1.43% | +1.96pt |
| 週間累計 | – | – | +2.96pt |
非鉄金属は水曜に大幅な売りを浴びたものの、火曜・木曜・金曜の踏ん張りで押し返し、週間累計では+2.96ptとなりました。判定レンジで言うと「強い」のポジション。1日単位で見ると-4.34ptという弱い日もあったのに、5日を通して見ると市場平均を明確に上回る動きを維持していたことが分かります。これが累積の見方の妙味ですね。
実例:4/13-17週の主要業種
同じ週の勝ち組・負け組上位を、週間累積相対騰落で並べるとこうなります。
| 順位 | 業種名 | 週間累積相対騰落 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 1 | 情報・通信業 | +5.62pt | 圧倒的勝ち組 |
| 2 | 電気機器 | +4.36pt | 強い |
| 3 | 繊維製品 | +3.27pt | 強い |
| … | … | … | … |
| 32 | 鉱業 | -5.98pt | 圧倒的負け組 |
| 33 | 卸売業 | -6.43pt | 圧倒的負け組 |
情報・通信業は、AIデータセンター関連や大手ハイテクが連日資金を集め続けた結果としての+5.62pt。一方の卸売業は原油急落で商社株が連日売られ続けた結果としての-6.43pt。週を通じての「資金の流れの方向性」が、ptという数値で可視化されています。この情報は、日次の1日分だけを見ていても見えにくいものです。
この指標を使うメリット
- 市場全体の動きと分離できる:TOPIXの影響を取り除いているので、「相場が上げた日に何となく強かった業種」と「本当に資金を集めた業種」を区別できます。
- 日次・週次の両方で使える:同じ計算式をベースに、1日の動きと5日の流れの両方を、同じ基準で比較できるのが使いやすいポイントです。
- セクターローテーションが見える:継続的にプラスの業種と継続的にマイナスの業種を見ていくと、今の相場でどこに資金が回っていて、どこから逃げているかが浮かび上がります。
- 短期ポジションの銘柄選びで勝率を上げられる:短期で狙うなら、弱っている業種の中から逆張りで拾うよりも、今まさに資金が集中している強い業種(相対騰落プラスの業種)の中から銘柄を選んだほうが勝率は上がります。資金の流れに沿って動くほうが、短期的な値上がりの期待値は高いというシンプルな理由です。相対騰落は「どの業種が強いのか」を客観的な数値で示してくれるので、感覚的な銘柄選びを卒業したい方にも便利です。
モデルの限界と注意点
対TOPIX相対騰落は相場分析の一つのツールにすぎません。単純な引き算で算出しているので、時価総額の大小や個別銘柄の事情は反映されていません。また、相対指標なので「絶対的にいくら利益が出る」という話でもありません。-5pt以下だから売り、+5pt以上だから買い、という単純な使い方はできません。他の指標(11因子モデル・出来高・テクニカル・決算など)と併用して、総合的に判断することが大切です。
加えて、これも私が独自に設計している指標である点はお忘れなく。学術的な標準指標ではなく、あくまで私自身の相場観察を助けるためのツールとして運用しているものです。
まとめ
- 計算式は「業種騰落率 − TOPIX騰落率」のシンプルな引き算
- 日次:1日分の値で、その日の資金フローを瞬時に把握(+2以上=大量流入、-1以下=大幅流出)
- 週次:5日間の合計で、継続的な買い/売りを判定(+5以上=圧倒的勝ち組、-5以下=圧倒的負け組)
- TOPIXを差し引くことで、市場全体の動きに惑わされずセクター選好が見える
- 日次の単発イベントに惑わされないためには累積を見るのが有効
- 短期の銘柄選びは、弱い業種の逆張りより、相対騰落プラスの強い業種から選ぶほうが勝率が上がりやすい
- 単独で使わず、他指標と組み合わせて総合判断が原則
本ブログの日次レポートでは1日分の相対騰落を、週次レポートでは5日分の週間累積相対騰落を、それぞれの時間軸に合わせて表記しています。どちらも「業種騰落率 − TOPIX騰落率」という同じ計算式から生まれた兄弟のような指標なので、日次と週次を行き来して読んでもらえると、相場のセクターローテーションがより立体的に見えてくると思います。
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